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神経衰弱ぎりぎりの男たち 

今のところ、私にとって2番目に好きな高遠さんの作品です(1番もそのうちご紹介するつもり)。
先月ご紹介した『世界の果てで待っていて』は、長らく評価に戸惑っていたのですが、3番目かな?
私がこの作品と出会ったのはもう随分前のお話なんですが、当時私はとある事情によりまして、
BL小説予備軍とでも言えばいいのでしょうか?…兎に角、沢山のBL小説を読む機会がありました。
で、この時に読んだ作品群の少なからぬ一部が、テーマに記憶喪失ネタを扱っておりまして、
正直、食傷気味だったんですよ…文章の巧拙はあれど、基本的に作品の方向性は全く同じだし。

ソレゆえに、この作品との出会いは本当に衝撃だったのです!
記憶のリセット&リロードを、コロンブスの卵の発想で扱われていたコトに見事に驚かされました。
しかも、この作品は著者の投稿兼デビュー作、確かにコレは1つ頭を越えたアイデアの勝利です。
表題の『神経衰弱ぎりぎりの男たち』とは、一種のだまし討ちであり、深い意図も込められている。
記憶を喪失したのは主人公の七瀬ですが、実際に神経衰弱ぎりぎりだったのは高槻&関係者。
シリーズの回を追うごとにその複雑な関係は判明するのですが、まるでそれは澱んだ底なし沼
気づいたら、もう引き返せないくらいの深みにどっぷり漬かってしまって、大変なコトになってます。

要するに、デビューから一貫して高遠さんの作品には独特の痛みというか暗い遥かなる影がある。
それは、高遠春加(琉加)さんの独特の魅力であり、資質であり、何より私の快感のツボなんです。
この著者の作品を、全て網羅するキッカケとなった本作品…再読してもやはりグラっときますネ。
ご馳走様でした♪

<作品データ>
・高遠春加『神経衰弱ぎりぎりの男たち』(加地佳鹿・画、二見書房シャレード文庫)1999.7
神経衰弱ぎりぎりの男たち (二見シャレード文庫)神経衰弱ぎりぎりの男たち (二見シャレード文庫)
(1999/07)
高遠 春加

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□神経衰弱ぎりぎりの男たち

初めて会った、
顔も知らない恋人と
順番めちゃくちゃ、
常識はずれの恋をした


この一文程、作品の総てについてが予見できる煽りというのも珍しい…名文と言っても良いかと。
(↑は本文からの抜粋なんですが、凝縮された七瀬のモノローグに独特のセンスが加味されてる)

BLというのは一種の不条理劇の側面があると思うのですが、この作品もその典型パターンです。
ある朝、目覚めると隣に見知らぬ男が素っ裸で寝ていた!さて、あなたならどうしますか?(笑)
主人公の七瀬は、とある事情で記憶を喪失(厳密には障害らしい…)してしまい、当然混乱します。
隣で寝ていた相手(高槻)からは恋人だから当然との返答…儚い自身の存在基盤は更に揺らぐ。
自分の不安な立ち位置にオロオロするばかりの七瀬でしたが、結局は再び高槻に恋を自覚する。
過程は違っても結果は同じ、だから僕らの恋愛基盤は不動無限至上のBLの始まりであり、
それすらも過程の途上であり、揺らがない関係の結末への確信が深まるラブストーリーなんです。

この作品は、本質的な意味において高遠さんの書かれた唯一のコメディ作品かもしれません…。
尤も、この可視的なコメディ性が如何なる土壌で培われたものかを考えると一筋縄ではいかない。
後編では、時代を遡って、やるせないとしか表現出来無い高槻の複雑な家族関係が露見し始める。
興味深いのは、あのドシリアスな過去を経て、七瀬と出会い本当のを知った高槻コンピュータが、
典型的なラブコメを演じられるまでに成長し、読者にソレをお披露目したのがこの作品だということ。
そんな風に読み込むと、見事な確信に裏打ちされた上質のコメディだったのだなあと思う訳でして。
自身の存在の重みを知って尚、コメディを演じ続けられる人間というのは私の一つの理想です。
そういう意味でも、お気に入りの一品ですね♪

□心の鍵貸します
前編とは見事に物語のトーンが変わり…高槻のドシリアスな過去の亡霊/影と戦う勇者・七瀬出。
新米勇者の七瀬は、ドルアーガの塔ならぬ高槻コンピュータの心の鍵を手に入れる為に奔走中♪
↑は勿論冗談ですヨ…(笑)。

高槻の複雑な家族関係を扱う作品としては、実は後々の展開を知る身としてはまだまだ序の口。
高槻コンピュータの<父親>俊哉が名前だけ登場、ロクデナシという情報だけは伝わってきます。
彼の哀しい過去のエピソードまで知ってしまうと、そんなことも言ってられなくなるのですけどねー。
まあ、でも高槻にとってはロクデもない親です、この物語でミステリアスに登場する真由子さんも、
見事に典型的なダメンズラヴァーなお姉さん…やっぱり高槻にとっては裏切り者に当たります。

要するに、高槻コンピュータには生成プログラムの過程で致命的なウィルスが存在してるんですよ。
ソレが、彼の精神を蝕み、肉体を侵食してくる…が、七瀬との運命的な出会いで変化が生じます。
彼の存在の根源に関わる為、その埋め込まれたウィルス自体を退治することは一生出来ません。
が、七瀬とのささやかな日常生活と対話の過程で、彼の心の中に免疫抗体が作られてくる訳で。
七瀬は彼の心の鍵を所望するが、その鍵を彼に渡すことで好転の兆しは高槻の方にこそ訪れる。

七瀬のフツー力が、高槻の孤独な世界を明るいモノで満たすのです、そんなお話。
[ 2007/07/17 21:59 ] novel BL | TB(1) | CM(2)
こんばんは!秋月さん。
ソチラで鬱陶しい量の暑苦しいコメント残してしまってゴメンナサイ!
ライブドアブログだと見事字数オーバーで弾かれるトコロなんでしょうが、
ジュゲムだと通っちゃうんですよねー、以後は自粛します。

高遠さんと木原さんの痛みの違いは、結局「青春の痛み」と「人間性の痛み」の違いかな、と。
私は高遠さんの痛みは何だかんだで耐えられるし、ある種の快感を感じるのですが、
木原さんのように「人間性」まで問われちゃうと、モノによっては近づくことすらできません(笑)。
我ながら、ヘタレです…。

私の一番の高遠さんは、実はウェブ上の評判がよろしくないんですよー。
リアル友には、この手のズルイ受けは大嫌いとか言われちゃいましたし…ね…。
まあ、この作品は読むコト自体はシンドくないので、感想はそのうちにでも。

ちなみに、『最後から1番目~』は判定不能。
BLの尺度じゃ測れない物語になってますし、私も冷静さを見事に失うお話なので。
重すぎて、お気楽に読めないんですよねぇ、ふぅ。

ではでは!
[ 2007/07/20 22:28 ] tatsuki [ 編集 ]
tatsukiさん、こんにちは~。

ルチルのことといい、tatsukiさんとはマニアックな話が合うみたいでひじょうに嬉しいです♪(笑)

高遠さんは私も大好きな作家さんで、木原さんとかとはまた違った繊細な痛さのある方ですよね~。

普通に1巻から読んで、バカっぽい記憶喪失ラブコメ→シリアスな高槻コンピュータの過去、と読んでみると高槻にはこんな過去が…と驚きつつも受入ましたが、確かに言われてみると、こんな人格形成がなされたにもかかわらず、七瀬とラブコメを演じるまでに至るわけですから、七瀬の「フツー力」は凄いものなんだなと思いました(笑)

tatsukiさんの1番お好きな高遠作品についてのレビュも、楽しみにしてますね。
ちなみに私は、やっぱり3巻の俊哉の話かなあ…。
[ 2007/07/20 08:42 ] 秋月 [ 編集 ]
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神経衰弱ぎりぎりの男たち 高遠春加/加地佳鹿  二見書房シャレード文庫 1999.07神経衰弱ぎりぎりの男たち/心の鍵貸します目が覚めると、見知らぬ男と素っ裸で一つベッドの中で寝ていた。しかも、”俺”は自分の名前も思い出せない!「あ、あんた誰? 俺――俺、誰?
[2007/07/18 12:42] 月と凌霄花
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