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交渉人は振り返る 

昨年の丁度今頃、私はこのエントリーで榎田さんの作品に対する辛辣なレビューを認めてました。
ラファイエット侯爵による先行き不透明な資金繰り方法に、とても納得がいかなかったのですよね。
必ずしもこの作品がきっかけという訳ではないのですが、だから榎田さんとはモノの見方に関して、
根本的に相容れないんだろうなあ、と何となく思っていたのですが…。

芽吹章は、どう考えても私(好み)の側のキャラクタなんだよなー。
シリーズ3作目は、珍しく芽吹がゲーム(賭け)に負ける、即ち交渉@仕事で失敗するお話でした。
まあ、結果は単純に失敗と言い切れる問題じゃなくて、限りなくドローに近い試合だったのですが。
どちらかと言うと、勝者無し?芽吹も相手もルールを侵したから、勝ち手を見失ってしまった模様…。

結論を先に言うと、制度じゃヒトは救えない≒制度はヒトを救わない…というテーマだったかと。
ヒトが他人を救えると信じることは傲慢かもしれないけれど、ヒトはヒトじゃなければ救われません。
制度が存在するのは、よく誤解されているが仁義とか道義とかいったような目的の為ではなくて、
人間の為というよりも人間によって構成されている社会にとって効率が良いと判断されているから、
結果としてソレが尊重されている…もとい、半ば擬人化されて価値があるように仕組まれています。
制度(システム)に価値が無いとは言わないけれど、ソレは実際上は魔法=力=手段に過ぎず、
行使する者がいて、遵守する者がいて、破壊する者がいるから、人間にとっての価値が生じるのだ。
法も律も約束にしても、守りたい/守らなければいけないと感じるのは多分に錯覚が含まれている。
だから、守らなくて良いという訳では無いけれど、守るにしても守らないにしてもその行動の結果は、
自ずと跳ね返ってくる…だから、我々は慎重に行動&選択&判断しなければいけないのでしょう。

とはいえ、人間は芽吹のように信念を貫く為に成功率の低い選択肢を選ぶこともある。
無論、彼が信じているのは正義では無く…ソレがいかに理性に反した悪あがきに過ぎないにしても、
何処かで何か/誰かが変われば良いなと思い、たとえ目に見える変化が無くても構わない選択肢。
いずれを選んでも後悔するなら果敢に行動して、失敗して、後悔しようという信念が芽吹の生き方。
インローの世界では身の置き所が無く、かといって兵頭のようにアウトローに生きることも出来ず、
いずれも選べずに、グレーゾーンで右往左往している両義的な立場が芽吹の魅力に繋がっている。
ソレが彼の存在の根拠であり、価値なんだよね。

今回の榎田さんは、いつにもまして伏線を張り巡らせた構成になっていたのが良かったなあ。
ヒトを救う/救われるのも人間だけど、ヒトを裏切ったり傷付けたりするのもまた人間なんですよね。
“彼”が言ってるように、この世を動かしているのは金、力、人の気分というのはある意味で真理だ。
(この“気分”って、英語で言うとアトモスフィアで昨今の言葉で言うところのKYのことなハズですが、
空気が読めなければ“世間”を生き抜くことが出来ないというのも、一つの脅迫観念に過ぎません)
だから、それらの誘惑を克服する勇気が、極限状況でも生き抜く意思や決断が人の道を開くのだ。
芽吹の“受難”は、彼の未来の価値に繋がっていくんだよね。

そして、そんな芽吹というヒーローに読者も彼の周囲も魅了されていくんだろうな、と。
しかし、このシリーズはノスタルジー→コメディ→シリアスとてんでバラバラな軌道をとるなあ…。
芽吹がそれだけ成熟した大人であり、良いオヤジであり、未熟な人間だからなんでしょうけど(笑)。

<作品データ>
・榎田尤利『交渉人は振り返る』(奈良千春・画、大洋図書シャイノベルス)2009.6
交渉人は振り返る (SHY NOVELS 230)交渉人は振り返る (SHY NOVELS 230)
(2009/05/28)
榎田 尤利

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かなり迷ったんですけど、いつにもまして超アサッテコースな感想です。
予備知識ナシに↑だけ読んで、コレがBL小説の感想/レビューだと思う方はまずいなさそう…。
今、ちびちびとメモ取っている政治学のノンフィクション/学術書の影響をモロに受けています。
今回のテーマは、換言すると法哲学に関わる話だったと思うのだけど、私の解釈間違ってますか?
法学は般教でしか受講してないし、哲学に関しては更に素人な人間の判断/解釈ですが(笑)。
まあ、このブログの存在が間違っているのは昨日、今日始まったことじゃないのですけれど…。
てか、今更このブログでまともな感想って逆に期待されていない気がします…何となく…。

<拍手お礼>
・entry195、1128(6件)に拍手ありがとうございます~♪

以下、全て「真音」記事に拍手コメント頂きました。

>M(ひらがな)さん
ラステロ関連は、H-こさんの方が情報詳しそうだなー(笑)。
私は最近谷崎さんのスペース寄って無いので詳細分かりませんが、同人誌が何冊か出てるハズ。
商業化前のラステロ同人誌バージョンもある筈ですが、私は持って無いので比較できません。
だけど、大好きなんですよー、本当に!
2007年のマイベストの単独トップを突っ走っていたハズです。
オフでお会いしたブロガーさん達にも、会う度にこの作品の話してウザがられていたような…(笑)。
谷崎さんのコメディも大好きなんですけど、この系統の本格派はもっと好きです、はい。
そして、麻生さんが描く眼光鋭い攻めキャラが良い雰囲気/貫禄ありますよね!
槙原の草臥れ方も、GJ!って感じです(笑)。

>Yさん
コチラこそ、お久しぶりです!と言いつつ、読書メーターのコメント欄をいつも楽しく読んでいます。
槙原良いですよね!私の中であまりオヤジってイメージは無いのですが、萌えキャラです~♪
一生貧乏クジ引き続けるんだろうけど、彼は逆に良い人脈を掘り当てる才覚もあるんだろうなあ。
彼の“辛気臭い”顔に本気で惚れる男が現れても、全然不思議じゃない気がしました、ハイ。
続編が楽しみです~♪

>M(カタカナ)さん
このシリーズ、雑誌は次号で完結なんですか!全然、知らなかったです。
情報ありがとうございます~。
いやあ、シャレードのBL版トンチキギャラリーフェイクがいつも忘れた頃に発売されるもんだから、
このシリーズもてっきりスローペースで待たされるんだとばかり…(笑)。
リンクスのシリーズモノだと、もっとコンスタントに発売されるのかな?されると良いな~♪
懸賞は応募したことすら忘れていたので、買ってなくて良かったなあというのが正直な感想です。
いや、嬉しかったんですけどね。
しかし、足りていない“運”をこんなところで費やして良いのかな、とたまに不安になります(笑)。

それにしても、デコイ&交渉人小冊子が送られてこーなーいーよー。
[ 2009/05/30 20:18 ] novel BL | TB(3) | CM(6)
こんばんは!棗さん。
コメントレスが本当に遅くなっちゃった…ゴメンナサイ。
ここ数日、BLを読む気が起きなくてモリモリノンフィクションを読んでて…読み耽ってて、気付いたら寝オチっちゅうパターンを繰り返してました…。
ブログの更新も滞っているので、今日は来月の購入予定をアップするぞと思っていたんだけど、職場にメモ置き忘れてるし(笑)。

いや、そんなことより芽吹もとい交渉人~。
今回の私のエントリーは視野が拡がっているんじゃなくて、どちらかというと狭窄気味だと思いますよー。
この作品の直前に読んだノンフィクションの影響をモロに受けちゃったので、“制度”とか“信念”とかソッチの方向に意識が流れちゃいました。
BL的には棗さんが仰るように安定期に入っちゃったので、特に萌えたっ!っちゅーエピソードは無かったんです。
むしろ、今回は兵頭よりも芽吹と朝比奈の関係の方が私の場合ヤオイ的に美味しかった…気がします…。
多分、棗さんや秋月さん、ゆちゅ♪辺りには(私の萌えベクトルが)バレバレでしょうが(笑)。
殆ど“断絶”していると言ってもいいくらいなのに、芽吹の“信念”が(根拠はどうあれ)ギリギリの境界線上で彼らが繋がっていると錯覚できるような、そんな“関係”が激萌えなのです。
あれ?ハスイさんのトコロでしたコメントと被っちゃったなー。
ま、まあいいや。

とまれ、ドラマCDの方も楽しみですよねー。
あっちのエピソードは、気楽に楽しめるハズ♪
ではっ!

[ 2009/06/07 18:23 ] tatsuki [ 編集 ]
tatasukiさん、こんばんは♪

やっぱり、tatsukiさんとは、本を読むときの視野の広さが全然違うなあ~と、感じます…。
私のあのピンポイントな感想とは全然違うわ…って、当たり前なんですけどね(笑)
そして、そうかそうだったのかと、今更納得する始末、読解力ゼロです。

>ノスタルジー→コメディ→シリアス

確かに、そうなんですよねえ。
読むたびに、榎田さんという作家さんがよくわからなくなるんですよ(笑)
今だに、うまくどんな作風の作家さんなのか、掴めてない状態です…。

私は、芽吹が好きなんですよ(声の件をおいておいても)。

>成熟した大人であり、良いオヤジであり、未熟な人間

というところに、全力で頷きましたよ!
そう、芽吹って、ちっとも完全じゃないんですよね。
ホントにそこが魅力ですよね。

あ~、なんか私だけ、頭の悪いコメントしてる~。
というわけで、よくわからないコメントを残して去ってみます…(笑)


[ 2009/06/04 22:01 ] 棗 [ 編集 ]
こんばんは!ハスイさん。
ちょっと、コメントレスが遅れてしまいました…すみません。

>「何かを沢山考えさせられる作品だ」

そうですよね!
こういう作品に出会いたくて期待して本を読んだり、ゲームに現を抜かすんですよね、私達は。
いや、コーヒーブレイク的な箸休め的な軽いコメディも勿論好きなんですが、私の根っこは簡単に答えが出ない問題に果敢に取り組む人々の物語を求めているんだと思うのです。
結果は結果に過ぎなくて、ソレは私の思惑通りだったり外れたりが日常茶飯事ですが、その過程をいかに選択して生き抜くかが重要だと思うのですね。
“願望”だけで人が救えるのだとしたらソレはとてもたやすい世界ですが(ちなみに、榎田さんのシャイのファンタジーはこの方向でしたがw)、我々の日常はよくて五分五分、悪ければ殆ど望みどおりには生きられない制約があると思うんですよね。
私はハスイさん程スイーツ層に憤りは感じないのですが(多分、身近にいないから)、彼女(or彼)らは自身のヴィジョンが何らかの事情で潰えた時にどうするんだろう?と、いつも不思議なんですよね。
大好きな高遠琉加さんの黒澤探偵の「いつか君の心が、君自身を裏切る。そうなってからが、人生はおもしろいんだ」という言葉こそ真理だと思う私は、いつも“完全”な自信に満ち溢れた彼女達の根拠薄弱で心許ない(ように私には見える)“信念”が揺らいだ時に一体どう振舞うんだろう、と老婆心ながら気になってしまうのです…。
まあ、私は芽吹ほど人が良くないので、結果的に彼女達が救われようが足元掬われようがどっちでも良いんですが(笑)。

そういえば、西江さんも読まれたのですね!
アンチスイーツは言い過ぎだったかもしれませんが、「キャンキャン」や「アンアン」が自信満々に語る(騙る?)、“完璧”な恋愛像とは似て似つかぬ作品だったと思うのですが、いかがでしょう?


[ 2009/06/04 19:25 ] tatsuki [ 編集 ]
tatsukiさん、こんばんは!

私と言えば纏まらない感想を書き殴り、完結な落とし所が見つからないままになってしまいましたが、

>グレーゾーンで右往左往している両義的な立場が芽吹の魅力に繋がっている。
ソレが彼の存在の根拠であり、価値なんだよね。

この言葉に全力で頷きました。どれだけ完全に見える人間でも寸分の狂い無く完璧な存在で入られる人はいないし、どちらかと言えば不完全な部分を持ち合わせている人間の方が圧倒的に多いのですよね。頭で理解は出来ても行動が伴わなくなってしまったり、場合によっては矛盾も生じてしまうし。

「ご都合主義」で「平和的」に片付けられてしまう作品も多い中、全く平和には終わらなかったり、場合によって現実だけを冷静に伝える展開があったり(朝比奈の顛末)。

tatsukiさんの記事にあるように、「ノスタルジー→コメディ→シリアスとてんでバラバラな軌道を取る」事も面白さに拍車をかけてくれますが、それ以上に「何かを沢山考えさせられる作品だ」と言う事が嬉しいですね。今後の展開も楽しみです。気づけばまたもや曖昧なコメントになりましたが、TBさせて下さいね!
[ 2009/06/02 21:37 ] ハスイ [ 編集 ]
こんばんは&はじめまして!空想野郎さん。
そうですね、芽吹は限りなく「普通の男」で等身大の男で、相方の兵頭ともどもフィクションだからといってスーパーに何でも手に入るキャラクタでは無いから、感情移入しやすいし、彼らの物語を信頼できる私@読者がいる気がします。
正直、ココまで路線を変えてくるとは思いませんでしたが、嬉しい誤算でした。
「白黒付けたがる」のはフィクションもですが、ノンフィクションやニュースや政治もそういう傾向が強い気がします。
自身の立ち位置や価値観を絶対視して不動のものであると疑いもしない人の言葉って、全く信頼できないし、正直不愉快ですよね。
自分もそういう人間にはならないよう、精進したいと思います。
コメント&TBありがとうございました!
[ 2009/06/01 22:14 ] tatsuki [ 編集 ]
初めまして。余りにも同感なレビューなので、
トラバさせてくださいませ。

私もこのシリーズが大好きで…というより現在このシリーズくらいしか
期待出来るボーイズラブが自分的にないという寂しい状況です。

芽吹に感情移入できるのは、彼が本当に
限りなく「普通の男」だからでしょうね。
女の子のお尻にでろでろしたり、でもやっぱり
昔色々あって、しかも基本的な観念で惹かれあっている
兵藤には流されてしまう。
元々超絶人間好きだからこそ、マイノリティな関係に余り
抵抗なく受け入れてしまったと思うんすが…。笑

最近のアニメや小説はとにかく「白黒付けたがる」傾向が強い中、
この作品はグレーだからこその人間だと語ってますよね。
私も全く同感なので、だからこそ芽吹の抱える矛盾、正義、そして兵藤の彼への愛情などに心揺さぶられるのだと思います。

続きやCDにもまだまだ期待大な作品ですね♪
[ 2009/06/01 01:49 ] 空想野郎 [ 編集 ]
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