スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

楽園建造計画 

私の中の何かが、このシリーズを読むたびに「裏切られた」と感じてしまうんだと思う。
そういう意味で高遠作品を信頼してはいけないと知りつつも、“楽園”を信じたかったんだと思う。
よく“燃える”話であり、“燃やす”話であり、そしてそんな“火中の栗”を拾わんとする話である。
シャングリラは何処にあったのか?何処にあるべきなのか?今でも私は踏ん切りがつかない。

自分の身体がどうしようもなく重くて、邪魔で、沈んでいきそうな気持ちは今でもある。
今だからこそ感じる時もあれば、今でも断ち切れない不安定な己の立ち位置にグラグラしてもいる。
かつて武蔵野と縁が深かったあの当時、未来の私はもう少し軽くなっている筈だと信じてたのにっ!
まあ、所詮努力のしない(かった)人間の末路とはこんなものだと、身につまされる近過去なんだな。
本当に見事にイヤになるくらいに自身の身の程を思い知らされるから、再読が困難だったのである。
今までここで感想を書き残すことがどうしても出来なかったのも、同じ理由。

誰が誰のための創作(作品)だったのか、著者のあとがきにも苦心の痕跡を感じる。
作品内ではきっちり昇華されているが、己が身に振り返って考えてみるとどうにも迷いが生じる。
このシリーズの“痛み”は、そういう割り切れない“思い”で構成されているんだと思う。

A.蝶野洸×三木高穂(※一線越えてないので、多分)
蝶野は高遠さんお得意の信頼できない“攻め”である。
元々、シリーズ第一話からブレードランナーのレプリカントみたいなキャラだと思ってはいた。
いや、表情とかじゃなくて、彼が撮る…撮らざるえない“写真”というツールの扱い方がね…。
そういえば、三木はノスタルジーの“破壊”者でもあることを再読して思い出したのだった。
彼は彼とその肉親の“思い出”を衝動的に、否、確信を持って炎の中に放り込む役割を担ってた。
多くの登場人物が“残す”ために動いているのに、彼だけは逆向きに走っているように見える。
だから、この二人は王子と姫の役割がアベコベに逆転していて、関係も未遂のままなのかもね。
当時はこの未遂に「裏切られた」と感じたものだが、コレも確信犯的な流れだったのかも…。

B.志田静一×響川聡史
不謹慎と知りつつも、二人の父親の最期がまるで“(無理)心中”のように見えて仕方が無い。
彼(ら)が命を賭して守ったその子供は、皮肉なことに己が生き残ってしまった宿業に苦しむ。
要は、苦しみ続ける以外の選択肢を己に辞さない頑ななツンデレラのラブストーリーである。
正直、私は当て馬の峰岸さんが嫌いだ…懐の広さですっぽり彼を包み込もうとする手段が許せん!
でも、そのやり口が結果的に恋に破れる話なので、シリーズ全体のテーマに繋がっているんだな。
繋がろうが、重なろうが、交差しようが、我々は一生“孤”であることを手放してはいけないのだ、と。
嫌いな割に、今の私は多くを手に入れつつも孤独を生きるのであろう峰岸さんに思いが募る(笑)。
志田は手順を間違えたものの、一貫して響川の楽園そのものだったので、やや個人的印象が薄い。

C.屋敷了×美延皐月
三木や響川タイプのキャラは兎も角、皐月は今回限りの“受け”だと思う。
皐月も屋敷も、そして倉科も何処か著者の分身なのではないかとついそんなことを考えてしまう。
皐月の描く絵が汚物入れから芸術に昇華されるその瞬間が、堪らなく美しくて心掻き乱される。
皐月に囚われた“王子”であることを自覚した屋敷が、皐月の炎で焼け落ちる瞬間も堪らない。
それでも尚、皐月が絵を描くために孤独を/孤高に生きることは、彼の業であり、使命なのだと。
これ以後、吹っ切れたように明瞭で洗練した作品を創り続ける著者の他の作品が意味深でもある。

<作品データ>
・高遠琉加『楽園建造計画』全4巻(依田沙江美・画、二見書房シャレード文庫)2005.6、2006.2、2006.7、2007.6
楽園建造計画 (1) (二見シャレード文庫)楽園建造計画 (1) (二見シャレード文庫)
(2005/05/31)
高遠 琉加

商品詳細を見る

楽園建造計画(2) (シャレード文庫)楽園建造計画(2) (シャレード文庫)
(2006/01/28)
高遠 琉加

商品詳細を見る

楽園建造計画 3 (シャレード文庫)楽園建造計画 3 (シャレード文庫)
(2006/06/28)
高遠 琉加

商品詳細を見る

楽園建造計画〈4〉 (二見シャレード文庫)楽園建造計画〈4〉 (二見シャレード文庫)
(2007/05)
高遠 琉加

商品詳細を見る



やっぱり、書き切れなかったなあ。
いらんこと書いて、遠回りして、自分を曝け出さないように迂回している感想だ。
我ながら、コトバを尽くしきれていない…が、コレが私の限界ということでご容赦を!

そういえば、作中で引用が多かった愛しのエリー。
私より下の世代には、あの時代の“空気”がどう伝わっているんだろう?と、素朴に疑問。

あと、もう一つ。
折りしも本日、某漫画家さんの活動休止の報を知った。
自分と同輩の、才能溢れる作家さんのその宣言に対して上手くコトバが紡げない。
こんな時、私は所詮大好きな作家さんに対して作品を通してしか近づけないことを思い知らされる。

楽園~を書き終えた高遠さんの次の作品はもう無いのではないかと思ったのも、今は昔の話。
某さんの宣言も、早く今は昔の話となると良い。
[ 2010/07/07 22:14 ] novel BL | TB(2) | CM(2)
こんばんは!yoriさん。
コメント、TBありがとうございました~。

私がブログ開設する前の話ですから、もう今ではないんですけど当時職場に芸大のアルバイトの子がいたのですが、彼女の学校の卒業制作は最終的に作品をオンライン美術館としてHPで立ち上げて発表するのだと伺い、時代は違うなあと思いました。
一方で、あのでっかいキャンパス抱えて学校行ってたりするみたいなんですよね。
面白いです。

この楽園~シリーズは、(立地的にも)私の母校と近くの某国立大と某美大を合わせたらこんな雰囲気になるかもなあ、と思わせられるトコロがあってそういう観点からも親近感を感じるのですよねー。

芸術と言えば、高遠さんは最初の神経衰弱~シリーズでは芝居小屋の座長、次の天国が~ではシンガーソングライターを登場させており、夫々のキャラが才能が開花したり挫折したりする反面、徹底的に失っていくモノを奪われていくモノを書いております。
よろしければ、いずれこれらも読んでみて下さいませ。
高遠さんの作品が大好きなのは、恋愛であれ何であれコマを一個進めると其の分リスクが伴い、そのリスクが時にあまりに無慈悲でやるせなくなるくらいにシビアなゲームバランスを保っているトコロにあるからなんですよね。
だから、レストランシリーズも一巻読んだ時に“夢の庭”は夢になるんじゃないかと戦々恐々としておりました。
蓋を開けてみたら、攻めの実家が“身代わり”になってくれたのでレストランは残りましたが。
とまれ、このシリーズですら喪失の痛みは必ず伴うという。
世界の果て~に関しては、言わずもがな(笑)。

あと、ノスタルジーの件。
多分、yoriさんとのジェネレーション・ギャップがモロに出てますよ、多分(笑)。
昭和は遠くになりにけり(作中はジャスト90年くらいでしたが)。
あいたたた。

では!
[ 2010/07/28 01:13 ] tatsuki [ 編集 ]
こんにちは~。先にTBだけ失礼をしました。
改めてオススメをありがとうございました!拙宅にも書いたように、芸大生というアイテムは私の弱い部分をくすぐるので元気な時じゃないと手が出ません。今の時期に読むことができて良かったと思います~。
作家が創作する人物を描くときって、絶対に自分のことと無縁ではいられないですよね。3組目の二人は読んでいてとても苦しかったです。皐月のような人間を説得力をもって描けてしまう著者の本質はどちらに近いのかなぁと詮無いことを考えました。

蝶野と三木の写真に対する考え方の違いは面白かったですね。1巻を読み、2,3と違うカップルが続いたので、この二人はもしかしたらくっつかないのかな?と思ったら案の定でした。彼らの関係って恋愛未満のように思えます。三木はこの期に及んでも「嵐はまだか」と言っているぐらいですし…。でも蝶野は私的によろしくない男なので、多少痛い目を見て欲しいです(笑)

愛しのエリーについては、実はtatskiさんの感想を拝見するまであまり意識していませんでした。う~ん、全体的にノスタルジックさはあまり感じなかったです。今の時代も芸大の子達ってこんな風に過ごしているのかなと思いました。

ではでは~。
[ 2010/07/27 16:06 ] yori [ 編集 ]
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
http://joekey.blog23.fc2.com/tb.php/536-a28551c1

la aqua vita 楽園建造計画
[2013/04/22 16:16] sac louis vuitton
普段完結したシリーズものは読み終えてから感想を書くのだけど、今回は読了毎に綴ってみました。 学生アパートを舞台にした青春群像劇。 ...
[2010/07/23 23:08] 世界の果ての本棚
*profile

tatsuki

Author:tatsuki
気になる方は、こちらをどうぞ。
アサッテなBLが好きです♪
アンケート回答募集中!!

*calendar
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
*category
*counter
現在の閲覧者数:
*blog-people

読書メーター
*page ranking*


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。