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WEED 

この物語は私が初めて読んだコノハラ作品で、機会があれば読み返したいなあと思っていました。
旧ビブロス版はもう大分前に手放しちゃっていたので、今回のフェアは密かにありがたかったデス。
こういう機会でも無ければ、一度手放した作品を改めて買おうとはなかなか思い至らない訳で…。
割と好きな作品だったのに手放しちゃったのは、突如発動した処分モードの波に飲まれたからで、
要らない本というよりは、きっと読み返さないだろうという判断で、大半のBL本を手放しちゃったのだ。
実は、ちょっぴり後悔していたのです(笑)。

さて、本作品。
以前読んだ時も同じように感じたのですが、やっぱりさっぱりBLっぽい感じがしない小説だな、と。
男同士のガチンコLOVEという意味でのBLと対極にある、男女のドロドロ系のような純愛ロマンス?
↑の解釈も微妙に的外れなんですが、若宮の視点が歪なのでどうしても引きずられちゃうんだな。
三十一歳という歳の割に利己的で、癇癪もちで、情緒不安定で、“女性”憎悪が凄まじい主人公。
彼のパーソナリティーのマイナス要素は、恐らくスイーツ脳の母親の悪影響が根底にあるのだが、
本人が無自覚だし、盲目的な愛ゆえか彼のヒステリックな反応に動じない岡田もソコに無頓着で、
私生活で支障をきたすレベルの精神的な病を患っている筈なのに、全く対応策を講じていない…。
確かに、岡田の走っている姿は読者の胸を打つし、若宮の脆い心の“救い”にもなってはいるが、
根本的に彼はまず心療内科的なカウンセリングを受けるべきだろう、と外野の私は思ってしまう。

無論、コトは非常にデリケートな問題を孕んでいるので、私の素人判断は差し控えるべきだと思う。
が、若宮の過度の“愛されたい”症候群的な間違った行動は、実は少し私にも身に覚えがある訳で。
若宮が赤裸々に読者に語る“女性”憎悪は、間違いなく合わせ鏡で己に跳ね返ってくるだけなのに、
彼はその衝動を止められないし、自己同一性の統合が上手く機能しないジレンマが筒抜けである。
その昔、大平健さんが『豊かさの精神病理』で指摘した現代人特有の精神の病(要は贅沢病)を、
彼は痛々しいまでに完全に体現しており、その病は最愛の岡田の存在だけでは癒しきれまい…。
しかも、若宮の根源(or魂源?)は更に一段深い根っこ≒“問題”があるように、私には感じられた。

てことで、以下はいつもの我流読みのオレサマ解釈デス。

この作品を端的に一言で説明するなら、コノハラ流“じゃじゃ馬馴らし”の変形バージョンだと思う。
傲慢で利己的で、他者を見下すことでのみ己の矜持を守ってきた鼻持ちならないヒロイン@若宮が、
最悪な出会い方をした岡田に執着と後ろめたさを覚え、ソレが初恋に転じ、恋愛に溺れていく顛末。
そんな若宮の露悪的なヤンデレぶりは、今まで本気で誰か(≒母親)に愛されなかったが故であり、
その為に人を愛する方法が分からず、ファッション雑誌のカタログ的な価値観で物事を図ろうとする。
が、岡田のような“真”人間には彼の中身の無い薄っぺらなマニュアルじゃ当然太刀打ちできない。
だからこそ、岡田に惚れこんで溺れていくのだが、彼は若宮が望むようには一途に愛してくれない。
自身のセクシュアリティに対する負い目も手伝って、彼のネガティブ思考はどんどんエスカレート。
あらゆることに疑心暗鬼になって、文字通り“(鬼)女”のように精神不安定な行動を取り始める。

だから、彼が“女性”に憎悪するのは己の本性の裏返しに過ぎない。
若宮というキャラクタは、“男性”である前に、“ホモ・セクシャル”である前に、“受け”である前に、
彼自身は(ヘテロ・セクシャルの)“女性”のように”愛されたい”人間のように、私には思えるのだ。
(あるいは、“女”に生まれついていたら“愛される”側の人間になれた筈という一種の思い込み?)
だから、私が直感的にBLぽくないと感じたのは、問題の本質はI・S的なモノにある気がする訳で。
(ぶっちゃけ、女性のヌードにシラける彼の姿は、むしろ逆説的にホモ・フォビックに見えるんだな)
だから、“近親”憎悪の対象の“女性”のように“彼”を愛してくれる岡田に惹かれずにはいられない。
が、自身の外見上のセクシュアリティが彼の心を引き裂き、母親が更に追い討ちをかけてくるから、
彼の心はどんどん暗い方へor弱い方へ流れ、強迫観念の世界へ転がり落ちていく作品に見える。

私がこの作品を好きな理由は、若宮が私にも確かに身に覚えがある醜さをさらけ出しているトコロ。
“女”の性(サガ)的な醜悪で歪曲した部分を、彼が無意識にあからさまに告白(懺悔)することで、
“人の振り見て我が振り直せ”的な反面教師として彼を憎めないし、むしろ親近感まで感じるのだ。
でも、ちゃんとカウンセリングを受けた方が良いと思うんだよね、いらんお世話様かもしれないけど。

要するに、いい年齢こいた“女”のルサンチマンをラディカルに描いた“BL小説”なんだと思う。

<作品データ>
・木原音瀬『WEED』(金ひかる・画、リブレ出版ビーボーイノベルス)2007.5
WEED (ビーボーイノベルズ)WEED (ビーボーイノベルズ)
(2007/05/18)
木原 音瀬

商品詳細を見る



フェア用に買ったもう一冊は『FLOWER』なんだけど、私はこの作品をちゃんと読めるんだろうか?
ゆちゅ♪さんからはメタボ受けをオススメされて、この作品もずっと気になってはいるんだけど…。
今まで無自覚だったけど、私どうも志水ユキさんの挿絵だと読む気が起きない…みたい…(笑)。
山田ユギさん系なのかな?漫画なら平気なんだけど、挿絵だとNGみたいな?うーん。

あと、文章について蛇足(つか、備忘メモ)。
木原さんの文章はザクザクしていて、ワイルド(野性的)だなあって思う。
主語の欠落が多いからかな?
読みやすいんだけど、主語が欠落するから攻めも受けも当て馬も名前が覚えられなくて、大混乱。
個性的な人物造形だから、キャラクタはちゃんと区別できるんだけど、“名前”を忘れちゃうんだな。

<拍手お礼>
・entry1060に拍手ありがとうございます♪
某aさんのブログの影響は絶大ですな(笑)。
ウチのショボいページランキングが、あっさり覆っちゃいました。
かつての、映画ヲタの成れの果てとして、ちょっと頑張った記事なので嬉しいです♪

豊かさの精神病理 (岩波新書)豊かさの精神病理 (岩波新書)
(1990/06)
大平 健

商品詳細を見る

↑で、ちょびっと触れた大平健さんの90年代のベストセラー新書。
個人的には、『やさしさ~』の方が共感できるんだけど、若宮は『豊かさ~』キャラ世代だと思う。
昨今賑わっているスイーツタイプって、世代に関わらず存在するんだな、と。
若宮の母親は、間違いなくスイーツですよね?>Hスイさん。
[ 2009/03/14 22:40 ] novel BL | TB(0) | CM(0)
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