MFのエッセイコミックスは、悔しいくらいに面白いものばかり。
とてもとても面白いのだけど、ページ数が薄くてお値段割高なのが玉に傷なんだけれど。
よって、一巻の時はジッと我慢の子で手を出さなかったんだが、二巻で陥落してしまった。
贔屓の業平君がね、今まで読んだ中でも私の理想に一番近い形で登場してくれてたからさ…。
私の完敗。
迷った末にDVD付き特装版を買ってしまったけれど、これもアホみたいに泣いちゃったヨ。
陽成院はかっこいいし、綏子様は尊く可憐だし…。
前半の業平とのイチャイチャも嬉しい誤算。
懐は寂しくなってしまったが、心は満たされてしまったので良しとする。
<作品データ>
・杉田圭『うた恋い。』(メディアファクトリー)2010.8
・杉田圭『うた恋い。』2巻(メディアファクトリー)2011.4
□藤原定家&宇都宮頼綱百人一首誕生秘話。
大体読まれた順に収録されているのだけど、特にラストは意図的な入れ替えがあると言われてる。
当時の不安定かつ不穏な政治状況は、百人一首成立の重大な背景である。
□在原業平&藤原高子有名な唐紅に水括る(竜田川にたゆたう紅葉の屏風)歌の話。
古今和歌集では歌合せで負けたことになっているが、判定に作為があったとか無かったとか…。
しっかし、業平の私生活って憶測含めて何でこんなに世間で筒抜けだったんだろうね?
私は昔から業平贔屓だけれど、高子とのエピソードが取り立てて好きという訳では無いのよね。
伊勢物語では数多の女もさることながら、惟喬親王や紀有常とのセンシティブな交流に惹かれる。
女絡みなら今際の際にいる女(生霊?)に贈った歌と、下女の代筆レターを送る話が好き。
ちなみに、筒井筒は大嫌い(しゃもじ持ったくらいで興ざめとか言い出す男に腹が立つww)。
色好み×今は手に届かぬ昔の女の話。
□陽成院(貞明)&綏子この方の不遇の人生は切ないなー。
天皇在職中は一人も奥さんがいなかったみたいで、本当に味方が少なかったことが偲ばれる。
2巻のDVDにも収録されているけれど、在原業平が一時期側に仕えていたのは史実の通りみたい。
多情な業平が方々で恋歌を詠んだのに比し、彼の歌は妻に贈ったこの歌しか現存しないという。
多分、綏子さんは美しい女性という訳では無かったんだろうけど、聡明で素晴らしい方だなあ。
牛車の中で片膝ついて、取り急ぎ後朝の歌を送る陽成院に不覚にもときめいてしまった。
悔しいのだけど、自分の中にロマンスに対する憧憬が残っていたことに驚いた。
確かにこの歌を贈ってくれた相手になら、恋をする努力をしてもいいなと思わせるくらいには。
暴君×賢女のそんな恋の話。
□藤原義孝&源保光の娘相手の女は猫を飼っている以外の情報が無い。
この話はむしろ、義孝&道隆がイチャイチャ仲良く肝試ししているエピソードだったよね。
ちなみに、藤原道隆は清少納言の枕草子にしょっちゅう登場する定子のパパだよね。
美人薄命とは彼の為にある言葉かもしれない(笑)。
□紫式部(香子)&藤子↑がニアホモちっくだとしたら、こちらはガッツリ百合ネタ。
紫式部の百人一首の収録歌は、今まで何となく冴えない歌だと思いこんでいたんだよね。
というか、紫式部自体その人間性をどうしても好きになれなかったんだよね…。
でも、こんなステキな女同士の男っぽい関係を描かれちゃうと、そりゃ惹かれるわ。
このシリーズの隠れテーマである“恋”VS.“自由”について、つい再考してしまうくらいに。
□藤原道隆&当子斎宮との駆け落ち未遂の歌。
斎宮という役職は、女の自由/不自由を考える上で最も様々な示唆に富んでいると思われる。
道隆はどこかでこの年下の女を見くびっていたように見えるが、それ故悔いの残る結果が訪れる。
恋に生きようとする女は果たして愚かだったのか、彼女の“自由”を思うとただひたすら切ない。
□藤原定家&式子今度は(一回り以上)年上の斎宮との恋。
この二人と言えば、能の定家葛のドロドロの執着愛がまず思い浮かぶ。
とまれ、こちらのエピソードでは年上の才女に弄ばれてオロオロするヘタレ年下定家君。
多分、BLで年上受けモノがお好きな方には堪らない楽しいエピソードなんじゃないかと。
女が男を手の平で転がす話は、私も大好きだ。
その秘めた思いが何処にあれ、そんな心中をおくびにも出さない姿がカッコいい。
シリーズ全編、もっとも男前だったのは式子様で決まり。
□藤原定家&宇都宮頼綱今回は六歌仙のみ。
□喜撰法師&紀貫之古今集には仮名序と真名序があった筈。
そして、六歌仙に対する評価は確かにダメだしばかりで超上から目線(笑)。
□文屋康秀&在原業平文屋康秀…臆面も無く、公共の場で土下座できる男(笑)。
在原<超女王様>業平との応酬が辛抱堪らなくて、購入に踏み切ったのである。
しかし、むべ山風→嵐って本当に情緒もへったくれもない歌だよね。
□僧正遍昭(貞岑宗貞)&吉子僧正遍昭の私的イメージって元イケメンのエロ坊主なんだけど、ちょっと印象変わったかな?
小町の百夜通いは有名どころか、世界各国に似たようなエピソードが残っていたように思う。
つまり、難攻不落のツンデレ美人というのは世界中に必ず一人はいるんだろうね…。
いや、しかし僧正遍昭はムカつくくらいイケメンで、行動すら伴っているから腹立つなあ。
何で腹立つって、うっかりオチで私もときめいちゃったからなんだけれど(笑)。
しかし、男女の間に流れる川は深いということも思い知らされるよね。
□在原行平&弘子熟年夫婦の遠恋覚悟の歌。
業平が大好きなので、当然そのお兄ちゃんであるところの行平には妄想力を刺激される。
奔放で恋多き弟に、羨望と侮蔑の眼差しを送るコンプレックス持ちのお兄ちゃんを想像してしまう。
実際、業平に比して真面目で実直なお兄ちゃんだったらしく、私の兄弟萌えの原点でもある訳で。
安定志向だって一つの選択の結果だよね。
□小野小町わが身世にふる~は昔から哀しい歌だと思っていたが、いよいよ身に沁みる歌になってしまった…。
ここでは、業平&康秀のおちゃらけコンビが絶妙のタイミングで笑いを取ってくれるのがあり難い。
創作とはいえ、この3人の絶妙なトリオ漫才に心がほっこり癒されてしまうんだな。
もし東下りのツレがこの3人だったとしたら、さぞかし旅の行程は面白おかしいモノだったであろう。
そういえば、業平が実際に遭遇したのは小町の髑髏だったという話の原典は何処だろう?
いや、杉田さんバージョンの方が夢があって楽しいからコレで良いや。
□喜撰法師&紀貫之遁世した者、しない者。
それぞれが、それぞれの限られた自由の中で優先順位を決めて選んだ結果なんだろう。
時の栄華を誇れずとも、後世に残る名作を残した人びとが愛しくて堪らない。
□藤原定家&宇都宮頼綱百人一首誕生秘話。
大体読まれた順に収録されているのだけど、特にラストは意図的な入れ替えがあると言われてる。
当時の不安定かつ不穏な政治状況は、百人一首成立の重大な背景である。
□在原業平&藤原高子有名な唐紅に水括る(竜田川にたゆたう紅葉の屏風)歌の話。
古今和歌集では歌合せで負けたことになっているが、判定に作為があったとか無かったとか…。
しっかし、業平の私生活って憶測含めて何でこんなに世間で筒抜けだったんだろうね?
私は昔から業平贔屓だけれど、高子とのエピソードが取り立てて好きという訳では無いのよね。
伊勢物語では数多の女もさることながら、惟喬親王や紀有常とのセンシティブな交流に惹かれる。
女絡みなら今際の際にいる女(生霊?)に贈った歌と、下女の代筆レターを送る話が好き。
ちなみに、筒井筒は大嫌い(しゃもじ持ったくらいで興ざめとか言い出す男に腹が立つww)。
色好み×今は手に届かぬ昔の女の話。
□陽成院(貞明)&綏子この方の不遇の人生は切ないなー。
天皇在職中は一人も奥さんがいなかったみたいで、本当に味方が少なかったことが偲ばれる。
2巻のDVDにも収録されているけれど、在原業平が一時期側に仕えていたのは史実の通りみたい。
多情な業平が方々で恋歌を詠んだのに比し、彼の歌は妻に贈ったこの歌しか現存しないという。
多分、綏子さんは美しい女性という訳では無かったんだろうけど、聡明で素晴らしい方だなあ。
牛車の中で片膝ついて、取り急ぎ後朝の歌を送る陽成院に不覚にもときめいてしまった。
悔しいのだけど、自分の中にロマンスに対する憧憬が残っていたことに驚いた。
確かにこの歌を贈ってくれた相手になら、恋をする努力をしてもいいなと思わせるくらいには。
暴君×賢女のそんな恋の話。
□藤原義孝&源保光の娘相手の女は猫を飼っている以外の情報が無い。
この話はむしろ、義孝&道隆がイチャイチャ仲良く肝試ししているエピソードだったよね。
ちなみに、藤原道隆は清少納言の枕草子にしょっちゅう登場する定子のパパだよね。
美人薄命とは彼の為にある言葉かもしれない(笑)。
□紫式部(香子)&藤子↑がニアホモちっくだとしたら、こちらはガッツリ百合ネタ。
紫式部の百人一首の収録歌は、今まで何となく冴えない歌だと思いこんでいたんだよね。
というか、紫式部自体その人間性をどうしても好きになれなかったんだよね…。
でも、こんなステキな女同士の男っぽい関係を描かれちゃうと、そりゃ惹かれるわ。
このシリーズの隠れテーマである“恋”VS.“自由”について、つい再考してしまうくらいに。
□藤原道隆&当子斎宮との駆け落ち未遂の歌。
斎宮という役職は、女の自由/不自由を考える上で最も様々な示唆に富んでいると思われる。
道隆はどこかでこの年下の女を見くびっていたように見えるが、それ故悔いの残る結果が訪れる。
恋に生きようとする女は果たして愚かだったのか、彼女の“自由”を思うとただひたすら切ない。
□藤原定家&式子今度は(一回り以上)年上の斎宮との恋。
この二人と言えば、能の定家葛のドロドロの執着愛がまず思い浮かぶ。
とまれ、こちらのエピソードでは年上の才女に弄ばれてオロオロするヘタレ年下定家君。
多分、BLで年上受けモノがお好きな方には堪らない楽しいエピソードなんじゃないかと。
女が男を手の平で転がす話は、私も大好きだ。
その秘めた思いが何処にあれ、そんな心中をおくびにも出さない姿がカッコいい。
シリーズ全編、もっとも男前だったのは式子様で決まり。
□藤原定家&宇都宮頼綱今回は六歌仙のみ。
□喜撰法師&紀貫之古今集には仮名序と真名序があった筈。
そして、六歌仙に対する評価は確かにダメだしばかりで超上から目線(笑)。
□文屋康秀&在原業平文屋康秀…臆面も無く、公共の場で土下座できる男(笑)。
在原<超女王様>業平との応酬が辛抱堪らなくて、購入に踏み切ったのである。
しかし、むべ山風→嵐って本当に情緒もへったくれもない歌だよね。
□僧正遍昭(貞岑宗貞)&吉子僧正遍昭の私的イメージって元イケメンのエロ坊主なんだけど、ちょっと印象変わったかな?
小町の百夜通いは有名どころか、世界各国に似たようなエピソードが残っていたように思う。
つまり、難攻不落のツンデレ美人というのは世界中に必ず一人はいるんだろうね…。
いや、しかし僧正遍昭はムカつくくらいイケメンで、行動すら伴っているから腹立つなあ。
何で腹立つって、うっかりオチで私もときめいちゃったからなんだけれど(笑)。
しかし、男女の間に流れる川は深いということも思い知らされるよね。
□在原行平&弘子熟年夫婦の遠恋覚悟の歌。
業平が大好きなので、当然そのお兄ちゃんであるところの行平には妄想力を刺激される。
奔放で恋多き弟に、羨望と侮蔑の眼差しを送るコンプレックス持ちのお兄ちゃんを想像してしまう。
実際、業平に比して真面目で実直なお兄ちゃんだったらしく、私の兄弟萌えの原点でもある訳で。
安定志向だって一つの選択の結果だよね。
□小野小町わが身世にふる~は昔から哀しい歌だと思っていたが、いよいよ身に沁みる歌になってしまった…。
ここでは、業平&康秀のおちゃらけコンビが絶妙のタイミングで笑いを取ってくれるのがあり難い。
創作とはいえ、この3人の絶妙なトリオ漫才に心がほっこり癒されてしまうんだな。
もし東下りのツレがこの3人だったとしたら、さぞかし旅の行程は面白おかしいモノだったであろう。
そういえば、業平が実際に遭遇したのは小町の髑髏だったという話の原典は何処だろう?
いや、杉田さんバージョンの方が夢があって楽しいからコレで良いや。
□喜撰法師&紀貫之遁世した者、しない者。
それぞれが、それぞれの限られた自由の中で優先順位を決めて選んだ結果なんだろう。
時の栄華を誇れずとも、後世に残る名作を残した人びとが愛しくて堪らない。