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KISSと海賊 

この作品には、政治と経済と外交と個々人の思惑が複雑に入り組んだ世界情勢が存在する。
私が“ファンタジー”に本来なら存在すべきと信じる条件設定の全てが、見事に完備されていた。
いつかそのうち買うだろうとは思っていたこの『KISSと海賊』シリーズを、先週末に購入し只今読了。
予定では、1巻づつチビリチビリと読むつもりだったのだが、全然続きが待てなくてほぼ完徹状態。
こんなにハラハラドキドキしながら、登場人物の末路に思いを馳せながら物語にのめり込むのは、
実に幻想水滸伝5をプレイした2006年の春以来じゃないだろうか?興奮未だ冷めやらず、デス。

五百香さんの作品はずっと敬遠していて、最近ようやっと読み始めて“面白さ”に開眼した私なので、
もしかしたら的外れな印象なのかもしれないのだが、やっぱり毒喰らわば皿までの作風に見える。
本作品のアリも、ルビーローズの耳たぶから(恐らく)排泄物まで何なく愛せちゃう強烈な攻めかと。
ルビーローズも愛するアリを助ける為には、自身の可憐な両手を鮮血で染め、親しい味方を盾にし、
それでも尚、“敵”に向かって前進していく気丈な少年。

このファンタジーは、BLよりもルビーローズという温室育ちの王子の成長譚がメインテーマである。
彼は、冒頭であっさりと“帝国”軍に無血開城を許す軟弱な祖国に一人激昂し、皇帝に立ち向かう。
まだ“子供”の彼には、祖国の立ち位置も、帝国軍の思惑も、臣民の“現実”すら見えていなかった。
彼は守るべきものも守りたいものも見えぬままに無謀な行動をし、当然の帰結としてを受ける。
即ち、海賊王国“アリ”の奴隷に成り下がるのである。

よって、物語の舞台は海賊王国<マリーナ>に移り、この国の“内乱”の動向が克明に描かれる。
敵味方を問わずに人命の損失シーンが非常に多く、その描写は大変血生臭くて凄惨を極めている。
そんな“戦争”の過程を冷酷に徹底的に描き続ける五百香さんの筆は、本当に容赦が無い…と思う。
読者の心も麻痺してくるので、何が正しくて何が間違っているのかという正当な評価は困難になる。
何故なら、主役のアリやルビーローズの軽挙妄動で、確かに寿命を縮めた者達もいるからである。
“終わりよければ全て良し”で結果が全ての私も、彼らの“勇気”が内政鎮圧の最短ルートであった、
と明言するのは流石に憚られるような痛ましさが、この過程の内には含まれているのである。

逆に言えば、王国内の不穏な動向に対して“後手”に廻って身動きできなかった賢明な大人達こそ、
内乱騒動の責を問わられなければならないだろうし、そして実際に自身の“血”で償った者達もいる。
彼らは、最終的に無謀とも勇気とも判別の出来ないアリとルビーローズという“子供”に未来を託す。
彼らの“行動”の動機は非常に“個人的”なモノなのに、それでも全てを託す大人が後を立たない。
善良な大人は子供達の活発な“行動”でようやく開眼し、彼らの“盾”として自身の命を尽くすのだ。

闇雲でも計画ずくでも、誰かを守ろうとする行動には他の何かの犠牲を“覚悟”しなければならない。
ルビーローズは、果敢にルビーレイを操って前に進み、囚われたアリを救出する過程でソレを知る。
彼はマリーナ王国の内乱を経て、“守る”理由と結果を受け入れられる“器”を手に入れるのである。

この作品には、初期の宮崎駿作品へのオマージュを強く感じるのは私だけだろうか?
特に、「未来少年コナン」の影響を強く感じる、要するに世界観が本当によく出来ていると思うのだ。
某作品のように名ばかりの“皇帝”じゃないし、“帝国”がを求める理由も内実もよく練られている。
再三の話になるけれど、“独裁者”自体が必ずしも悪という訳では無いのである。

悲劇の原因を個人の“野心”に着せず、“集団”の不透明さや脆弱さに配慮している点も好ましい。
(↑は、一歴史好きの観点です)
要するに、何もかもがパーフェクトに素晴らしいファンタジー小説でした!ご馳走様です♪

<作品データ>
・五百香ノエル『KISSと海賊』全4巻(榎本・画、宙出版シトラスノベルス)2007.10~11
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それにしても、榎本さんの挿絵のファルーカが誰かにとてもよく似ていると思ったの。
なのに、ソレが誰なのかこのボンクラな脳みそじゃ思い出せない!ゲームキャラだと思うのだけど。
ちなみに、ファルーカはナウシカで言うところのクロトワ的な美味しい3枚目役でした(笑)。

そして、チェンも人間としては許せないけど、キャラとしては結構好きです。
理由はネタバレになっちゃうので、黙っときますが。

<拍手お礼>
・entry815、823に拍手ありがとうございます♪
[ 2008/06/02 21:38 ] novel BL | TB(1) | CM(3)
こんばんは!ゆちゅ♪さん、もよさん。
コメントありがとうございます。

>ゆちゅ♪さん
今回は私の感想というか解説と言うか、文体が硬すぎでオッサン臭くてスイマセン!
この作品と平行して、戦記モノに近い歴史書を読んでいたので、もろにそちらの影響を受けています(笑)。
でも、BL的な感想は他所様にお任せして、今回はいかにもこのブログらしい観点の話でまとめちゃいました。
本当は登場人物の一人一人に言及したいくらいハマっているのですが、ファルーカやムーリについて語りだすと物語の“核心”に触れちゃうから自粛したのです。
この二人も大好きだし、イールンもリザベドもアムもトビタも大好き♪
この作品に欠点があるとしたら、ルビーローズの成長に比重を起き過ぎた為、攻めのアリが終盤になればなるほど、活躍の機会を失ってしまった点くらいかと(笑)。
下半身以外は、殆ど役立たずに近かった…気がするの…。

GENEも読んでみたいデス!
でも、連休をみはからないと体力的にキツイ…かも…。
ああ、でも数年前に私は谷崎泉さんの『君好き』シリーズを2日で全巻読み終えたんですよね、確か。
(注、番外編を読み飛ばして本編だけざっくり読んだので)

そして、五百香さんの作品は私はどの作品読んでも今のところは萌えとはちょっと違いますね~。
作者の冷たい視線というか、容赦なく徹底的に登場人物を描ききる力に圧倒されるという感じかなあ?
あと、トロトロがどうのといったようなエロシーンとシリアスのギャップが楽しい!
というか、同著者の離島因習エロエロ同人誌が目下とても読みたい!

ではっ!

>もこさん
コメントありがとうございます♪
この作品は大好きだと仰る方が周囲に多くて、ビックリです。
新装版の書き下ろしは、1巻と3巻かしら?
3巻はルビーローズの用心棒時代の顛末がちょこっと描かれていて美味しいです♪
彼は、いかにして貞節を守ったのかor守れなかったのか?はてさて…と言った内容です。

只、この作品は新装版なのに脱字やインデントミスが随分と多かった気がします…。
私は普段はそういうのは大抵見逃すのですが、このシリーズはどの巻も数箇所程目に付いちゃいました。
重版本だと修正されているのかな?私は今更買ったのに、全部初版なんですよね(笑)
ではでは!またよろしければ、遊びに来てください。
[ 2008/06/04 21:04 ] tatsuki [ 編集 ]
あ~素晴らしいファンタジー!
何故ビブロスから新装版で出なかったんでしょうか???
書き下ろしが付いているということなので再びの購入迷い中です。
[ 2008/06/03 22:17 ] もよ [ 編集 ]
tatsukiさん こんばんは♪

あっちでもこっちでも言いまくっていますが、私この話ホントに大好きなんです♪

BLのファンタジーっていうとエセファンタジーだよね…ってものも多い中、この作品や『GENE』などはFT、SF、ラブロマンスと盛り沢山の要素が詰め込まれていて読み甲斐がありますよね!
といいつつ、エロに都合がいいだけの魔法の国のホモ王子なんかもうきうき書いてらっしゃるのが五百香さんなんですが。
すごい落差だよなー(笑)

tatsukiさんの感想はBLっぽくはないですけど、大局の世界観を的確に捉えてらしてとっても興味深かったです!
人と人だけでなく人と世界との関わりに言及する見方に私も目からウロコが落ちる思いです~。

BL的に私はキス海には萌えるけど前述の『GENE』には萌えを見出だせないんですよ。面白いとは思うんだけど。
2つの作品は同じ世界観に基づいた陰陽の関係だと思うので(キス海はこれでも陽なんですよ~。GENEはもっとシビアで容赦ないです)いずれこちらもtatsukiさんの感想が伺えればな~と思います。
全9巻だけど…。

ではでは一気読みお疲れ様でした~♪
[ 2008/06/03 00:04 ] ゆちゅらぶ♪ [ 編集 ]
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la aqua vita KISSと海賊
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