スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

異端の刻印 

数百年の孤独を生きる魔物が、強靭な信念でもって理想に殉じて生き続ける姿に心打たれた。
時は“理性の世紀”19世紀後半、メイン舞台はオーストリア=ハンガリー二重帝国の首都ウィーン。
民族主義とナショナリズムが奇妙に融合して席捲し、苦肉の策で誕生した“二重”の帝国という矛盾。
その狭間で生まれ育ったが為に生じた悲劇の体験を、胸の奥に隠蔽した“淫ら”な神父が主人公。
神父=マクシミリアンは、幾度となく無く巻き込まれた悲惨な体験の果てに生涯の“伴侶”を得る。

不老不死の魔物と彼の間で繰り拡げられる対話は、恋の駆け引きではなく殆ど宗教問答の域。
一休さんor禅問答における「什麼生」VS.「説破」のような二人の応酬が、熾烈でなかなかに面白い。
神父が魔物と通じてしまうという宗教的大罪を犯したにも関わらず、その関係が二人を平穏へ導く。
ダンピールの使命を全うし、全ての“孤独”を引き受けヴァンパイアと対峙する攻めがカッコいい。
そんな彼に寄り添って生きるのが己の“使命”と、腹を括って狡猾に悪と対峙する彼の姿も眩しい。
“魔”の道に踏み入ることで、二人の硬質(ソリッド)な魂はその辺の人間よりも高次に昇華していく。

父なる神の加護を得られずとも、むしろ得られないからこそ逆に敬虔で清廉な心を保てたのかも。
矛盾と欺瞞のキリスト教社会から脱落した魔物は“自由”であり、世界の終末まで“孤独”である。
二人が夫々の不断の努力で、不老不死の理想を生きていくであろう結末に心がスッと軽くなった。
不老不死は人間の理想ではありえないけれど、その宿業を背負っていかに生きるかはその人次第。
所謂ヴァンパイアモノにあるがちなゴシックホラー的な要素は、この作品では殆どみられない。
しかも、BL的な“お約束”場面が駆け足展開気味だったけれど、私の弱点を直撃するテーマだった。
2010年の初読みBL小説は、何度も読み返したくなる華藤さんの“本領”を発揮した小説だった。
ご馳走様でした。

<作品データ>
・華藤えれな『異端の刻印』(つぐら束・画、海王社ガッシュ文庫)2010.12
異端の刻印 (ガッシュ文庫)異端の刻印 (ガッシュ文庫)
(2010/01/09)
華藤 えれな

商品詳細を見る



天の螺旋 (一迅社文庫アイリス)天の螺旋 (一迅社文庫アイリス)
(2008/09/20)
華藤 えれな

商品詳細を見る

ヴァンパイアでは無いのですが、そういえばこの作品も不老不死の業にまつわるお話だった。
古代ペルシア、ゾロアスター教、インド哲学といったモチーフは大好物だったんだけどなあ…。
[ 2010/01/10 21:29 ] novel BL | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
*profile

tatsuki

Author:tatsuki
気になる方は、こちらをどうぞ。
アサッテなBLが好きです♪
アンケート回答募集中!!

*calendar
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
*category
*counter
現在の閲覧者数:
*blog-people

読書メーター
*page ranking*


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。