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歴史と政治の間 

本日読了。
大好きな山内昌之さんの著作でしたので、勿体無くて随分時間をかけて読んでしまいした。
私が学術・教養系新書を漁り出したきっかけが、山内氏の『ラディカル・ヒストリー』なんです。
それまでは、ゼミ論とかレポートとかの為に仕方なく読んでいた教養新書でしたが(苦笑)、
同書に出会って慧眼し、その後現在に至るまで膨大な量の新書を集めるに至っております。
(件の書物が絶版なのが、実に勿体無い、復刻希望しております)
元々大好きだった歴史ですが、それ無くして生きていけないくらいに(笑)自分の糧となってしまったのも先生の所為です。
私がこの言葉を使うのは本当に稀なのですが、心より尊敬している学者さんです。

さて本編。
著者自身があとがきで書かれていらっしゃるとおり、これは珍しくエッセイ集です。
普段の硬質な論文読ませて頂いている身としては、随分意表を衝かれました。
散文的でテーマが多岐に渡っておりますので、学問用途には扱いづらい印象を受けました。
少なくとも、初心者向けではないです。
前編は9.11~イラク派兵までに至る現代政治の外交問題に関する著述が多めで、
中盤移行から歴史に纏わるお話がちらほら、宮尾登美子さんとの対談が興味深いです。
(宮尾版『平家物語』のファンの方も是非読んでほしいですね)

序盤のイスラム問題は私の興味関心が薄いので、微妙といえば微妙な内容が多いのですが、
山内氏の歴史的ダイナミズムに裏打ちされた考察は、やっぱり勉強になります。
よくよく考えたら、今の学生にとっては9.11ももう「歴史」なんですよね。
(私が、ベルリンの壁東西冷戦を歴史認識でしか考察できないように)
本当に月日が流れるのは早いです。

かなり余談になりますが、先日読ませていただいた某刑務所ネタ小説内で、
テロリストという単語を誤用していたように思って少し気になったのですが、
ジャンルが違うという事実を鑑みて、あえて感想には書きませんでした。
いえ、もしかすると私の方がテロリストという単語を誤認しているのかもしれません。
私が遠い昔にゼミで学んだ時代の意味とは、某国の大統領の解釈からして随分逸れたた印象を受けたので、
もしかしたら、ここ何年かの間に意味が変質してきたのかもしれません…。
言葉の意味って、時代を経て変わっていくものですしね。

<作品データ>
・山内昌之『歴史と政治の間』(岩波現代文庫、社会135)2006.7
 ISBN4-00-60135-1
歴史と政治の間 歴史と政治の間
山内 昌之 (2006/07)
岩波書店
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山内さんの著作の中では、新潮新書の『嫉妬の世界史』が一番読み易いと思われます。
気になった方がいらっしゃいましたら、まずこちらを先に読むことをオススメします。

・山内昌之『嫉妬の世界史』(新潮新書091)2004.11
 ISBN4-10-610091-6

↓はいつもの備忘メモ



◎日本⇔「イスラーム」関係

□黒羽茂(東北大学名誉教授)『世界史上より見たる日露戦争』(至文堂)
 ・日露戦争のインパクト→北欧・中欧

Ⅰ.イスラームの対日本観
 ・「ミカド」(固有名詞か肩書きか)…シビリアンユニフォームを兼ね備えたイメージ
  ①「天皇機関説」に象徴された天皇の平和的立憲主義者のイメージ
  ②好戦的な陸海軍の「大元帥」のイメージ
 ・ロシア=イスラーム・コネクション…情報伝達能力が優秀
 ※チェルケス人…北カフカース(黒海とカスピ海の間の地方)出身。
   18c半ば以降、チェチェン人同様ロシア帝国に抵抗
   →オスマン帝国に追放・亡命(現ヨルダン、トルコに在住)
   エジプトにもマムルークとして買われてきたチェルケス人、グルジア人が政治を掌握

Ⅱ.イスラームと日本の共通点
 ・キャピチュレーション=「恩典」
 ※オスマン帝国が16cにヨーロッパ人に恵んだ特権→近代ヨーロッパ人の不平等条約へ変質
 →近代エジプト・日本双方の同質の対欧問題

Ⅲ.日本の対イスラーム観
 ■日露戦争前
  ①「亜刺飛」(ウラービー・パシャ)への共感
   例)東海散士『佳人之奇遇』(1885~97刊)…帝国論の本質を衝く
  ②日露戦争情報戦略としての「イスラーム」
   ・荒尾精(陸軍軍人)…日露戦争前に清国の新疆ウイグルにコンタクト
   ・福島安正(日露戦争中に満州軍参謀の情報課長、後陸軍大将)
   →ロシアの軍事情勢視察のためイランを通って中央アジア各地を旅行、イスラームと接触(1896)
 ■日露戦争中
  ◎明石元二郎…明石工作、『落花流水』(参謀本部提出の報告書)
  例)「土蒸」(ポーランド人ドムスキー)、「知矢」(フィンランド人シリヤスク)、「老女傑」(エス・エルの革命家ブレシコフスカヤ女史)
  レーニン…「革命的祖国敗北主義」
 ※イスラームへのアンテナはあったが、戦争の局面では関連薄い
 ※露内部の革命派への資金援助→日本の利益のために露を動揺させる目的
 ■日露戦争後
  ・英仏の植民地支配を日本の植民地統治のモデルに。
  例1)戸水寛人(「帝大七博士事件」の中心人物)
   ・「埃及と朝鮮」(1904)
   ・「チュニスと朝鮮」(1905)
  例2)クローマー『モダン・エジプト』(『最近埃及』)
  →韓国「保護政治」の参考文献(大隈重信、伊藤博文)
  ・10月事件(1931)…「国家改造」(≒「イフティリャール」、「インキラープ」)
   大川周明(コーラン=『古蘭』翻訳)、橋本欣五郎(駐トルコ大使館付陸軍武官)両名、トルコ共和国(ケマル・パシャ)からの影響深い?
   
Ⅳ.結論
 ※日本が日露戦争を契機に対イスラーム意識を変質させて来たのに対し、
 イスラーム世界は、直接第二次世界大戦に関わらなかったこともあってか、
 現代まで基本的に日本贔屓な視点が変わっていないのが興味深い。

・「対談 イスラームがミカドトーゴーに目醒めた時」(杉田英明・山内昌之)より

他にもメモしたい箇所が沢山ありましたが、集中力が限界…。
一番興味深かった↑のみまとめてみました。
[ 2006/10/09 18:22 ] non-fiction | TB(0) | CM(0)
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