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烙印の夜に逢う 

初読みの柊平さん、私も円陣さんの麗しい表紙絵に惹かれて気づいたらレジに出してました(笑)。
コレが、ニコラエの特殊能力なんでしょうか…今月は、本当に余裕の無い月間だと言うのに!
が、今回の感想はやや微妙です…私的にはハズレじゃないけど期待した程でも無かったかな?

「私はサシュの不在に焦がれ、おまえの存在を愛している」



この正直すぎる過ぎるニコラエの一言は、いかにもメトセラ(長命者)らしいとは思うのですが、
(注、メトセラは旧約聖書からの引用ですので、神をまつろわぬ彼とは現実的には一線を画す)
「君(受け)だけを愛している」という関係にこだわる乙女回路(←笑)の私には、実に痛恨の一言。
大変美しい告白シーン(&台詞)とは思うのですが、ニコラエ×誠一の関係はやや消化不良気味。
サシュの魂が転生した誠一というキャラをどう捉えるかが、この作品のだとは思うのですが、
私の脳内では、サシュと誠一を別個の個体と判断しちゃっているので↑の台詞が微妙なんですよ。
つまり、このニコラエとサシュと誠一の関係は、変則的な三角関係に見えて仕方が無いのです。
そしてニコラエは、結局サシュの影を永遠に追い求めていくようにも思える訳で…イヤ困ったな…。

ところで、この主人公の誠一というキャラが、随分変わった描かれ方をしているのが印象的です。
今回はメインテーマが吸血鬼ネタという事情もあるのでしょうが、BL小説的には大変珍しいかと。
要するに、ゴシックホラーなテイストがベースにあるみたいなんですが、人物描写が大変希薄。
妖しい魅力を振りまくニコラエに囚われていく彼の精神過程が、実に曖昧模糊としているのです。
後述するサシュが典型的に魅力的なツンデレであるのに対し、彼はもっと覇気(&魅力)が無い…。
ニコラエの特殊能力が原因であると半ば予測は出来るのですが、結果的には大変共感しづらい。
しかも、現世に対する執着心が元より薄いモノですから、サシュが決死で拒んだ道を彼は選択。
私には、このルート(=二人で悠久を生きる道)はバッドエンドに見えてしまうんですよね…。
(全くの余談になりますが、まさに↑が理由で私は小野不由美さんの作品が基本的に苦手です)

一方で、過去(前世)のニコラエ×サシュ編。
この二人の関係は典型的なオレ様ヴァンピール×ツンデレ貴族なので、私も安心かつ激萌え♪
十字架でニコラエに抵抗しつつも身体を蹂躙され、快楽に慣らされ、心までも奪われるサシュ。
激動の時代と場所を生きる彼は、BL的にも個人的にも大変魅力的だし感情移入もしやすいです。
彼は最期の最期までニコラエに抵抗し、彼のモノにはならないルートを辿るのがまた理想的です。
しかも、ニコラエの心に自分を刻み付けるコトに成功するのですから、結果的にはサシュの圧勝。
私的には、このタイプのお話ではサシュの選択肢が正規ルートでトゥルーエンドに思えてしまう。
が、この作品的には重要な伏線の一つに過ぎず、あくまで本編のサイドストーリーなんですよね。

で、結論。
萌えという見地からは私には微妙な印象の作品なんですが、吸血鬼小説としては面白いです。
ある意味使い古されたネタの一つだとは思うのですが、前世を絡めた三角関係というのが斬新。
他の柊平さんの作品に、俄然興味が沸きました!

・柊平ハルモ『烙印の夜に逢う』(円陣闇丸・画、幻冬舎リンクスノベルス)
烙印の夜に逢う (リンクスロマンス)烙印の夜に逢う (リンクスロマンス)
(2007/05)
柊平 ハルモ

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以下は本編に殆ど関係が無い蛇足の蛇足なんで、スルー推奨。

彼ははっきりと、モルダヴィア語を口にしていた。モルダヴィアの民が、全ヨーロッパの言葉の中でもっとも美しいと誇りにしている、祖国の言葉だ。(P113)



私はモルダヴィア語という言葉を初めて聞いたので、ウィキペディアで調べてみたのですが…
これ読むと、150年前(も具体的な特定は出来ないのですが)に同言語は存在しなかったような?
それとも、ウィキの解説の方が不十分なのかな?
私のうろ覚えの記憶では、当時のかの地はルーマニア統合(国民国家設立)への熱意が強く、
モルダヴィアとワラキアの同君連合を経て、事実上のルーマニア公国を設立してたような…?
(諸外国から正式に承認されたのは、1878年の有名なベルリン会議だった筈ですが)
妹をワラキアに嫁がせて、かつ親露派とは思えないサシュは、ルーマニア統一派に見えるので、
政治的に地域主義的(分離派的な)なモルダヴィア語を母語と称するとは思えないんですよね。

ついでに、こちらも。

ファナリオティス(P173)
異国人と訳されてますが、厳密にはオスマン帝国が遠隔の同地に送り込んだギリシア人です。
ウィキにもあるように、19世紀初頭彼らの一部がフィリキ・エテリアという民族主義的結社を結成、
彼らとルーマニア農民による蜂起が、ドラクロワの絵で有名なギリシア独立戦争の発端となる。
この戦争が原因で、トルコに反旗を翻したファナリオットは廃止されたというのがコトの真相で、
更に言えば、ルーマニアの貴族と言うことは、サシュは農民を苦しめたボイエールだと思われる。
力関係的にはファナリオット>ボイエール>農民という図式が大雑把に描かれうるのですが、
この力関係の両端が結びついて、革命の一歩を踏み出すという状況が非常に興味深いです。

モルダヴィア
しかし、150年前というのはクザ公(同君連合)の時代なのか、その前の時代なのか…。
サシュが曖昧にルーマニア貴族と表記されていたら、ここまで気になることも無かったのですが。
ちなみに、吸血鬼の歴史上のモデルはワラキア公です、まあこちらは割と有名かしら?

以上、昔取った杵柄故、東欧史には細かくてうるさいtatsukiでした…。
(ここまで読んでくださった方には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです)
柊平さんは、結構真面目に史料を読んでいらっしゃるとは思うのですよ。
が、小説に不要な部分が端折られているので、歴史的に重要な部分がやや不正確かも…。
[ 2007/06/05 21:41 ] novel BL | TB(4) | CM(5)
こんばんは!ゆちゅ♪さん、はーこさん。
いつもいつも押しかけちゃってスイマセン…今回は自重しようと思っていたのですが、
作品自体は私も結構気に入っているので、ついお二人にもTB送ってしまいました。

>ゆちゅ♪さん
よくよく考えてみたら、私は基本的に転生ネタが苦手…と言うわけではなくて、
実は想像力が足りなくて、中途(序盤)で見切っちゃうコトが多かったかもです。
『炎の蜃気楼』や新書館の『メテオ・メトセラ』なんかも途中までなら読んでいるのですが、
結局人物相関図に混乱しちゃってダメなんですよねー(私こそ単細胞ですw)。
リアルタイムに学生時代に読んだ『ぼく地球』は当時本当に大好きなシリーズでしたが、
コチラは最終回の展開がどうしても許せなくて(←笑)、心醒めましたしね。
前世の記憶を持って尚、過去と同じ轍を踏むというのが私には解せないんですよ…。

あ、小野不由美さんは私の家族(母・妹)も友人も友人の彼氏も、職場の同僚も、
みんな大ファンなんで、やはりこの方の作品に乗り切れない私がまごうことなく少数派。
(注、私は『十二国期』の方は読んでません…それ以前の作品を数本読んで離れてしまいました)

そしてお察しの通り、ツンデレサシュの方は私もお気に入りです♪
理想が服着て歩いてました(笑)。
ではでは!

>はーこさん

>どちらかというとニコラエに対して、結局お前はどちらが好きなんだ?と突っ込みたくなっていましたから。

私はニコラエは超人ゆえ、我々の倫理を超越していると言うことで納得できたのですが、
誠一が、そんな相手を受け入れてしまうコトの方が結局よく分からなかったです。
(↓でハスイさんの解説読ませていただいて、ようやく物語状況の意図が読めた次第…)

そういえば、はーこさんはあの難解な『嵐が丘』も読んでいらっしゃるのですよね。
はーこさんの方こそ、幅広い文学的見識お持ちであると尊敬してますよー。
私が一生手を出さ無さそうな、純文学作品もかなり色々読んでいらっしゃいますよね。
私は、オタクだから知識があったとしても、片寄りすぎてて全くつぶしが利きません!

この作品に関しては、非BLの部分でテンション上がってしまってお恥ずかしい限りです。
もう少し、自制心を身につける努力をしなくては~。

ではでは!
こんな微妙な記事に、コメント&TBありがとうございました。

[ 2007/06/08 02:35 ] tatsuki [ 編集 ]
tatsukiさん、こんばんは♪

tatsukiさんの博識ぶりは毎回勉強になります。

今回、吸血鬼ものでもありますが、転生ものという己の萠シチュエーションだったので、3割増くらいの評価を私はしているかも…。
転生ものはBLに限らず好きなので…。

>ニコラエとサシュと誠一の関係は、変則的な三角関係に見えて仕方が無いのです。

これは私も思いました~。
円陣さんの『天国へ行けばいい』を四角関係だと思った時と同じなんですけどね~。
どちらかというとニコラエに対して、結局お前はどちらが好きなんだ?と突っ込みたくなっていましたから。
tatsukiさんの指摘される通り、サシュに比べると誠一がインパクトないというか…。
というか、サシュさんのツンデレぶりが素晴らしかったような気がします。

まあ、ともあれ個人的には面白かったです。
イラスト目当てで、あまり期待していなかったからかもしれませんが~。

TBもよろしくお願いしますね♪
ではでは♪
[ 2007/06/07 00:30 ] はーこ [ 編集 ]
tatsukiさん こんばんは~!

tatsukiさん的には微妙だったのですね~、この作品。私はかなり萌え萌えだったのですがtatsukiさんの感想はなるほどー、と頷かされることが多いです。

>サシュの魂が転生した誠一というキャラをどう捉えるかが、この作品の肝

確かに!誠一自身がサシュと自分を別個と捉えて嫉妬していたくらいですからね~。
ただ私としてはサシュの愛憎、素直になれなかった自分への後悔などが刻まれた魂を持って生まれた誠一は、やはりより良くニコラエと出会い直すためのサシュの想いがこめられた存在であって欲しいという気持ちがあったので『サシュ=誠一』にあまり違和感なかったんですけども。
すみません、小野さん(十二国記)も大好きです…。

過去編のサシュのツンツンぶりを見たときはtatsukiさんがお好きなんじゃないかしら♪と思ったのですが、それだけは当たってましたね!

tatsukiさんいわくの蛇足の方も興味深く読ませていただきましたが、勉強になりました!

また後日TBに参りますのでよろしくお願いしますね♪
[ 2007/06/06 21:12 ] ゆちゅらぶ♪ [ 編集 ]
こんばんは、ハスイさん!
今回もまた、私だけ皆さまとズレまくった感想で本当に恐縮しております。
この作品は、「倒錯愛」がメインテーマという事で良かったのですね。
私はもう少し、の方に比重を置いた物語と予想していた為か、
イマイチBLという部分では乗り切れなかったみたいデス…(笑)。
いえ、この作品のモチーフ自体は私も大変気に入っているんですけどねぇ。
それにしても、最近の私は本当に誤読ばかりしてますね…。

あ、今回歴史記述の部分で細かい突込みを入れてしまいましたが、
コレは柊平さんに期待をしているからであって、不満だったという訳では無いんですよ!
大雑把なルーマニアでもなく、比較的有名なワラキアやトランシルヴァニアでもなく、
あえてマニアックで政治的にも歴史的にも微妙なモルダヴィアに拘ったという点が、
重度の歴史オタク的である私には、実はかなり嬉しい誤算でした。
柊平さんが参照した歴史関連資料も、出来れば公開して欲しかったなあ…。
むしろ、柊平さんには吸血鬼モノより純粋に歴史モノを書いて欲しかったような気がします。
私の駄文は、この作品の揚げ足をとってるようにしか見えないでしょうが、
オタクが薀蓄垂れ流しているのは、基本的に純粋に嬉しかったからなんですヨ♪

更に今回は、誰からも反応してもらえないと思っていたので、
ハスイさんのコメントがいつも以上に嬉しかったです。
これから、そちらにお邪魔させて下さいね!

ではでは。
[ 2007/06/06 19:32 ] tatsuki [ 編集 ]
tatsukiさん、こんにちは!

サシュと生まれ変わりの誠一に執着をしたニコラエは兎も角、「欲得以外では誰からも必要とされなかった孤独な受けが、術に嵌められていると気付きながらも、誰かに必要とされる事が嬉しかった」。受けにとってのあのラストは、「諦めの希望」に縋り付いて得た、「倒錯的な幸せ」だと考えていたんですよ。

ニコラエの「私はサシュの不在に焦がれ、おまえの存在を愛している」発言にしても、新書発売前にリンクスのミニ特集で「人間の目から見ると、寛容だったり、倣岸不遜に見えたりと、二面性を感じるタイプ。彼なりに素直なだけだが、人間ではないので・・・。」と記載されていたので、「嗚呼、「貴種」だから、感情の感覚も違うのね」と、勝手に納得していました。

三角関係にしても、「誠一はサシュの生まれ変わりだから、二角寄りの三角関係ね」と疑いも無しに納得。

お陰様で単細胞極まりない私は、ラストの病的とも言えそうな気だるくて甘い執着関係が見られた際にも、「この二人はこれで良いのよ」と妙にすっきりしていましたよ。(笑)

しかし、視点が変われば何とやらですねえ。

私には杵柄が無いので、tatsukiさんの東欧史解説を含めた感想文は、大変に興味深く拝見させて頂きました。

吸血鬼と言えば、定番設定やカーミラ等しか知りませんでしたから、ありもしない「へえ~ボタン」を連打してしまいましたよ。(笑)

吸血鬼や東欧史への知識が浅い為、こちらの記事とは180℃以上は傾向の違ったもの(最早、雰囲気とキャラへの萌え感想のみ)になっていますが、折角の機会なのでTBさせて下さいね。

ではではまた!
[ 2007/06/06 12:45 ] ハスイ [ 編集 ]
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