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翠慶庭園 

“春”は別れの季節でもあり、出会いの季節でもあるわけで…。
無精者なのでさっぱりやる気が起きず、長らく放置していた蔵書処分にようやく踏み切りました。
その際に、まさに運命的な出会いもありまして、古書店からそのまま身請けてしまいました(笑)。
不肖私、本日までルチルノベルスというBL(?)レーベルがあったこと自体を知りませんでした…。
ルチル文庫じゃありませんよ!幻冬舎の前のソニマガの前の“スコラ”時代の“ルチル”レーベル。
私は“ルチル”に対する思い入れが強いので、同文庫にはビミョーな感触を抱いてしまうのですが、
今回読んだかわいさんのルチルノベルスは、懐かしい“ルチル”の雰囲気を感じて大満足でした♪
ご馳走様です!

いかにも“90年代”な空気が濃密な、やや閉塞的で暗いトーンの近未来設定のSF小説でした。
BLに限らず、当時のファンタジー系ないし少女漫画にはこういう雰囲気の作品が多かったと思う。
華不魅さんや、なるしまゆりさん、渡辺直美さんとか、樹なつみさんとか、清水玲子さん等々…。
もしかしたら“小説”にもこの手の作品が多かったのかもしれませんが、当時の私は漫画読みで、
90年代は私はBLという言葉すら知らなかった清純派(?)な時代でしたから、接近してたとしても、
↑の漫画家さん達が限界!てか、時代的にも“BL”という単語はまだ定着していなかったような?

そんな今となっては“レトロ”としか言いようがない雰囲気に、私は逆に強いシンパシーを感じます。
自分がもう一度高校時代に遡れたとして、BLを読んでいたかと問われれば殆どノーだと思いますし、
大人の“今”だからこそ楽しめるのがBLの醍醐味だと思うのですが、今回の作品に限って言えば、
当時リアルタイムで出会っていたら、今以上にかわいさんにのめり込んでいたんじゃないかしら?
私の“若い”時代特有の空気の刻印を帯びた作品だったから、むしろもう少し感性が鋭かった時に、
出来れば出会っていたかったなあ、と強く思ってしまいました。

BL的には、朝チュン(笑)。
ピュグマリオンよろしく、クローン技術を駆使して己の理想をバイオロイドに託した科学者クロサワ。
恋愛的にもライバルでもあったナイジェルに、そのバイオロイド(クレアとアレン)を奪われてしまう。
三年越しにようやく見つけた彼らは、過去の記憶を上書きされており、無邪気に健やかに成長中。
彼らの心穏やかで幸福な姿に生みの親のようなシンパシーを感じ、密かに二人を見守ろうとする。
が、一方で彼らは某国の情報機関に利用されてる状況下にあり、きな臭い仕事も引き受けている。
夫々が微妙に“秘密”を抱えたままに物語は進行し、このギリギリのバランス関係が崩壊する時が、
ついに訪れる訳で。

この手の設定は、大風呂敷を拡げて未完のままに放置されるパターンが非常に多いデス。
それこそ、華不魅さんの『グラマラス・ゴシップ』とか、なるしまゆりさんの『少年魔法士』とかさあ。
未だに続編が出るのを待っているんだけど、先日のバーズもだけどウィングスも未完が多いよっ!
そんな中、小さく手堅く単行本一冊でまとめたかわいゆみこさんの我慢強さに尊敬を感じました。
バッドエンドかもと思いつつ読んでましたが、ラストはやや駆け足で全て事なきを得る顛末なので、
確かにご都合主義的な要素は感じるのですけど、ライトなニアBLならこの程度で丁度良い按配。
殆どBL的な描写は無いのですが、痒いところに手が届くハッピーエンドで己の“萌え”的にも◎。
想像力を刺激してくれる、余韻のある読後感が良かったです。

90年代のBLって、まだまだ模索の時期で様々な可能性を秘めていたんだな、と思いました。
今の定着したジャンルの特性は、我々が望んだ結果だったのか、馴らされた結果だったのか…。
うっかり、そんな瑣末なことまで考えてしまいました。

<作品データ>
・かわいゆみこ『翠慶庭園』(亀井高秀・画、幻冬舎ルチルノベルス)1998.8
翠慶庭園(ツィキン・ガーデン) (RUTILE NOVELS)翠慶庭園(ツィキン・ガーデン) (RUTILE NOVELS)
(1998/08)
かわい ゆみこ

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[ 2009/03/18 20:13 ] novel BL | TB(0) | CM(2)
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Author:tatsuki
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