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破滅の恋 

「ひと目惚れだ。シルバのときもそうだった。彼の闘牛を一度見ただけで、その才能に気づいた。おまえもそうだ、おまえの歌に惚れた。まだ何の色にも染まっていない無垢さ。だが色濃く変化していきそうなものを秘めている。それが知りたい。だからおまえ自身に、ファドの呪いをかけたくなった」(P30-31)


両親の思い出の土地のポルトガルに立ち寄った遠藤叶多は、かくしてファドの呪いを得たのである。
一方で華藤えれなさんの“魔術”にかかった私は、以後で綴られる彼の転落人生にのめり込んだ。
悲劇的運命に翻弄されているようで、実は自律的に堕ちる人生を選び続けるのがこの主人公なのだ。
彼の魂は無垢の時も、ビッチの時も、果ては薬に心が蝕まれている時でも常に美しいから頭が下がる。
こういう非or超―人間的な“受け”の描写でこの著者を超えるBL作家さんは他にいない、と思われる。
まさにというか実にというか、見事に華藤えれなさんワールド全開の異国情緒溢れるメロドラマだった。

郷愁を誘う前近代的なポルトガルの町並みや情景は、映画のように美しく魅力的に描写されている。
だが、それはあくまで外観的な姿に過ぎず、そこに生きる人々は常に理不尽な現実と向き合っている。
異邦人である叶多が体験する過酷な身体的・精神的苦痛の数々は、半ばこの歪を映す鑑なのであろう。
だから、彼に憧憬を抱くの二人の男の叶多への視線は、何処か一歩引いた諦観に満ちているのである。
己の人生に希望を見出せない男たちと、一途にレイナルドを想い真っ逆さまに人生を転落していく叶多。
彼の原動力は一途な復讐/恋愛感情であり、その激情が読者を物語の中にグイグイ惹き込んでいく。
物語はクライマックスを経ても尚完全なハッピーエンドとは云いがたいのに、よって悲壮感は薄い。
むしろ、読後は全部耐えた!乗り越えた!的な達成感のような爽快感を味わえること請け合いである。

レイナルドが授けたファドの呪いの芽…それがどのような成長を遂げ、彼らに何をもたらしたのか?
彼にかけられた魔法あるいは呪いは、巡り巡ってプロローグの意味深な予言に返っていくのである。
よって、この物語は数学的(論理的)にも美しい(笑)。

<作品データ>
・華藤えれな『破滅の恋』(織田涼歌・画、笠倉出版クロスノベルス)2011.12
破滅の恋-MeuAmor- (クロスノベルス)破滅の恋-MeuAmor- (クロスノベルス)
(2011/12/10)
華藤 えれな

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特典ペーパーでは、運命の女神様を愛したとある男の最後の一日が綴られています。
BL/本編とは全く無関係な挿話だったけれど、これが独立した一つの短編として素晴らしかったです。
えれなさん、やっぱり大好きです♪
[ 2012/02/02 03:30 ] novel BL | TB(0) | CM(0)
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