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まほろ駅前多田便利軒 

世界一直木賞に近い版元(文藝春秋)から発売された、三浦しをんさんの直木賞受賞作。
…と、書くと嫌味ったらしいが、流石に胴元なだけあって、彼女に限らず受賞輩出率が非常に高い。
昨今益々増加の一途をたどる各種“文学賞”は、夫々独自のコンセプトを打ち出してはいるものの、
元を糾せば販売促進の“仕掛け”であって、何らかの“権威”を期待すると当てが外れることも多い。
が、小売側からみればこういうお祭り的な空騒ぎはありがたく、いつもその結果に一喜一憂してる。
作品が“名作”かどうかよりも重要なのは、在庫の確保やら売れ筋かどうかに懸かってるってのが、
ちょっと悲しい現実なんですけれど…。

という訳で、本日は指をくわえて文庫化を待っていた三浦しをんさんの『まほろ駅~』を紹介します。
↑の“余談”から何かを感じ取っている方もいらっしゃるかもしれませんが、微妙に辛口です…。
一読者としては文学と縁が薄い私には、面白いか否かイマイチ判然としない作品に感じました。
もっと言えば、面白くなりそうなのに何故かならない…むしろ、ソレが制限されているような感じで、
腐の視点を交えて読んでも得られる“萌え”は僅かで、要するにエンタメ要素が薄すぎるのです。
そういえば、以前読んだしをんさんの小説もこんなぼやけた印象だったので、以後は全くスルー。
(確か、小さな島を舞台に白蛇様がどうのといった因習が絡んだ話…文芸書サイズで読みました)
しをさんのフルスロットル@全開な“エッセイ”は大好きなのに、“小説”だとどうも合わないみたい。

換言すると、本作品はま○○市版のIWGPなんですが、主人公の多田には覇気も魅力も無い。
彼が枯れ過ぎたヒーローなのは心に瑕があるからだ、というのは説明されずとも想像できますが、
蓋を開けてみたら、その彼の“瑕”があまりにあっけなくてごくありふれたモノだったのがまた残念。

視点キャラ・多田の眼差し(視線)の洞察力は見事なもので、見たモノに対する描写に隙は無く、
それらの断片を冷静に分析していく明晰さは素晴らしいが、逆に言うと彼は他の感覚は頗る鈍い。
特に、腐れ縁的なパートナーになる行天は、明らかにあの特有な据えた臭いを放ってる筈なのに、
視覚の描写が執拗な割に、嗅覚や聴覚の描写が大雑把なので物語にイマイチ没頭できない…。
それでも、途中までは『愛と混乱のレストラン』の理人的な“仕掛け”を期待して読んでいましたが、
それは万事に疑り深い私の“深読み”に過ぎず、あくまで多田は嗅覚に鈍感なだけでした(笑)。
いや、違う…ある意味で“見た目”が多田にとって世界了解の全てなんだよな。

だから、行天の“小指”のイタさが際立っている。
行天が心中に抱えていたと思われる瑕は、“小指”の件が無ければ一生可視化されなかった筈。
可視化されなければ“視覚”が全ての多田は、行天の心の在り処を推理したり暴くことはできず、
そんな得体の知れない行天の存在に苛立ちを感じた結果が、小指の事件に繋がっていくのかと。
そして、高校時代の事件の記憶が、“今”ここに新たな“絆”が生まれ育っていく土壌となっている。
小説に寄り添って、否、多田に寄り添って反芻してみたら、実は良く練られた“物語”なんだよな。
…私個人の主観を取っ払えばね(笑)。

個人的には、先日の『追憶の獅子』に比べて、明らかに“萌え”以外の部分でも何かが足りてない。
てか、語り過ぎ?各エピソードに付いてくる「人は所詮こういうものだ」的な主張が煩くて閉口する。
読者が楽しむ為に書かれた作品じゃなくて、“便利屋”の仕事を通して出会ったアクの強い人々を、
冷静に観察して、彼らの真の姿を克明に記述することによって、多田自身の瑕が癒されていく的な、
多田が癒される為に書かれた文章(≒愚痴)を、延々と読まされているような気になってくるのです。
観察眼の鋭い描写に舌を巻きつつも、いらんことも喋りすぎてる気がする多田にあまり共感できず。
余計なことをよく語る(考える)割に、自身の根幹に関わることは最後までネタを明かさないし…。
要するに、エピソードの割に長い小説だと思うの…ぶっちゃけ、1/2~2/3くらい圧縮可能かと。

実はこの作品には、山田ユギさんによるコミカライズ版が存在します(現状は、“幻”に近い?)。
私は第一話しか読んでませんが、山田ユギさんの実力を考えても漫画版は面白い予感がします。
漫画では原作をある程度“省略”させたり“余分”を落とすだろうから、逆に格段に良くなると思うの。
まあ、勝手な皮算用なんですけどね(笑)…一刻も早く、コミック版の『まほろ駅~』が読みたいな。

<作品データ>
・三浦しをん『まほろ駅多田便利軒』(文春文庫)2009.1
まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
(2009/01/09)
三浦 しをん

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<拍手お礼>
・entry1036、1037、1039(4件)、に拍手ありがとうございます~♪

>Kさん
こんにちは&コメントありがとうございます。
うん、“アーサーズ・ガーディアン”は最後の最後で今までと路線変えてきたと言って良いかと。
ソレが、元々の“狙い”だったのかどうかは分かりませんが…。
今回のエピソードは、割り引かなくても十分に楽しめる正統派の展開でした。
ただ、となるとやはり前回までの路線の意図が、ネタ以外の何処にあるのか分かりません(笑)。

>名無しさん
某掲示板でもアツいことになっているみたいですね~。
私はそれほどひちわさんのファンでは無いけれど、でも今回はひちわさんって気がしてなりません。
体内の萌えセンサーが久々に反応しました(笑)。

>いつもの~さん
今回のエピソードは、しっとり系で心揺さぶってきますよねー。
私の場合、最近は感情バロメーターが振り切れるか、微動だにしないかの2択が多いので、
感動作かと問われると自信無いのですが、暖かい気持ちになれる良い作品だったと思います。
…しつこいようだけど、今までは何だったのでしょうかね(笑)。

今回は、皆さん『追憶の獅子』にコメント残して下さいました。
ほぼ同様のリアクションが返って来た事に驚きつつ、嬉しい気持ちでいっぱいです。
[ 2009/02/01 01:07 ] novel 非BL | TB(2) | CM(0)
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la aqua vita まほろ駅前多田便利軒
[2013/04/22 15:21] sac louis vuitton
今読み返してみたら、小説版の感想はえらい辛口だった。 しをんさんの“小説”はやっぱり苦手なんだよね…展開も文章も破綻が無くてスマート...
[2009/12/27 19:26] la aqua vita
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