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悲しみの涙はいらない 

言行不一致で、やっぱり買ってしまった水原とほるさんの新刊です。
サガンのようなタイトルとヤマシタさんの挿絵がどうにも頂けなくて見送るつもりだったのですが、
あらすじで“男娼”の一文を目にした途端レジへ直行…私の萌えのトップ・オブ・ザ・ワールドだ!
但し、BLではこの職業設定を蔑ろにしている作品が多く、私の満足に及ばないモノばかりでした。
が、何につけ容赦の無い水原さんなら、徹底的にその職務に従事する様子を書いてくれる筈っ!
私の胸は不埒な期待で否が応にも高まり、ドキドキワクワクしながらこの作品を読み始めました。

結果は…残念なことに、たったの3週間で(冒頭で)受けはあっさり攻めに身請けされちゃいました。
まあ、その3週間のお仕事描写はボカされていなかったので、従来よりは遥かにマシなんですが…。
兎も角も、このように私の淡い夢は冒頭で潰えてしまったので、あとは殆ど惰性で読み進めました。
秘密(or秘めた思い)を抱えた攻めの過去の設定とか、端から予想できる展開でしたしね…。

が、大完敗!!
水原とほるさんの作品では、実に私的には二年ぶりに大号泣してしまう物語でした。
不器用な登場人物達がささやかな日常生活で“幸せ”を噛み締めている物語に、私は弱いみたい。
二人が“孤独”を生き抜くという意味で夫々の人生を引き受けている様子が、切なくて堪らなかった。

受けの遥は、国枝の後見で学校生活に戻ることが出来たのに、そこで“友人”を得てしまった為に、
一時的に彼が引き受けなければならない“孤独”を忘れかけたので、手痛い仕打ちも受けてしまう。
これは水原作品の通過儀礼と言っても良いと思うのですが、二人の関係にはいつもルールがあり、
そのを犯すと手痛い“しっぺ返し”が待っているのですが、大概の受けはその過ちを犯してしまう。
大抵の場合、無意識のうちに身の程知らずの行動を取ってしまった受けの方にがあります。

今回は、借金を背負っても独りで生き抜く覚悟(居直り)のようなモノが、受けの遥の唯一の担保で、
従来の水原作品の攻めに比して国枝は遥かに“優しい”人物でしたが、逆にソレが仇となりました。
借金の完済か、あるいは国枝と刺し違える覚悟が無ければ、遥に“友”を得る資格は無かったのだ。
遥のミステイクはここに尽きます。

一方で、自身の存在がミステイクだったのかもしれない、という根源的な悩みを心中に秘めながら、
今日を生き抜くために、明日を生きるために、稼ぎを人生の目的と定める国枝の人生は孤独です。
徹底的に孤独を引き受けて生き抜いてきた三十余年間、彼はずっと心を凍結させてきたのだと思う。
だから、遥に対してはある意味では一目惚れだった筈なのに、なかなか歩み寄れない攻めでした。
彼自身が後述してますが、本当にどう扱って良いのか分からなかったらしい…。

この二人の関係は、年の差があるせいか“恋人”というよりは“親子”のような関係に近い気がする。
肉体関係が介在している仲なので語弊が生じちゃいますが、互いに“家族”の縁が薄かった二人が、
向かい合って食事をしたり、寝所で抱きしめあったりして、必死でソレを模索しているように見える。
家族の“模範”像を知らずに生きてきた二人が、初めてかけがえの無いものを育み守ろうとしており、
不器用で言葉足らずなのはお互い様…が、少しずつ心の距離を詰めていく姿勢は意外にも穏やか。
彼らのそんな生真面目で真摯な姿に、私はとても心揺さぶられました。

途中まで舐めてかかって来た分、最後の展開でグラっときて心を全て持ってかれてしまいました!
大満足です♪

<作品データ>
・水原とほる『悲しみの涙はいらない』(ヤマシタトモコ・画、フロンティアワークスダリア文庫)2008.5
悲しみの涙はいらない (DARIA BUNKO)悲しみの涙はいらない (DARIA BUNKO)
(2008/05/13)
水原 とほる

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水原さんの作品は受け視点なんですが、読者は受けの背後をフォーカスしている心地になります。
しかも、受けは自身の行動を“見られている”ということに自覚的で、行動や心情が制御されている。
コレも一つの視姦小説なのかもしれないなあ。

だから、感情移入というレベルではどちらかと言うと、大抵は攻めの方に感情移入したくなりますね。
私の場合なんですが…。

最近の作品はその特徴的な暴力(陵辱)シーンが形式主義的だったのですが、今回は違います!
具体的なシーンも比較的抑えられていますので、私的には大変オススメです~♪
[ 2008/05/14 06:55 ] novel BL | TB(0) | CM(0)
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Author:tatsuki
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