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彼の楽園 

昨年の梅雨時期にたまたま古書専門店で見かけて購入した、菅野彰さんの初期作品。
が、じっとりと真綿で締め付けられるような鬱陶しい物語だったので、その時は読む気が起きず。
そのまま積読状態で殆ど見失っていたのですが、別の作品を探していたら見つかりました(笑)。
“本命”の方は無論行方不明中デス…来週は流石に本気で蔵書整理をしよう、うん。

私が初めて読んだBL小説は菅野彰さんの作品だったという話は、ブログではもしかして初めて?
BL漫画は大学時代後半から少しずつ読んでましたが、当時小説は全くの手付かず状態でした。
現在でも私の購入比率は6:4か7:3で漫画が多いのですが、この話をすると必ず驚かれます。
ブログの感想(記事)では、小説やらノンフィクションやらの活字本の方が圧倒的に件数多いから…。
まあ、ノンフィクション合わせると五分五分なんでしょうけど、BLに関しては今も実は漫画派なのだ。
とまれ、こんな私が菅野さんの小説に手を出したのは『毎日晴天!』の漫画版にハマッたからです。
…ぶっちゃけ、下心があったんですよ、小説版なら長男CPも一線を越えている筈だという打算がね。
現実には、全く無かったけどな!
(注>数年後に一線を越えるエピソードが無くも無いのですが、露骨に引っ張りすぎなんだよっ!)

正直、菅野彰さんの文章は当時も今も微妙に読み辛いです…。
“小説”というフォーマットで格闘しているタイプの文章(小説)だとは素人目にも分かるのですが、
それが機能している場面もあれば、そうじゃない場面もあり、統一感or一貫性が感じられないのだ。
が、実はBL小説家の中でそういう“葛藤”を作品にぶつけてくる方って、ものすごく珍しいんだよね。
同時期に読み出した月村奎さんなどは、“ライト”な筆致でプロフェッショナルを貫いているのに対し、
菅野さんは常に荒野を目指してもがいている感じで、その必死さがダイレクトに伝わってくるのだ。
BL的なモノとJUNE的なモノと純文学的なモノを上手く繋ぎ合わせられなくて、引き裂かれてしまい、
そういう裂け目?が見え隠れするのが“良い”とも言えるし、バランスが“悪い”とも言える作風です。
特に、BLブームが加熱して以降の作品群は、中盤までは踏ん張ってかなり良い勝負をしていても、
結末は明らかに集中力が途切れたんだな…としか思えないような“勿体無い”作品が多いと思う。

ですが、今回は菅野さんの小説の中でも“古い”作品になるので、手堅いです。
追い詰められた登場人物達の心理を極限まで追っていて、最後まで喰らい付いてくる小説です。
BLと呼ぶには暗すぎるBL以前の、JUNE(っぽい)小説と分類していいのかな?自信は無いデス。
表題作は、樹なつみさんの『朱鷺色三角』的な濃密な空気を孕んだ二世代に渡る近親相姦モノで、
同時収録の「まだ見ぬ夢の」は、坂井久仁江さんの『花盛りの庭』的な近親憎悪を根底に感じる。
両者に共通するのは青年期特有の強烈なファザーコンプレックスと、タナトスへの暗い欲望か…。
確かに、こういう作品は中島梓さんが語る(or語りやすい)タイプのやおい小説なのかもしれない。
が、この手のテーマに付き合うには年を取りすぎてしまった為、面白いかと問われれば正直微妙。
ただ、95年発行で当時はガッツリ高校生だった私には、懐かしい“時代の空気”を感じなくもない。
小説という部分では手を抜かずに渾身の力を振り絞って書かれたであろうと思われる作品なので、
独特の余韻はあるし、エンタメ系の作品では得がたい凄みも感じた。

たまには、こういうBL小説も良いもんだ~♪

<作品データ>
・菅野彰『彼の楽園』(今市子・二見書房シャレードブックス)1995.5
彼の楽園 (シャレード・ブックス)


ちなみに、“萌え”という部分では完全に当てが外れるので、菅野さんには深入りしたくないデス。
いや、萌えないんじゃないの!萌えるシチュエーション&組み合わせなのに、一線を越えないから、
好きが高じて、腹立たしくなってくるんだよ!↑の長男CPとか「なんでも屋~」のあの二人とかさー。
私の煩悩じゃ我慢できなくなるのが目に見えているから、菅野さんを好きな作家と呼びたくないの。
高遠さんと菅野さんって、ペーソスが似てる時があるのですけれど(注>文章は全く違いますが)、
高遠さんの方が、まだ痒いところに手が届くっちゅーか、ちゃんと書いて欲しい場面を書いてくれる。

…それにしても、本当に暫く菅野さんの小説って出てないよね(笑)>Nつめさん

<拍手お礼>
・entry348に拍手ありがとうございます~♪
[ 2009/02/06 20:53 ] novel BL | TB(0) | CM(4)
こんばんは、yoriさん。
コメントありがとうございます。
菅野さんのこのテイストがセンシティブであるとyoriさんに喝破されてしまって、目から鱗のtatsukiでした。
そちらにお邪魔しようと思いつつ、目の前の誘惑に勝てずにズルズルと。
これからそちらにもコメント伺いに上がりますね♪

で、本題ですが。
私が読み始めたBL小説は本当に本気で菅野さんが初めてだったので、最初はBL小説というものがこういう感じなんだと思ったように記憶しております。
でも、後年BL小説にのめり込んで判明したのは、むしろ菅野さんの作風こそ例外だったのだなあ、と。
とはいえ、この方の文章が良いのか悪いのか今でも自分ではよく分からないのですよね。
菅野さんから感じるのは、常に文章(小説)そのものと独りで格闘しているイメージといいますか。
いや、他の作家さんが格闘していないのではなくて、他の作家さんの多くは格闘の痕跡を上手く消しているんじゃないかと思うのです(↑で比較している、月村さんとかね)。
一方、一穂さんの文章は格闘じゃなくて“選択”に感じて、その選択は少なくとも読者@私の為ではなくてyoriさん仰る通りの著者の“快感”に従っている感じが、どうも私には皮膚感覚で受け入れがたい感じなのですよね。
つまるところ、yoriさんが仰るとおりの双方「独りよがり」の文章であるという結論に繋がっていくのでしょうか?
ちょっと、この辺はまだ保留でお願いします(笑)。

“洗練”を度外視にして格闘している菅野さんは嫌いじゃないし、むしろやっぱり私は好きなんですよ。
ちなみに、私が菅野さん以上に文章に頓着せず尚、小説(物語)で格闘しているように感じるのが西江彩夏さんです。
目下のところ。
こういうテイストはやっぱり年々いよいよ少なくなって来ているように思います。
この流れが(BL)小説にとって、良いことなのか良くない兆候なのか私には判断できません。
うう、難しい。

とまれ、yoriさんへのお返事として適切なリアクションだったのかイマイチ自信がありませんが、こんな感じでいかがでしょう?
リアクション頂けて、とても嬉しいです。
では!
[ 2010/06/09 01:51 ] tatsuki [ 編集 ]
こちらではお久しぶりです!
きゃ~、菅野さんの文章についての違和感に対して、私なんかよりも余程的確に表現してらっしゃる!!と思い、ついついコメントを残してしまいました。興奮気味ですみません。


「BL的なモノとJUNE的なモノと純文学的なモノを上手く繋ぎ合わせられなくて、引き裂かれてしまい、
そういう裂け目?が見え隠れするのが“良い”とも言えるし、バランスが“悪い”とも言える作風です。」

その通りだと思います。セオリーに従えば、自身が選んでいる文章がどっちつかずの部分があることを、十分作者はわかっていると思うのです。でも選ばずには居られないのだろうなという・・・言葉は悪いけどちょっと「独りよがり」な感じ。それが私が「文学部臭」がする(正しくは文芸部臭かな)と思った所以なのです。
そういった部分が以前は苦手だったのだけど、このところ立て続けに読んでいると、まぁいいか~と思ってしまいます。文体よりも内容を読む気に漸くなったというか、寝かせてみて良かったなと思っています。
一穂さんの文章の「独りよがり」な印象もそのうちなくなる日がくるのかしら?

ではでは!またあちらでもこちらでも宜しくです!
[ 2010/06/08 20:25 ] yori [ 編集 ]
こんばんは!棗さん。
リアクションありがとうございます。
かなり古い作品なので、反応してくれるとしたら棗さんぐらいだろうなって思ってました(笑)。
でも、棗さんが菅野さんをコンプリートしているという秘密情報は、今伺ってもやっぱり意外な気がします。
この作品は特にでしたが、菅野さんのBLは基本的に甘い感じがしないし。
どちらかというと、酸味の強いコーヒーのような苦味と辛味と、あとはたまに裸足で逃げ出したくなるようなこっ恥ずかしい成分が入っているイメージです。
もっとも、私は読んでいる割に手元に殆ど残っていないのですが…。
キャラのアレとか、はっきり言って黒ニコさんが言うところの壁本だったし(笑)。
それでも、短編でいいから、復活して欲しいですよね。

ではでは!
[ 2009/02/07 21:50 ] tatsuki [ 編集 ]
tatsukiさん、こんばんは♪

確か、菅野さんの本が出ない・・・と、私がtatsukiさんにぼやいたのは、はじめてお会いしたときでしょうか。
あれからどんだけたってるんでしょう。
・・・もう、晴天シリーズの続きは読めないものとあきらめました(泣)
菅野さん、最近はすっかちエッセイストみたいなんですよね。

今回、部屋の本整理したとき、私もこの本発掘しました。
恐ろしいことに、あの笑撃作をふくめ、すべての菅野作品を手放していないです。今回もまたきちんと保存の方向で・・・。
新刊でないんなら、既刊読み返すしかないんですよ~(笑)
[ 2009/02/06 22:07 ] 棗 [ 編集 ]
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