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八王子姫 

私はシャレード贔屓で海野さん贔屓ですが、今回は流石にBLを読んだ心地にはなれませんでした
本作品は私が初めて読んだ海野幸さんの作品で、確か著者のデビュー作品になると思うのですが、
この物語の主題は八王子在住の二人の捻くれた姉弟の成長譚にあり、全然BLぽい感じがしない。
しかも、(倒錯的な)女装ネタが設定に深く関わっているので、苦手な方は特に気をつけて下さい!

で、どれくらい物語がBLからかけ離れているかと言えば、私が知りうる範囲で率直に言いますと、
月村奎さんの『Release』に同時収録されている「世界最後の日」と同じくらい、違うんですよね…。
月村作品ほどイタくは無いんですけど、“女性”として生まれ育った者が引き受ける現実の厳しさを、
あの身につまされるような(原)体験を追体験してしまうような、そんな小説に仕上がっております。
正直、現実を忘れるには不向きの作品で、むしろ現実を直視せざるを得なくなる物語だと思うのだ。
先日の小林典雅さんはソコを茶化したコメディに仕立ててましたが、海野さんは直球勝負…。

私もコンディションが整ってなければ途中放棄してたでしょうし、もし10代で本作と出会っていたら、
蛇蝎の如く嫌っていた可能性も…三十路の今でもアンビバレントな思いで引き裂かれそうなのだ。
二人の八王子“姫”は、それぞれの“王子”と出会って恋に落ち、紆余曲折を経て恋愛が成就する。
が、逆に言うとこのお伽噺は、“女”or“受け”としての幸せを手に入れたお転婆姫の末路な訳で…。
彼らが(仮想)敵として長らく対峙してきた相手に、付け入る“隙”を与えているように見えるのです。
と言っても、賢明なこの姉弟はその事実に自覚的だし、王子様との関係にはいつも戸惑っている。

“恋愛感情”によって損なわれそうなソレ(≒矜持)を、いかにして今までどおりに保持し続けるか?
この姉弟は悩み続け、夫々の“王子”様に抵抗し続けるコトで、頑なに維持しようと頑張ってました。
が、二人の夫々の王子様は、とてもよく出来た(“女性”にとって都合の良い)性格をしていたので、
彼らの卑屈な性格を見越して“優しく”振る舞い、悩める姉弟のストレスを取り除くコトに成功する。
結果的にはメデタシメデタシのハッピーエンド…が、私はソレが根本的な解決法に見えないのだ。
少なくとも、今のところその結果を一度も選んだことがない“白骨友の会”会員の私には…(笑)。

よしながふみさんが三浦しをんさんとの対談で、フェミニズムは無関係では無いと仰ってましたが、
殊に今回の海野さんの作品では、その主題がものすごく直接的に扱われていたように思われます。
しかも、主人公の佐久間“弟”よりも佐久間“姉”のツンデレ振りが勝ち過ぎて、BL的には弱かった!
この作品も決して面白くなかったという訳では無いのですが、BLとしてはだから少し微妙なんです。
甲斐の国出身の厳格な家系で育った姫君たちの、恋愛成就譚&姉弟成長譚として読み込むが吉。
(胸に突き刺さる部分が多くて)ちょっと読むのが苦しかったとはいえ、鼻にツンとくる作品でした。

要するに、BLに対する“好き”とは違う“好き”だったのです。
ご馳走様です♪

<作品データ>
・海野幸『八王子姫』(ユキムラ・画、二見書房シャレード文庫)2008.7
八王子姫 (二見シャレード文庫) (二見シャレード文庫)八王子姫 (二見シャレード文庫) (二見シャレード文庫)
(2008/06/23)
海野 幸

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海野幸さんのサラリとした心地の良い文章は、雑誌掲載分も書き下ろしも遜色は無いのですが、
挿絵のユキムラさんが、かなり画風が変わっとるっ!!って思ったのは、私だけなんでしょうか?

あ、今回の小説は他の方にはあまりオススメしませんが、のだださんの研究材料にはなりそうかも?
“受け”と“性別受け”じゃなくて、この作品は“受け”と“女装受け”と“ツンデレお姉ちゃん”でしたが。
“受け”という立ち位置に悩む弟と、“女性”という立ち位置に悩む姉の(性)差が、ちと面白い予感…。
見当違いだったら、スミマセン~>のだださん

<拍手お礼>
・entry455、538に拍手ありがとうございます~♪
そして、先週末の拍手お礼にはいくつか漏れがあったことにあとで気づきました…。
が、もう追跡が厳しい感じなので今回まとめてお礼申し上げます、ありがとうございました!
[ 2008/06/25 21:36 ] novel BL | TB(0) | CM(2)
こんばんは!のだださん。
コメントありがとうございます♪
そして、海野さんはドマイナーな作家さんだからきっと読まれてないと思っていたのですが、読まれていらっしゃったのですね(笑)。

お察しの通り、私はこの物語は読んでてちょっと苦しかったです…上手いとは思いますし、面白いとも思うんですけど、時々辛い…。
この辛さは、『となりのトトロ』を見たときの気持ちに近かったかも。
(ちなみに、私が初めて見た宮崎アニメがこの作品なのですが)
『となりのトトロ』の妹のメイにしろ、『八王子姫』の弟の幸彦にしろ、姉の後ろで守られて安全な場所からこそっと、美味しいところだけ掠めとっていく感じがイラっとするんですよ、私。
私もリアルが二人姉妹の“お姉ちゃん”だからなんでしょうけど(笑)。

あと、内気なお姫様と強気なお姫様が夫々の王子様を得て幸せになるお話というのは、何かお伽噺にもあったような気がするんですよねー。
何だったかしら?

確かに、この作品は女性性/男性性を越えた本来性の“自分”を王子様に認めてもらえる物語という意味で、よく出来てるんですよねー。
私の解説は(醜い)“女”の側に寄り過ぎっちゃって、バランスが悪かったです…今回は特に。
私の場合、BL作品も非BL作品も意図的にあまり差異を設けずに、より開かれた一個人(腐女子でも良いんですけど)の記録としてのブログを試みているつもりなんですけど、今回のように自分の立ち位置に近くて感情的になり易い作品は、視点の見落としが多くて切り口が甘い感想に成り下がっちゃうなあ…。
うーん、猛反省…。

あ、↑の告知はもう直ぐ消えるのでそれまで辛抱して下さいませ~。
PING送信は故意に外してはいないので、新着記事はそのままRSSに反映されているだろうと思っていたのですが、反映されていなかったんですね…。
自分が使わない機能だから、対応がズボラでした、すみません。

ではでは!
[ 2008/06/27 20:21 ] tatsuki [ 編集 ]
どうも、tatsukiさんこんばんは!
>見当違いだったら、スミマセン~
いえいえー^^
先日のエントリでは、元々論理的一貫性のないタームに対して四の五の書いて解明を失敗しましたが、そもそも「性別受け」自体に本質があるのではなく、ある男性キャラクターを「性別受け」と称する“私達のジェンダー観”にこそ、この語にまつわる本質があるのだと痛感しました。つきましては、「読み手とテキストの関係性」という観点を持って考えようと思い直していた所、tatsukiさんに“「女装受け」と女性の対比”というアイデアを頂きました。

さて、今回の姉弟物語ですが、ここまで「女性」と「受け」のポジショナリティを直裁的に対比させる表現は珍しいかもと思いました。これまた、正に直球勝負。。。
実を言いますと、私も海野さん贔屓の一人で、私の方はtatsukiさんよりはもうちょっと気軽に楽しめちゃいましたw
それはやはり私が千里の苦労を追体験せずに済む立場だからなのかもしれない。しかし、本作において千里の葛藤は幸彦(ユキちゃん)と関係している…。姉弟の王子様との恋愛成就過程、これは私が思うに、二通りの女性性の獲得・受容の物語であったかと。ただ、弟の場合、「幸彦(男)」としての幸福を獲得するために攻めから「ユキちゃん(女)」を否定してもらわなくてはいけないと言う条件があるんですよね。更に言えば、幸彦が獲得した幸福とは、当事者がもし女性であれば千里のように「否定された<女性>の性役割を再帰的に受容することの苦痛」が伴うものではないか、と。しかし、彼にそうした痛みは覗えないように思う…。
これが非常に奇妙な非対称性(性差?)でしたね。(ちなみに、私はこの点において本作品を「BLとして」楽しめるものだと感じました。)

ともあれ、本作品は女性性受容以外に、ゲイはじめクィアが体験せざるを得ない(千里とは別種の)苦労を解消する物語でもあります。つまり…、この女装受けはクィア“男性”としての幸福を得るために女性であることを否定してもらいつつ、「王子様に導いてもらう」という女性的性役割を受容している訳です。…たぶん。
女性立場の否定と女性に近似したポスト獲得の物語、ここに「性別受け」を考える材料が含まれて居るように思います。この作品は、またそのうちレビュー書くかもです。その時はTBさせて頂く予定なので、どうぞよろしく!

長文すいませんでした…。
ところで、TOPにチャットのページが上がってるために、暫くの間「あれ、最近更新なさってないのかな」と勘違いしてましたorz

それでは!



[ 2008/06/26 23:53 ] のだだ [ 編集 ]
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