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こいのうた 

『バグダッド・カフェ』は、映画狂の頃にいつか観よう観ようと思いつつ結局観ていないのだ…。
映画よりも挿入歌として使われていた『Calling you』は有名で、当時ラジオでよく流れていたと思う。
当然歌詞の意味など知る由も無く、砂漠の中に建つ一軒の寂しいカフェのイメージが思い浮かぶだけ。
というか、実は結構長い間そのタイトルからこの映画を“イラン映画”だと私は思い込んでいたのだ(笑)。

いずれにせよ、“人”を感傷に誘う歌である。
高遠作品は理想の(居)場所を探す人々の物語であることが多いが、今回もそのバリエーションの一つ。
七年間も幽霊を歌で呼び続ける男と、癇癪で皿を割り続ける母のいる家に帰りたくない少年の物語。
先生も生徒も、先生を怨み続ける“彼”も八尋の母も、誰もが皆better placeを思い描いているのだ。
今日のような明日が続くことが耐え難い日々、そんな人生の低調の波というのは誰しもが経験するもの。
とはいえ、その暗くて苦い波に呑まれてはいけないし、ましてや決して“親友”を巻き込んではいけない。
親友/幽霊と最後のコミュニケーションにしくじった彼の歌は悲壮感に溢れ、人の胸に迫るものがある。
物語前編はそんな幽霊との対話が軸であり、幽霊を呼び出す装置に誘われた少年は狂言回しのよう。
本来回想にしか登場しえない幽霊だが、“彼”に憑依して最期のメッセージを届けに来たようにも見える。
ラストに“地上”から先生を見上げて手を振る少年の姿は、物語後編の重要な伏線にもなっている。

八尋は七年間も一人の男(=先生)を“恋”し続け、気づけば立派な大人に成長していた。
この世界に自分が存在し続けることに対する罪悪感を拭えない狩谷は、再会後も相変わらずだった…。
彼はクライマックスまで八尋のように愛することはないが、それ自体が最大の誠意であり譲歩である。
恋がそれ以外の選択肢を許さぬことだとするならば、いずれ狩谷も観念する筈だし彼に執着する筈だ。
狩谷/先生の居場所はまず本人が望んで変わらなければ、辿り着けないのだと看破する八尋/生徒。
男のというよりも人間の矜持を根源から揺さぶってくる八尋の言葉は、重い鈍器に殴られたように痛い。
ところで、私は全てのBLにおいて受けは攻めの人生を徹底的に極限まで振り回せば良いと思っている。
だから、先生のつれない態度も思わせぶりな態度も弱音を見せるシーンもみんな全て愛くて仕方ない。
幸福というのは、そういう断片を寄り集めて蓄積されていくものだと思うから。

呼ばれた/呼び続けた時点で、この二人の恋愛関係は始まっていたし決まっていたんだと思う。
運命の神様の采配は凄い。

<作品データ>
・高遠琉加『こいのうた』(三池ろむこ・画、海王社ガッシュ文庫)2012.3
こいのうた (ガッシュ文庫)こいのうた (ガッシュ文庫)
(2012/02/28)
高遠 琉加

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何よりも、幽霊がメガネなのがいかにも高遠さんらしいと感じる次第(笑)。
血縁的関係が、必ずしも精神的な絆に繋がらないキビシイ現実を突き詰めてくるのも高遠さんらしい。

逗子の亀岡八幡宮には是非行きたい。
他にも逗子には坂東のご朱印もあるのだ(笑)。
京急の三浦半島一日(二日)乗車券を利用する日は近い。
[ 2012/03/05 00:41 ] novel BL | TB(1) | CM(0)
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la aqua vita こいのうた
[2013/04/22 11:54] scarpe hogan
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