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天国に手が届く 

物語の初めから終わりまで、ずっと涙が止まらなかった。
あんまりこういうことは言いたくないし、ましてやコレを根拠にオススメしたくはないのだけれど。
私の弱点、即ちずっと“独り”であることの孤独感を思い知らされる山岳BL小説だったのである。
己が今も独りであることに悔いは無いし、それは私個人の宿業だと思って私は今も生きている。
この件に関しては誰かに責任を転嫁するつもりは無いし、それをミステイクだとは思っていない。
が、某義兄さんの台詞じゃないけれど、本音を言えばやはり寂しいし不安と無縁ではいられない。
そんな感情を人生の逃げ道にはしたくない意志を持って生きていると言えば、少しかっこいい。
だが、実際の私は他者の人生のリスクを背負う覚悟もない只のチキン野郎なだけである(笑)。

この作品は、恋愛感情よりも無二のパートナーを得るリスクへの葛藤に心理的比重を置いている。
たとえ独りでも、挑戦し続けるコトが人生の一部になっている二人がパートナーを組んで山に登る。
それは臨場感や達成感を共有できるというメリットと、危険が二倍になるデメリットを意味してる。
二人で協力して更に高い難易度の山に挑戦できるものの、責任と心理的負担は当然倍増する。
二人で山を登り続けることを選び続けることは、常にその覚悟と向き合うことなのでもある。

されど山は…山頂からの景観は、いつも残酷なまでに美しい。
征服欲を掻き立てられ、魅せられ、畏怖を覚えつつも彼らは彼方を目指すことを諦めきれない。
そんな二人の心理的変遷と山々の情景描写が圧巻で、とても新人作家さんの作品とは思えない。
私が長らく追い求めていた山岳BL小説の完全版に出会えた心地で、本当に感無量なのである。
その代わり、BL指数が極端に低いんだけど…。

「登りたい山を見つけて、登りたい登りたいって思っている時の、じりじりわくわくしてたまらない感じが好きです」


この主人公の台詞が、物語の発端であり、二人を結びつけるキーワードであり、結末である。
ラストの切り上げ方の潔さには戦慄を覚えた!フォルティッシモなのに、そこで止めるとはっ!!
心から、より多くの方に体感してもらいたい小説だった(断じて、泣ける/たからではない)。

<作品データ>
・夕映月子『天国に手が届く』(木下けい子・画、新書館ディアプラス文庫)2010.12
天国に手が届く (ディアプラス文庫)天国に手が届く (ディアプラス文庫)
(2010/12/09)
夕映 月子

商品詳細を見る



私は心奪われれば奪われるほど、文章が硬化する…ね……。

山頂の二人の心理的境地が高遠さんの“天国が落ちてくる”状態に近いなと思ってみれば。
この作品もタイトルに“天国”を冠していたという(笑)。
私はあまり“天国”に対するイメージが沸かない性質なんですが、もう少しこの言葉を洗いたいな。
やはり、ダンテの『神曲』辺りから取り掛からねばなるまいのかも。
[ 2010/12/09 01:43 ] novel BL | TB(2) | CM(0)
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la aqua vita 天国に手が届く
[2013/04/22 16:08] scarpe hogan
天国に手が届く (ディアプラス文庫)(2010/12/09)夕映 月子商品詳細を見る 登山が趣味の会社員・佐和は、あこがれの登山愛好家・小田切に出向先で出会った。思い切って山に誘うが、小田切の心の傷になっている...
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