スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

逃げ出すにはもう遅い 

その昔、私はミズノさん(注、当時は別PN)と上田規代さんの為だけに「バジル」を買っていました。
流石に手元に残っていないし、↑のアンソロジーは結局1年ともたなかったけれど追いかけていた。
アンソロジーの掲載だけでは到底我慢できず、某即売会で同人誌を買うまでの濃いファンでした…。
お二人とも、こうして単行本で日の目を見る日が来るとは思っていなかったんですよね、実は(笑)。
この出版不況のご時世に、部数にシビアなK川からまさかミズノさんのコミックスが発売されるとは!
しかも、私はK川作品には根強い不信感があって発売当時は、愚かにもスルーしてしまったのデス。
本当にアホだな、私!この短編集には、隅から隅まで己の理想の“萌え”がつまっていましたヨ。
大、大、大満足の萌えBLばかりでした、ご馳走様です♪

□逃げ出すにはもう遅い
表題作のアオカン自慰…っちゅーか、テレフォンセックスネタですかね?
メガネ攻めがナチュラルに言葉責めなド変態で、最後の最後まで手を出さないのが素晴らしいっ!
しかも、私の大好きな視姦ネタ~♪

□案ずるな、恋は叶う
バカワンコ×ツンデレかな?
コレが年下攻めだとビミョーなんだけど、タメとも系親友→気になる→付き合う展開は大好きだ。
勘違いの恋が、ホンモノの恋で上書きされていくドタバタコメディです。

□恋愛★マウントバトル
攻め×攻め(おまけでリバw)。
何て美味しい二人なのか!
白髪の村上さんが、一歩引いたツンデレキャラで相手に主導権を明け渡すのがカッコいいなあ。
なのに、黒髪の村上さんが弱った隙に主導権を握ってしまう強かさもあって萌えも倍増デス。

□いちばん長い夜の前
朴訥体育会系攻め×グルグル系メガネ。
朴訥攻めはムッツリ(スケベ)だから、美味しいと思うのです。
“恋”でグルグルしている受けに対して、己の“劣情”でグルグルしてしまう不器用さが堪らない~。
恋愛勝負的には、ドローだから読んでいて気持ちが良いんだなー。

□誰かじゃなくて君がいい
オレサマ従者×ツンデレ王子。
学園モノの中でもありえない指数MAXな“設定”なんだけど、組み合わせが美味しすぎるよ~♪
ぎゃああ!!冷静に考えるとツッコミどころ満載なんだけど、萌えが全てを凌駕しちゃうんだよー。
大好きだ。

<作品データ>
・ミズノ内木『逃げ出すにはもう遅い』(角川書店アスカコミックスCLDX)2009.3
逃げ出すにはもう遅い (あすかコミックスCL-DX)逃げ出すにはもう遅い (あすかコミックスCL-DX)
(2009/03/01)
ミズノ 内木

商品詳細を見る


全体的に、某ギンタマに嵌りたての頃の自分のテンションになってるなあ。
嵌ると一直線な単細胞だから、こんなアホな感想書いていても幸せモードな自分が怖い…。
数日後に、抹消したくなるエントリーの筆頭になるんだろうな(笑)。

スポンサーサイト
[ 2009/03/30 21:57 ] comic BL | TB(0) | CM(0)

日曜日に生まれた子供 

『田園少年』は本棚にちゃんと収まっているのに、『SALVA ME』は見当たらない…。
買っていない筈は無いので、買った後にどうしたのか…きっと、近日中に再購入するんだろうな、私。

てことで、本日はお久しぶりの紺野キタさんのBLコミックです、BLっちゅーかシニアラブ
綺麗なお兄さんオジサンは好きですか?的な、珠玉の“年上受け”モノ中~短編集でございます。
ご承知の通り、年下攻めにあまり(←控えめ表現)関心が無い私ですが、紺野キタさんは別腹
オジサンもかつては稀代の美青年で、美少年で、“祝福された子供”だったことが想像できる物語。
彼らの“姿”は月日を経た見かけの変化に過ぎないだけで、本質は今も昔も変わらずに美しいのだ。
ノスタルジックな回想シーンを挟みながら、二人は共に在ることをを選ぶことで“幸い”を手に入れる。
出来る範囲で社会の現実と折り合いをつけつつも、肝心なかけがえの無い相手には妥協しないし、
遠慮しないし、侮らないし、そんな互いに尊重しつつ手に手を取り合う二人の“関係”が尊いのです。
特に、自業自得で今日も今日とて“孤独”を生き抜く誰かさんの、荒んだ心にはよく沁みます(笑)。

BLを読んでると“若い”って良いなって単純に羨ましく思うことがあるけれど、紺野キタさんの場合、
老いも若きも関係なく、可愛くて、明るくて、気立てがいい子供の延長の大人も幸せになるんだよね。
日曜日に生まれた子供は先天的に“祝福”されているのではなくて、“出生”の顛末をものともせず、
自身にとって一番大切なコトを見失わないし、守り続けるから、真の意味で幸福を手に入れるのだ。
人生の全てをかけがえの無い相手(≒恋人)に賭ける“勇気”が、我々読者の魅了するんですよね。
誰かさんに彼らのツメの垢でも煎じて飲ませたくなるような、爽やかでハートフルな珠玉の作品集。
ご馳走様でした!

Monday's child is fair of face,
Tuesday's child is full of grace,
Wednesday's child is full of woe,
Thursday's child has far to go,
Friday's child is loving and giving,
Saturday's child works hard for a living,
And the child that is born on the Sabbath day
Is bonny and blithe, and good and gay.

やっぱり、マザーグースで正しかったのね。
「CRAFT」の感想では自信が無かったにも関わらず、ロクに調べもせずに放りっ放しでした(笑)。
今回は、ちゃんと調べた。

加えて、「日曜日のピュ(Sunday's Children)」(1993)という映画も下敷きになっているっぽい。

<作品データ>
・紺野キタ『日曜日に生まれた子供』(大洋図書ミリオンコミックス)2009.4
日曜日に生まれた子供 (ミリオンコミックス 37 CRAFT SERIES 27)日曜日に生まれた子供 (ミリオンコミックス 37 CRAFT SERIES 27)
(2009/03/28)
紺野 キタ

商品詳細を見る


[ 2009/03/28 21:20 ] comic BL | TB(1) | CM(2)

よくわかる現代魔法 6巻 

もうこのシリーズの続編は、半ば諦めていました。
著者のバトルフィールドが本格SFとか一般文芸に向かっちゃったので、典型的なキャラクタ小説で、
美少女(?)達の“魔法”バトルがメインなコメディ型ラノベである本作は、もう無理なんだろうと…。
いやあ、待ちましたよ!屈折4年ぶり?予告を見ても、全く信用していなかったけど無事に発売。
そんなながい長いブランクを物ともせず、キャラクタは相変わらず魅力的だし、ネタは面白いなあ。
てことで、またまた続きが待ち遠しくて仕方ない無限ループに嵌められちゃいました(笑)。

シリーズ途中から手を出す方はそうそういないでしょうが、このブログでは初めて取り上げるので、
今回はシリーズ未読の初心者向け解説/推薦を心がけたいと思います。

たったひとつじゃない冴えたミステリ/ファンタジーとして、私はこのシリーズを深く愛しています。
“魔法”をシステムとして捉えて、唯一じゃない“方法”で夫々のヒロインが本質を獲得していく物語。
どれくらい愛してるかというと、某英国妖異譚シリーズと甲乙つけ難いくらいにお気に入りなのだ。
キャラクターの性格的な役割分担も、“魔法”と呼ばれる特殊能力も、↑の両作品はよく似ている。

・森下このみ@ドジっ子魔法使い(?)、“たらい”(水系)の召還魔法のみ生成可能。
 →ヒロインなので性格的にはユウリタイプで、(魔法)技能的にはオスカーに近い。
・一ノ瀬弓子クリスティーナ@古代魔法使い、“剣”(火系)他さまざまなコード生成可能。
 →性格的にはツンデレ孤高派の隆聖さんかな?(魔法)技能的にはユウリ。
・姉原美鎖@現代魔法使い、コンピュータを利用したスクリプトでコード@魔法を生成。
 →英国妖異譚的におけるアシュレイと同様の荒唐無稽で唯我独尊の“カオス”派の天才。
・坂崎嘉穂@非魔法少女、但し、コンピュータ関連の知識が多く、このみの良きアドバイザー。
 →(友情)ポジション的にはシモン…とはあまり似てないから、彼女もアシュレイ…否、パスカルだ。
・姉原聡史郎@非魔法少年(笑)、紅一点じゃなくて緑一色(?)、魔法防御力SS。
 →ナチュラルに魔的なものの干渉を受け付けない体質という意味では、シモン(笑)。

ちなみに、“現代”魔法に関しては各章のサブタイトルにヒントがあるので反転して記載しときます。
この世界における“魔法”は、スクリプトを組むことで発揮する各種“効果”のことなのですが…。

prologue
第1章 寄木細工の卵【Mosaic
第2章 輝くもの、透明なるもの【Chrome
第3章 神の運び手【Sleipnir
第4章 猛獣狩り【Safari
第5章 未知なる世界【Explore
第6章 ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために【Opera
第7章 火狐【Firefox
epilogue

今回の副題は、ずばりFireFox!…クルクル廻るもふもふっとした可愛い使い魔(?)が大活躍。
(ちなみに、私にとってもお馴染みのブラウザでして、このエントリも炎狐の恩恵を賜っています)
このみにとっての“炎狐”は、タイムリーなことに前回しつこかった砂原さんの“言ノ葉”とほぼ同じ。
使い方次第ではとても便利で、人間に幸福をもたらすのですが、“諸刃の剣”でもある訳でして…。
使いこなしきれないのなら、元の“世界”に還してあげるのが筋で、このみは“選択”を迫られます。
かわいいもふもふの毛玉ちゃんとこのみの暖かい“友情”(?)は、どんな結果になるのでしょうか?
ラストはどう見ても急ぎ足でしたけど、唯一じゃない方法で大切なモノを守り切る展開が心地よい!
魔法と効果、結果と過程、人間の心情とコトの本質を混同しないスマートさがこの作品の魅力です。
ライトミステリやファンタジーがお好きな“理系脳”の方に、強くオススメしたい一品です。

続きが早く、読みたいよー。
あと余談ですが、ニャンコ派の方は著者のあとがき読むだけで、とても癒されると思いますよー♪

<作品データ>
・桜坂洋『よくわかる現代魔法』6巻(宮下未紀・画、集英社スーパーダッシュ文庫)2009.3
よくわかる現代魔法 6 (6) (集英社スーパーダッシュ文庫 さ 5-8)よくわかる現代魔法 6 (6) (集英社スーパーダッシュ文庫 さ 5-8)
(2009/03)
桜坂 洋

商品詳細を見る

[ 2009/03/25 20:24 ] novel 非BL | TB(1) | CM(0)

言ノ葉パラドックス 

昨日の続きです(笑)。
先に立たないから後ニ悔ムものと知りつつも、前編より先に続編を読んじまった自分に大後悔
覆水(時間)盆(元)に還らずですが、前作を先に読んでいたらどういう感想を抱いていたのかなあ?
“言ノ葉”パラドックスの解法が書かれていない現実に、腹を立てていたような気がするんですよね。
という訳で、頭ン中がこのパラドックスの疑問でいっぱいで苦しいので、己の脳内を垂れ流します!
本当はいつものお友達にメールしようかと思ったけれど、どうみても私の思考回路がウザいので、
今回は腹を括ってオンライン上で公開しちゃいます(笑)。

てことで、信頼できない語り手である余村の“語り”から、私@読者は何を引き出したら良いのか?
余村が“人の声”だと判じる彼の頭の中に響く“音”の正体って、結局のトコロは何だったのかな?。
私にはソレが特殊なテレパシー的な能力で余村が“受信”している“声”かどうか、判断出来ない。
余村の“幻聴”かもしれないし、もっと言えば余村が関わることで逆に相手の“心”を操作している、
という可能性も捨てきれない…このシリーズは、その特殊(?)能力に“意味”を与えていないから。
余村の語る解釈が“正”だとしたら、物語は寓話@“教訓”が無ければバランスが悪いと思う訳で。
だから、私はあまり作中の余村の判断を信じていない(むしろ、“弱音”に見えて仕方が無い…)。

万が一、ソレが超-人間的な能力だとしても、彼の逸脱は人の心を受信することにあるのではなく、
人の心に介入→支配することができちゃう可能性をまずは疑うべきだし、悩むべきだと思うのだ。
えーと、私が大好きな某SWの台詞&設定を借りるなら、“Force”の暗黒面っちゅーヤツですな。
続編は実はそこがポイントになっているのですが、余村は己の能力にそういう意味では無自覚で、
己のコトしか考えられないという意味で視野狭窄的で自己中なので、危なっかしくて仕方が無い。
余村の“疑心暗鬼”がきっかけで、無意識のうちに現実に“鬼”が召還されているかもしれない訳で、
悩むにしても、怯えるにしても、私ならむしろそっちの“可能性”の方がよっぽど怖いです。

能力の有無に関係なく、人間は相手の口先の情報だけを鵜呑みにしない動物だと思うんだよね。
表情とか、相手の“癖”とか、そういう微細な情報を無意識に読み取って相手の心を察するのが、
人間@社会的動物で、ソレが面倒だったり不得手な人は自ずと対人関係のストレスも生じやすい。
逆に、陰口だとか噂話だとか、望んでいないのに聴こえてしまう雑音的な“声”も日常茶飯事だし、
そんな人の心を傷つける声だってありふれたもので、我々は局面局面でその“刃物”と戦っている。
我々はそんな世間と言う名の戦場を渡り歩いて、克服しているから“人間”だと思うのですよね。

余村は人の“刃物”には敏感なのに、自分の手持ちの飛び道具的な“刃物”に鈍感なんだよなあ。
自分の言ノ葉だって、もしかしたら相手を傷つけているという可能性には思い至らないモノなのか?
『言ノ葉ノ花』だけだとそこが曖昧なまま、教訓も痛い目も無いままに幕を閉じるから違和感が残る。
この作品を先に読んでいたら、やっぱり私はこの物語の顛末に納得出来なかっただろうなあ(笑)。
そして、余村の悩みが若宮@『WEED』とは症状が違う現代人の贅沢病に見えて仕方無いんだな。

シックス・センスでもムシの知らせでも、作中に出てくるコールドリーディングでも結局は同じコトで、
見え難いだけで、バタフライ効果とか風が吹けば桶屋が儲かる式の“理論”が構築可能なハズだ。
余村や仮原は、その微細な変化を読む(聴く)力が平均的な人間より高いだけなのかもしれない。
だから、その“能力”は使い方次第じゃ大儲けできるし、他者を幸せにすることも可能なんだと思う。
その“能力”を何処で何に利用するかは彼ら次第であり、仮原の方が己の“能力”に自覚的な分、
読み手(私)は安心して作品に没頭出来る。

と、とりあえず中断…答えが見つかりそうだったのに、また見失った。
風呂入って、考え直してきます。


[ 2009/03/23 20:16 ] 未分類 | TB(1) | CM(6)

言ノ葉ノ花 

余村和明は、『やさしさの精神病理』の世界の住人に見えました。
私は雑誌のスピンオフ(?)を先に読んじゃったので、というかソレをきっかけに読んでみたので、
この作品の印象…もとい、主人公の余村和明に対するイメージが他の読者とズレてると思います。
結論からいうと、彼の“能力”は特殊でも何でもなくて、自身の人間関係に対する根強い不信感が、
まるでその“異能”が発現したかのように、錯覚させる仕掛けが施された風刺小説だったと思う。
余村は、あらゆる“声”(=ヴォイス≒情報)がノイズに変換されちゃう特異な体質という意味では、
社会に“適応”しきれなかったフラジャイルな子供が、そのまま大人になっちゃったパターンかも。

望月峯太郎さんの『ドラゴンヘッド』の、トンネルの奥底の暗闇に恐れ戦く“少年”達も彷彿させる。
昨今はケータイが無いと不安だとか、メールじゃないと本音が伝えられないと思っている子供達が、
急速に増えてきているそうですが、面と向かい合うこと以上に“心”が伝わる手段など無い訳で…。
但し、ナイーブな心の持ち主には、そのダイレクトに伝わる“心”が逆に耐え難いのかもしれない。
対人関係で疑心暗鬼になっている余村は、物事を悪い方に悪い方に考えて逃げる癖があるから、
他者の“ノイズ”ばかりが聞こえて、大雑把に言って鬱病的な統合失調症に悩まされるのである。
余村が欲したのは、心の声じゃなくて本音をオブラートに包んでくれるツールだった気がします。
この作品(シリーズ)でケータイが重要なアイテムとして登場してるのは、その証左のような…?

つまり、余村は典型的な信用できない語り手なので、私は彼が語る情報を鵜呑みにできなかった。
大体、そもそものきっかけと余村が回想する母親の“声”だって実際の発話だったのかアヤシイ。

『母親だもの、欲しくないなんて言えなかったのよ』(P42)


二重括弧だしね。
そして、シリーズという文脈ではケータイ同様、“母親の呪縛”が設定の根幹に関わっています。
余村自身のコミュニケーション能力の未熟さが、彼の心のストレスの根源的な問題なのであって、
『声』の有無はあくまで付随的な問題に過ぎない、とシニカルにストーリーが進行するのが面白い。
そして、雑誌掲載作品を読めば明らかなように、砂原さんは確信犯的にこの設定を企んでいる。
『声』に安易な答えを与えないで、読者に想像の余地を残しているのがこの作品の醍醐味です。

私は、雑誌掲載のアキムラカズヨ(?)の境遇が萌えるから、余村に対してイジワルだな(笑)。
いや、余村が精神的に追い詰められていく心理サスペンス的な要素はとても面白かったんだけど、
攻めが温厚な年下ワンコ攻めだったから、私的にはBLの萌えが皆無なのが最大の敗因デス…。
今回の雑誌掲載のスピンオフが無かったら、一生読まなかったことでしょう…。

そして、『言ノ葉ノ花』と『言ノ葉ノ世界』の関係はスピンオフというよりは、パラレルですね、多分。
設定が設定だけに思考実験的なBL作品だから、アナザー(裏?)ルートも存在するんでしょうな。
私は、アキムラカズヨ(?)バージョンの底なし沼的な、ドロドロバッドエンドルートが読んでみたい。
ディアプラス的にはアウトだろうけど…。

<作品データ>
・砂原糖子『言ノ葉ノ花』(三池ろむこ・画、新書館ディアプラス文庫)2007.9
言ノ葉ノ花 (新書館ディアプラス文庫)言ノ葉ノ花 (新書館ディアプラス文庫)
(2007/09/10)
砂原 糖子

商品詳細を見る

[ 2009/03/22 20:23 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

小説Dear+2009年ハル号 

先ほど届いたシャレードのメルマガによりますと、某レストラン本は4月も出ないっぽい?
でも、5月とも書いて無いなあ…いつものシャレードの発売日とはずらした単体発売狙ってるのか?
とはいえGW進行の時期だから、どの道最短でも5月発売の時期にずれ込むんじゃないのかなあ?
まあ、予想はしてたし、今回が初めての事態というわけでも無いので大人しく待ちますけどね(笑)。
編集部の対応が異常に慎重なのが、意味深だ。

そして、いつき朔夜さんの新刊はいつなの?
本日の「小説ディアプラス」の予告でも表紙画像がアップされてないので、今月も無理っぽくない?
というわけで、久しぶりに「小説ディアプラス」の羅列感想書いてみます、い…一年ぶりくらいかも。
昨年の「小説ディアプラス」は買っても殆ど読まずに放置しているので、ちょっと反省してるんです。
読まないままの惰性買いは一番よくないと思って、とうとう前号は買わず終いでスルーしました。
今回は、本当はいつきさん目当てで買ったんですけどね…まあ、結果的に大満足の号だったから、
良いけどさ…。

□いつき朔夜『溺れる人魚』(北上れん・画)
萌え無し、胸キュン無し、オチ無し…いきなり、巻頭から手酷いの読まされて心が折れそうになった。
いつきさんの硬めの三人称の文章は、たまに主体の本音が漏れてビミョーな心地になるのですが、
今回の作品読んで確信したのですが、エロゲーのテキストノベライズみたいな文章だったんだな。
別にエロゲーじゃなくても良いんだけど、サウンドノベルとか「神宮寺~」シリーズみたいなアレです。
重度のゲーマーである私はオートスキップしちゃうので、物語がさっぱり通じてこないあのジャンル。
何となく理系の文章だとは思っていたけれど、“ゲーム”の文章というのがより正確だったのかも…。
いや、それにしてはいつきさんの文章は整っているんだけど、時折描写が退屈に感じる時もあって。
それでも、今まではエピソードに好きな部分があったから許容できたけど、今回は全く無理でした。
ロクデナシの攻めに、ロクな制裁も無くハッピーエンドってありえん!

□砂原糖子『言ノ葉ノ世界』(三池ろむこ・画)
何となくセンシティブな合わない匂いがしたので、実はこの前作を読んではいません(笑)。
でも、面白かった!攻めが人の本音が聞こえる子で、その異能に心傷ついていく様子が赤裸々で、
つまり、攻め視点だから読者に筒抜けで、天使のような年上の天然ちゃんに出会って恋に落ちる話。
私は、こういう天使を陥れて穢そうと試みる孤独な悪魔(?)が逆に天使に翻弄される話が大好物♪
(某スレイヴァーズシリーズの異様にハイテンションな感想を見ていただければ、一目瞭然かと…)
今回は攻め嫁を越えて、受けのになることに喜びを噛み締める攻め、大好きだ!!

 自分は藤野の犬だ。
 幸せだった。


あ!前作読んだ方に質問が一個。
今回、狂言回し的な占い師(アキムラカズヨ)として登場した男って、前作にも登場してるのかな?
彼が、もの凄く気になった。

□岩本薫『プリティ・ベイビィズ』(麻々原絵里依・画)
もの凄く、途中の最中から始まっているのでパス。

□久我有加『普通ぐらいに愛してる』(橋本あおい・画)
普通ぐらいに読後は悪くは無かったけれど、面白かったかと問われれば正直微妙…。
最近は久我さんの受けもセンシティブ系が多くて少し閉口していたのですが、今回は割と活発型。
だから、受けは気風の良いキャラなんだけど、攻めは捉えどころの無いメガネでイマイチ萌えない。
そして、エロは次号の“蜜月編”に乞う期待なんでしょう(笑)。
じいちゃんが良い味出してたけどね。

□名倉和希『耳たぶに愛』(佐々木久美子・画)
オヤジ受けの匂いがしたので、とりあえずスルー。
後日読んだら、感想追記します…と言いつつ、実際に追記したためしって無いんだけどさ。

27歳のニート攻め×引きこもりの42歳イチバツ子持ちの金持ちオヤジ受けでした(笑)。
いや、今回のコメディ担当なのは分かるんだけど、カラーがディアプラスぽくないので戸惑うなあ。
“オヤジ”受けの方は、キャラ設定がデフォルメされた“漫画”っぽいので生々しさは感じないです。
むしろ、27歳の若手(?)攻めの考え方や行動パターンにオヤジ的なキツイ加齢臭を感じました。
独り言は多いし、“名器”とか“若い子が良い”って発想は、もう既に取り返しのつかないレベルで、
イロイロと大事なモノを失っていると思うんだ…面白いと言えば面白いけどBL的にはキッツイなあ。
外堀から埋められちゃった歳の差CPのコメディにしては、二人の精神にそれほどギャップが無い。
むしろ、同じ土俵っつーか…可愛いBLが好きな私の“好み”からは外れたBLでしたわ(笑)。

□夕映月子『solitude』(小川安積・画)
ぎゃあああ、私が待望していた山岳BLの理想型がキタ!
筆力あり過ぎでとても“新人”さんとは思えないんだけど、それこそ90年代のディアプラスちゅーか、
JUNEの投稿作みたいな純粋さと、人物描写の確かさと、良い意味で熟練の穏やかさを感じます。
BLでもエンタメでもなくて、純文学よりなんだけど柔らかい空気が馴染むジュブナイル風でもあり、
厭味な風味が全くしない熟成された美味しいコーヒーのような作品でした、大満足の一言です!
この適当すぎるPNの所為で検索に引っかからないけど、きっと他にも何か書いている方ですよね。
BLじゃないかもしれないし、オンラインでも同人でも無いかもしれないけど、絶対何か書いている。
この文章は、もっと読みたい。

…ここで暴露するのもアレですが、実は私は昨今人気の一穂さんの文章を全く受け付けられない。
今までも読みにくいor読めない文章はありましたが、生理的に読みたくないと思ったのはこの方だけ。
高校文芸部の同人誌の掲載作品のような繊細な文章が、逆に本気で耐え難いものを感じてしまう。
だから、何が言いたいかというと夕映さんの文章は一穂さんタイプとはまた違うっちゅー話デス(笑)。


□玉木ゆら『初恋の実り方』(かずきあつし・画)
これまた一昔前のマガビーのような、青臭い青春エロラブでしたな。
玉木さんがと言うより、挿絵のかずきあつしさんが手がけるアングルがダメな人はダメかも…(笑)。
高校生の悩みって、これくらい安くてくだらないくらいが丁度良いのかもね…逆に、健康的だと思う。
しかし、大の男二人が収まる巨大ロッカーってありそうで無さそうな?
そして、某Aさんに情報を提示するならスマタありです(ここ読んでくれているか微妙ですが)。
以上。

□月本てらこ『性旬トロンプルヰユ』
ダメだ、また月本さんの漫画はついていけなくなった…。

□印東サク『コイ花』
私、いつもディアプラスのアンケートで印東さんのコミックス待ってますって書いているんだけどな。
あと、一色そめ子さんの小説もさー、新書館の“天”には私の声はさっぱり届かない…。

□カトリーヌあやこ『サッカーおばかさん』
サッカーに興味ないので、何も感想は無いです。
未だに続いていることに、ちょっとびっくりするわ(笑)。

□窪スミコ『Solomon's』
癒し系。
心荒んでいる時に読むと、クルなあ。

□大木えりか×山田睦月『シネマ☆パンディッツ』
未読。

<作品データ>
・「小説Dear+」2009年ハル号(新書館)
小説 Dear+ (ディアプラス) 2009年 04月号 [雑誌]小説 Dear+ (ディアプラス) 2009年 04月号 [雑誌]
(2009/03/19)
不明

商品詳細を見る

[ 2009/03/20 15:12 ] magazine&anthorogy 感想 | TB(0) | CM(4)

翠慶庭園 

“春”は別れの季節でもあり、出会いの季節でもあるわけで…。
無精者なのでさっぱりやる気が起きず、長らく放置していた蔵書処分にようやく踏み切りました。
その際に、まさに運命的な出会いもありまして、古書店からそのまま身請けてしまいました(笑)。
不肖私、本日までルチルノベルスというBL(?)レーベルがあったこと自体を知りませんでした…。
ルチル文庫じゃありませんよ!幻冬舎の前のソニマガの前の“スコラ”時代の“ルチル”レーベル。
私は“ルチル”に対する思い入れが強いので、同文庫にはビミョーな感触を抱いてしまうのですが、
今回読んだかわいさんのルチルノベルスは、懐かしい“ルチル”の雰囲気を感じて大満足でした♪
ご馳走様です!

いかにも“90年代”な空気が濃密な、やや閉塞的で暗いトーンの近未来設定のSF小説でした。
BLに限らず、当時のファンタジー系ないし少女漫画にはこういう雰囲気の作品が多かったと思う。
華不魅さんや、なるしまゆりさん、渡辺直美さんとか、樹なつみさんとか、清水玲子さん等々…。
もしかしたら“小説”にもこの手の作品が多かったのかもしれませんが、当時の私は漫画読みで、
90年代は私はBLという言葉すら知らなかった清純派(?)な時代でしたから、接近してたとしても、
↑の漫画家さん達が限界!てか、時代的にも“BL”という単語はまだ定着していなかったような?

そんな今となっては“レトロ”としか言いようがない雰囲気に、私は逆に強いシンパシーを感じます。
自分がもう一度高校時代に遡れたとして、BLを読んでいたかと問われれば殆どノーだと思いますし、
大人の“今”だからこそ楽しめるのがBLの醍醐味だと思うのですが、今回の作品に限って言えば、
当時リアルタイムで出会っていたら、今以上にかわいさんにのめり込んでいたんじゃないかしら?
私の“若い”時代特有の空気の刻印を帯びた作品だったから、むしろもう少し感性が鋭かった時に、
出来れば出会っていたかったなあ、と強く思ってしまいました。

BL的には、朝チュン(笑)。
ピュグマリオンよろしく、クローン技術を駆使して己の理想をバイオロイドに託した科学者クロサワ。
恋愛的にもライバルでもあったナイジェルに、そのバイオロイド(クレアとアレン)を奪われてしまう。
三年越しにようやく見つけた彼らは、過去の記憶を上書きされており、無邪気に健やかに成長中。
彼らの心穏やかで幸福な姿に生みの親のようなシンパシーを感じ、密かに二人を見守ろうとする。
が、一方で彼らは某国の情報機関に利用されてる状況下にあり、きな臭い仕事も引き受けている。
夫々が微妙に“秘密”を抱えたままに物語は進行し、このギリギリのバランス関係が崩壊する時が、
ついに訪れる訳で。

この手の設定は、大風呂敷を拡げて未完のままに放置されるパターンが非常に多いデス。
それこそ、華不魅さんの『グラマラス・ゴシップ』とか、なるしまゆりさんの『少年魔法士』とかさあ。
未だに続編が出るのを待っているんだけど、先日のバーズもだけどウィングスも未完が多いよっ!
そんな中、小さく手堅く単行本一冊でまとめたかわいゆみこさんの我慢強さに尊敬を感じました。
バッドエンドかもと思いつつ読んでましたが、ラストはやや駆け足で全て事なきを得る顛末なので、
確かにご都合主義的な要素は感じるのですけど、ライトなニアBLならこの程度で丁度良い按配。
殆どBL的な描写は無いのですが、痒いところに手が届くハッピーエンドで己の“萌え”的にも◎。
想像力を刺激してくれる、余韻のある読後感が良かったです。

90年代のBLって、まだまだ模索の時期で様々な可能性を秘めていたんだな、と思いました。
今の定着したジャンルの特性は、我々が望んだ結果だったのか、馴らされた結果だったのか…。
うっかり、そんな瑣末なことまで考えてしまいました。

<作品データ>
・かわいゆみこ『翠慶庭園』(亀井高秀・画、幻冬舎ルチルノベルス)1998.8
翠慶庭園(ツィキン・ガーデン) (RUTILE NOVELS)翠慶庭園(ツィキン・ガーデン) (RUTILE NOVELS)
(1998/08)
かわい ゆみこ

商品詳細を見る

[ 2009/03/18 20:13 ] novel BL | TB(0) | CM(2)

FREEZER 

単行本に“1巻”と表記されてあった場合、続巻を期待したくなるのは私だけじゃないですよね?
2003年3月ということは、今から6年前に世に出た作品なんですが、未だに続巻の噂を聞かない。
てか、雑誌の連載自体は2002年がメインで、実は当時の私は「BIRZ」をほぼ定期購読してました。
今は発売日が月末ですが、当時は10日頃で、レジに並ぶ同族の雰囲気を有した女性客の大半は、
小脇にマガビーとガスト(※ガッシュじゃない!)を抱えており、彼女達をチラチラと横目に眺めつつ、
「BIRZ」と「ネムキ」を購入していた腐女子がココに…。

という訳で、密かに雑誌連載からこの華門さんの作品を追いかけてましたが、続きが未だ出ない。
なまじ作品が面白いから、キャラクタ達が魅力的だから、続きが読みたくて読みたくてしょうがない。
そういえば竹美家ららさんの『チョーク。』も未完の気がするけど、私が諦めきれないのは華門さん。
確かに、シリーズ短編だからいつ終わっても仕方が無い構成なんだけど、流石に短命過ぎだろう。
古すぎて、表紙画像も出ないし…。

華門さんはBL小説の挿絵も手がけており、系統的にはヤマダサクラコさんとか琥狗ハヤテさん系。
私がガシガシ系と名付けている好きな画風で、線が太くて荒い青年漫画風のやおいテイストの絵。
著者は間違いなく、某ゲーム関連のやおい畑の方だと思うので、私の指摘は失礼に当たらない筈。
元々、「BIRZ」は斎藤岬さんにしろ冬目景さんにしろ東城和美さんにしろ、こういう濃い絵柄なので、
そういう意味ではいかにも「BIRZ」系の作家さんという気もする(※私の作家データはかなり古い)。

物語は、お堅い出版社の“窓際”ホラー専門誌編集部のオカルティック・コメディというかミステリー?
個性的な編集部の面々に若干引きつつも、“へたれ”克服の為に孤軍奮闘する新米社員の成長譚。
長髪美人の霊能者(?)の不知火不動に振り回されつつ、彼の明晰な“推理”が作品を引き立てる。
夫々の“事件”自体に目新しい要素は無いものの、編集部面子のキャラが立っていて魅力的デス。
女性キャラもいるけれど、電波系占い師と隙の無い“鉄の女”なので、変な恋愛フラグは立たないし、
気兼ねなくへたれ×女王様(華門さん的には逆かもしれん…)でやおい妄想も可能で、美味しい♪
本に挟まっている広告ちらしも、遠慮なくBLのリンクスとルチルを宣伝しているのも流石デス(笑)。

てか、同人誌で続いていたらどうしよう…。
続いていても良いんだけど、お願いだから商業単行本に再録して欲しいな。
バーズはコレが初めてでも最後でも無いけれど、尻切れトンボな未完のシリーズが多すぎる~。
時間ばかりが、どんどんどんどん流れていきます。

<作品データ>
・華門『FREEZER』1巻(幻冬舎バーズコミックス)2003.3
FREEZER 1 (1) (バーズコミックス)FREEZER 1 (1) (バーズコミックス)
(2003/03)
華門

商品詳細を見る

[ 2009/03/17 00:04 ] comic 非BL | TB(2) | CM(4)

WEED 

この物語は私が初めて読んだコノハラ作品で、機会があれば読み返したいなあと思っていました。
旧ビブロス版はもう大分前に手放しちゃっていたので、今回のフェアは密かにありがたかったデス。
こういう機会でも無ければ、一度手放した作品を改めて買おうとはなかなか思い至らない訳で…。
割と好きな作品だったのに手放しちゃったのは、突如発動した処分モードの波に飲まれたからで、
要らない本というよりは、きっと読み返さないだろうという判断で、大半のBL本を手放しちゃったのだ。
実は、ちょっぴり後悔していたのです(笑)。

さて、本作品。
以前読んだ時も同じように感じたのですが、やっぱりさっぱりBLっぽい感じがしない小説だな、と。
男同士のガチンコLOVEという意味でのBLと対極にある、男女のドロドロ系のような純愛ロマンス?
↑の解釈も微妙に的外れなんですが、若宮の視点が歪なのでどうしても引きずられちゃうんだな。
三十一歳という歳の割に利己的で、癇癪もちで、情緒不安定で、“女性”憎悪が凄まじい主人公。
彼のパーソナリティーのマイナス要素は、恐らくスイーツ脳の母親の悪影響が根底にあるのだが、
本人が無自覚だし、盲目的な愛ゆえか彼のヒステリックな反応に動じない岡田もソコに無頓着で、
私生活で支障をきたすレベルの精神的な病を患っている筈なのに、全く対応策を講じていない…。
確かに、岡田の走っている姿は読者の胸を打つし、若宮の脆い心の“救い”にもなってはいるが、
根本的に彼はまず心療内科的なカウンセリングを受けるべきだろう、と外野の私は思ってしまう。

無論、コトは非常にデリケートな問題を孕んでいるので、私の素人判断は差し控えるべきだと思う。
が、若宮の過度の“愛されたい”症候群的な間違った行動は、実は少し私にも身に覚えがある訳で。
若宮が赤裸々に読者に語る“女性”憎悪は、間違いなく合わせ鏡で己に跳ね返ってくるだけなのに、
彼はその衝動を止められないし、自己同一性の統合が上手く機能しないジレンマが筒抜けである。
その昔、大平健さんが『豊かさの精神病理』で指摘した現代人特有の精神の病(要は贅沢病)を、
彼は痛々しいまでに完全に体現しており、その病は最愛の岡田の存在だけでは癒しきれまい…。
しかも、若宮の根源(or魂源?)は更に一段深い根っこ≒“問題”があるように、私には感じられた。

てことで、以下はいつもの我流読みのオレサマ解釈デス。

この作品を端的に一言で説明するなら、コノハラ流“じゃじゃ馬馴らし”の変形バージョンだと思う。
傲慢で利己的で、他者を見下すことでのみ己の矜持を守ってきた鼻持ちならないヒロイン@若宮が、
最悪な出会い方をした岡田に執着と後ろめたさを覚え、ソレが初恋に転じ、恋愛に溺れていく顛末。
そんな若宮の露悪的なヤンデレぶりは、今まで本気で誰か(≒母親)に愛されなかったが故であり、
その為に人を愛する方法が分からず、ファッション雑誌のカタログ的な価値観で物事を図ろうとする。
が、岡田のような“真”人間には彼の中身の無い薄っぺらなマニュアルじゃ当然太刀打ちできない。
だからこそ、岡田に惚れこんで溺れていくのだが、彼は若宮が望むようには一途に愛してくれない。
自身のセクシュアリティに対する負い目も手伝って、彼のネガティブ思考はどんどんエスカレート。
あらゆることに疑心暗鬼になって、文字通り“(鬼)女”のように精神不安定な行動を取り始める。

だから、彼が“女性”に憎悪するのは己の本性の裏返しに過ぎない。
若宮というキャラクタは、“男性”である前に、“ホモ・セクシャル”である前に、“受け”である前に、
彼自身は(ヘテロ・セクシャルの)“女性”のように”愛されたい”人間のように、私には思えるのだ。
(あるいは、“女”に生まれついていたら“愛される”側の人間になれた筈という一種の思い込み?)
だから、私が直感的にBLぽくないと感じたのは、問題の本質はI・S的なモノにある気がする訳で。
(ぶっちゃけ、女性のヌードにシラける彼の姿は、むしろ逆説的にホモ・フォビックに見えるんだな)
だから、“近親”憎悪の対象の“女性”のように“彼”を愛してくれる岡田に惹かれずにはいられない。
が、自身の外見上のセクシュアリティが彼の心を引き裂き、母親が更に追い討ちをかけてくるから、
彼の心はどんどん暗い方へor弱い方へ流れ、強迫観念の世界へ転がり落ちていく作品に見える。

私がこの作品を好きな理由は、若宮が私にも確かに身に覚えがある醜さをさらけ出しているトコロ。
“女”の性(サガ)的な醜悪で歪曲した部分を、彼が無意識にあからさまに告白(懺悔)することで、
“人の振り見て我が振り直せ”的な反面教師として彼を憎めないし、むしろ親近感まで感じるのだ。
でも、ちゃんとカウンセリングを受けた方が良いと思うんだよね、いらんお世話様かもしれないけど。

要するに、いい年齢こいた“女”のルサンチマンをラディカルに描いた“BL小説”なんだと思う。

<作品データ>
・木原音瀬『WEED』(金ひかる・画、リブレ出版ビーボーイノベルス)2007.5
WEED (ビーボーイノベルズ)WEED (ビーボーイノベルズ)
(2007/05/18)
木原 音瀬

商品詳細を見る

[ 2009/03/14 22:40 ] novel BL | TB(0) | CM(0)

不思議飴玉 

私の中で、大好きなBL漫画の五本指に入る永久保存版の墓までコミックスです(笑)。
よって、旧ビブロス版も当然手元に残っているのですが、新装版も買わずには入られなかった。
新旧版の双方を手元に大事に残している作品は、この『不思議飴玉』で三作品めになる筈です。
ちなみに、残り二作品は麻生海さんの『保健室まで何m?』と草間さかえさんの『災厄のてびき』。
見事に系統が似ていて、自分の相変わらずなシュミに笑っちゃいます。

この短編集はいずれの作品も夫々お気に入りなんですが、特に表題作がやっぱり秀逸だと思う。
飴玉といういかがわしいアイテム(小道具)の扱いが巧妙で、作品の良いスパイスになっています。
惚れ薬とかもそうなんですけれど、恋の魔法は使った時点で恋愛ゲームは負けが確定するモノ。
だから、魔法(≒暗示)は恋愛以前の別の局面で使って初めて、その真価を発揮するんですよね。
吉田珠姫さんの『恋の呪文』の“魔法”や、上田規代さんの『コイノイロ』の“メガネ”に通じる面白さ。
BLジャンルの半ばお約束になっている、恋愛→セックス展開を“逆手”にとってほくそ笑んでいる。
テクニックの圧勝の作品だと思います。

しかも、ユキムラさんのキャラクタ達は醒めた天然orツンデレ系が多くて、私の萌え心も急上昇♪
本気で美味しい上質のBL漫画なので、是非是非お試しあれ!

□そのトキメキには訳がある
□そのツブヤキには訳がある
改めて読み返すと、いかにもビーボーイな唐突にしてやや強引な展開のコメディでしたわ(笑)。
この作品の醍醐味は、攻めのガタイが良いことに尽きるのかもしれない…受けは乙男メガネ。

□杜の中
□不思議飴玉
既に、百回以上は読み返しているのに(←しつこい!w)改めて読んでも面白いのが凄いなー。
そういえば、新装版の表紙イラストは『不思議飴玉』じゃなくて、『杜の中』の二人なんですよね。
この天然誑しの泣きボクロ攻めが、個人的には好き過ぎる~♪リバも覚悟完了済みなのが良い。

□アロワナ
コチラはBL要素の薄い象徴的なファンタジーで、ZERO掲載作。
多くが語られていない物語なのが、逆に意味深で、幻想的で、お伽話的なエピソードです。
読後がしんみり系。

□夏とノスタルジア
取り立てて、もの凄く個性的な作品という訳じゃなくて、どちらかというと一番BLらしいBL作品。
けれど、故郷を離れて久しい身の上である私の“弱点”をピンポイントで突いてくるテーマなのだ。
遠くに在るってことは、故郷の親しい人との“永遠の別れ”を直接的に体験することは適わない。
腹は括っているんだけど、だけどやっぱり時折切なく想う…所謂、ノスタルジーという奴ですね。
但し、近くに居過ぎるとソレが当たり前になっちゃって、感覚が鈍くなっちゃうのが人間なんだよね。
一概にどちらが良いとは言えないのですが、とりあえず、また読んでいくうちに泣けてきました…。
月村奎さんの小説に近い空気を感じる一品です。

□不思議飴玉~シニア版
今年は、シニアBL(BL?)が増えそうな予感…。
喰えない宮下教授とツンデレ飯田教授の掛け合い漫才~♪ああ、楽しい~♪

<作品データ>
・ユキムラ『不思議飴玉』(エンターブレインB's-LOVEYコミックス)2009.3
不思議飴玉 増量版 (ビーズラビーコミックス)不思議飴玉 増量版 (ビーズラビーコミックス)
(2009/03/14)
ユキムラ

商品詳細を見る

不思議飴玉 (ビーボーイコミックス)不思議飴玉 (ビーボーイコミックス)
(2004/11/10)
ユキムラ

商品詳細を見る

個人的な思い入れが強すぎる故か、実は旧版の表紙絵の方が好みです。

↓は拍手お礼と、余談小ネタ。
[ 2009/03/12 21:55 ] comic BL | TB(0) | CM(0)

物語 バルト三国の歴史 

志摩先生は私の過去のバトルフィールドにとても近い方なので、紹介するのがちょっと照れくさい。
この本は“物語”と呼ぶにはあまりに堅い文章なので、入門書としては相応しくないような気がする。
その分、私には馴染み深くて、懐かしい雰囲気(空気)が濃厚な歴史の研究成果がつまっており、
コンパクトな新書サイズなので、個人的には大変お買い得な歴史研究書でした。

それにしても、世間一般的のバルト三国に対する知識(認識)ってどんなもんなんでしょう?
今回もまた、“ヘタリア”のマイナーキャラとして登場してきた3人組に惹かれて再読してみました。
歴史のダイナミズム的に興味深いのは、対外関係では主に独露(+北欧、ポーランド)に翻弄され、
内政的には支配者(ドイツ人、ポーランド人)と被支配者(農民)の対立が醸成されていく過程で、
“民族”意識が生まれ、“民族”対立が生じ、近隣諸国(特に露)がこの不均衡に便乗していく流れ。
この地域は支配者と被支配者の転覆や同化がなかったから、逆説的に民族自決を守れてきた。
大国に翻弄される一方で、逆に彼ら自身がそのパワー・バランスを利用してきている部分もある。
そんな「真空状態」で「辺境」で「前線」で東西南北の「十字路」であるこの地域の歴史の趨勢は、
地域研究のテーマとして、とても面白いと思う。

何よりもまず、バルト三国が“三国”とセットで扱われること自体が政治的で恣意的である。
そんな現実の歴史的背景から、我々は意識(認識)を改めなければいけないのだ。

<作品データ>
・志摩園子『物語 バルト三国の歴史』(中公新書1758)2004.7
物語 バルト三国の歴史―エストニア・ラトヴィア・リトアニア (中公新書)物語 バルト三国の歴史―エストニア・ラトヴィア・リトアニア (中公新書)
(2004/07)
志摩 園子

商品詳細を見る

[ 2009/03/12 00:52 ] non-fiction | トラックバック(-) | CM(0)

携帯変えた 

20090309173857
カラーリング&カットのために街の美容院に行っただけなのに…。
今まで長らくドコモユーザーだったのですが、ドコモのお姉さんが言ってはいけない一言を私に言っちゃったからさ~。
別に頭にキタとか腹立ったとか、そういう訳じゃ無いのですが。
ユーザーサービス面の改善は今後も無いんだと、薄々感じていた事実を明らかにされちゃったので、そこまでドコモに固執する理由が無くなっちゃっただけです。
てことで、今までも携帯機能の10%も使いこなせてなかった私ですが、文字通り0からの出発となりました(笑)。
機種は831SH。
お姉さんの説明聞いてもさっぱり何が必要で、何が不要な機能なのか分からない…。
とりあえず、明日までにデフォルトで設定されている有料サービスオフにしないといけないぽい。
結局、二年に及ぶ分割払いになるのなら最新モデルで心機一転してみるか~みたいな気分になったので、春らしいデザインを選んでみました(笑)。
多分、夏になると後悔するんだろうなあ…。

あ!髪の毛はマッド系にしてみました。
いつもは、アッシュ系なんだけど。

兎も角、電話帳のデータ移さないとだなあ~。
いつものメル友ちゃん達には、後でアドレス変更のメール送ります。
いや、ドメインは変わらずで@マーク以下がソフトバンクなだけなんだけど。

そうか!モブログ設定も変えなきゃいけないのか。
面倒だなあ。

以下は、来月の購入予定本でも。

[ 2009/03/09 17:38 ] お買い物 | TB(0) | CM(0)

明け方のオマエに愛を告げる 

ルビー文庫は、私とは最も縁の薄いBLレーベルの一つだと思います。
このレーベルの“縛り”というか“独自のカラー”が基本的に合わなくて、読むと凄く疲れるのです。

この特徴ってBLレーベルのルビーに限らず、少女小説レーベルのコバルトにも共通するのだけど、
もっと言えば富士見FT他の少年向けラノベや、“花とゆめ”系の少女漫画も含まれてくるのですが、
読者と視点キャラ(@主人公≒ヒロイン≒受け)の距離が妙に近くて、私には大変読み心地が悪い。
自己紹介から始まって、己の心情の些細な変化に自問自答したり、読者に心中を打ち明けたり…。
そんな私@読者にとって激しくどうでも良い情報に関しては、詳細をしつこく提供してくれる反面、
肝心の物語がおざなりだったり、ご都合主義的だったりで、私が求める醍醐味が得られないのだ。
何より、オレサマな読者である私に対して主人公がフランクで馴れ馴れしいのが、とても辛い…。

じゃあ、私にとっての物語の醍醐味って何かと問われれば、言葉で説明するのは難しいのですが、
複合的複眼的で、混線的確信的で、多層的多重的構造を帯びた作品にあるんだよね。
最近読んだ花郎さん、松田さん、華藤さん、SHOOWAさん他の当たりBL作品に共通する萌えは、
この辺りにカタルシスの“ヒント”があって、私が万年大好きな高遠琉加さんに期待値が大きいのも、
多分ソレが理由かと…私が物語に、小説に、漫画に、映画に、ゲームに求める要素はココのハズ。
が、ルビーは“若い”読者に小説に対する親しみを持たせるためか、この“”を予め抜いてしまう。
だから、私はこのレーベルに関しては、初っ端からある程度割り引いて読むことしかできないのだ。

いやあ、本気で前置き長っ!!

さて、という訳で今回の高野真名さんの作品なんですが、総じて欠点の少ない面白いBLでした♪
最近の私は桜城ややさんの挿絵に弱いので、半分は挿絵買いで残りの半分がアラスジ買いです。
主人公の旭は、前作で某オオフリの泉君的な小粒でもピリリと辛いヒロインの親友だったのかな?
↑で愚痴ってたルビーコードを割り引いて読めば、割とオトコマエで裏表の無い性格の少年かと。
対する攻めの梶原は、ヘタレというか乙男チックというか、ルビーなのに凡庸な三枚目キャラ…。
例によって、男じゃなくて君だから好きという告白のキメ台詞が出てきて、やや閉口しましたが。
まあ、彼のセクシャルアイデンティティなどどうでも良いんだけどさ…あえて、一言ツッコミ入れると、
彼の女々しい乙男行動は旭よりよっぽど受け受けしいし、時折言葉がオネエちっくなのが笑えた。
CP的には逆の方が萌えるとまでは言いませんが、二人がリバってくれたら完璧だったかな?
私が桜城さんの挿絵に弱いのは、受け⇔攻めの反転が成立しそうな雰囲気を感じてるからだし。

もう一つ、のだださん的な指摘をすると、偏見という単語を軽んじて使われていたのが不愉快。
偏見が無いからダイジョーヴって、偏見を知らない無神経な人間だって言ってるように見えるな…。
そういうキャラクタがいても良いけれど、そんな人物を肯定的に描写することに違和感感じました。
いや、単純に思い違いの青春BLとしては面白かったし、受けがノリノリなエロは萌えましたが(笑)。
ココだけの話、私は受けが美味しそうに口で含むあの描写が好物なんで、ソコは大満足してます。
モチベーションが続けば、次回のエントリーも立て続けに高野さんかな?

<作品データ>
・高野真名『明け方のオマエに愛を告げる』(桜城やや・画、角川書店ルビー文庫)2006.10
明け方のオマエに愛を告げる (角川ルビー文庫)明け方のオマエに愛を告げる (角川ルビー文庫)
(2006/09/30)
高野 真名

商品詳細を見る

[ 2009/03/08 22:37 ] novel BL | TB(0) | CM(2)

セントエルモスファイア 

何となくヤクザBLの作家というイメージだったので、今まで全く読んでいなかった花郎藤子さん。
今回は円陣闇丸さんのイラストに心惹かれて購入に踏み切ったのですが、コレが大当たりでした♪
てか、すんごい面白かった!目下、著者の既刊を全て読み(買い)漁りたい衝動と戦っています。
大人しくジッと我慢で待っていたら、他の品切れ重版未定本も新装版が発売されたりするのかな?
いや本当に、何で今まで手を出さなかったんだろう…。

※今回はネタバレの可能性がいつも以上に高いので、未読の方は続き以下は読まないで下さい。

<作品データ>
・花郎藤子『セントエルモスファイア』(円陣闇丸・画、アスキー・メディアワークスB-PRINCE文庫)2009.3
セントエルモスファイア (B‐PRINCE文庫)セントエルモスファイア (B‐PRINCE文庫)
(2009/03/07)
花郎 藤子

商品詳細を見る


<拍手お礼>
・entry1062、1066に拍手ありがとうございます~♪

>『モルグの番人』に拍手くださったMさん
本当に、パッションとしか言いようがないアツイ作品でしたよね(笑)。
読むのは辛いんだけど…私のような“古い”人間には馴染まない強烈な文体だったので…。
J庭は、私は今回は泣く泣く不参加なのです~、今のままだと夏祭りもオリジュネは厳しそう。
秋庭は何が何でも参加したいんだけど…天候が不順みたいですが、楽しんできて下さい~。
私も、ビックサイトの庭体感したいっ!せめて、祝日日程ならスケジュール取れるんだけどなあ。

>『ACID TOWN』に拍手くださったNさん
あ、リンクはこんな拙ブログでよければどうぞよしなに。
私もこのシリーズは好きな感じで、何だかんだ言って雑誌で追っかけるくらいにはお気に入りです。
でも、「クラフト」も大概だけど、バーズ系も未完のシリーズが多すぎてイマイチ信頼してないの。
てか、この作品に限って言えば「ルチル」じゃなくて本家の「バーズ」の方がしっくりきます(笑)。
「ルチル」と「バーズ」双方で掲載している(元)BL作家さんも結構いらっしゃるし~。
まあ、無事に連載が満了してくれるなら文句はありませんよ、私もね!

[ 2009/03/07 23:38 ] novel BL | TB(1) | CM(2)

夜空に煌めく星の下 

久々の松田美優さんの作品は、想像以上に“甘い”BLでした。
組み合わせ的には、いつものオラオラ系×不良少年なんですけど、暴力的な描写は殆ど無し。
私はいつものテイストも大好物なんですが、コレはコレで美味しいな~♪大満足の青春BLでした。

それにしても、いつも思うのだが松田美優さんの主人公はチャラい設定の割には文才がある。
そりゃ、著者の筆力だろうと言われればその通りなんですが、作品構成が毎度受け視点なので、
それ自体はBLでは珍しくないけれど、松田さんの場合は自伝小説というか、悪童日記というか、
三人称であれ一人称であれ、主人公が己の行動と心情を客観視して読者を引きこませるタイプ。
だから、作品内で使われている語彙慣用表現情景描写も受けのモノと判断して良い筈…。
となると、この方の作品の主人公達は一貫して一定以上の筆力のある“作家の卵”の素養があり、
それは少なくともこの悪文だらけのレビューもどきを手がける私よりは、遥かに良い文章家である。
そして、そんな彼らの悪ぶっている態度の裏に見え隠れする、瑞々しい少年の感性が私は好きだ。

今回の作品は、(カワイイ)現役高校生の智鶴の甘酸っぱくてほろ苦い“初恋”がテーマです。
悪友達に半ば唆される形で、可愛らしい年下の少女(紗綾)と付き合うことになってしまった彼は、
ある日、紗綾の自宅で年の離れた彼女の兄貴(秋成)に出会い、彼の男振りに魅せられてしまう。
ソレが、この初恋物語の始まり。

紗綾を可愛いと思うし、彼女の太ももに下半身のリビドーが刺激される健全な部分もありながら、
秋成の危険な匂い、不器用だけど優しくて暖かい人柄に惹かれていく心を止められない智鶴…。
彼はそんな精神的な(後に肉体的な)二股関係の“葛藤”を、冷静に己を眼差した筆致で続ける。
智鶴は読み手に一切言い訳しないし、責任は全て自分にあることに自覚的で行動を取り繕わない。
読者に対してフェアなことこの上なく、三人称に仮託して綴られる距離が一貫していて読みやすい。
極端に遠すぎるわけでもなく、近すぎるわけでもなく、年の割には醒めているけど丁度良い塩梅。
己の心情や行動に特化することなく、周囲の情景、匂い、音、脇役の視線に対する配慮も完璧で、
それらも推敲され、見事に客観化されているけれど、彼の鋭い感性を随所に感じるから心地よい。

秋成との穏やかなドライブ(デート)描写も、若くて可愛くて微笑ましい。
互いが惹かれあって臨界点を越える時、初めての経験に対し興奮と戸惑いを隠さない智鶴が良い。
一方で、秋成の心情と劣情の在り処も引き受けているし、ちゃんと秋成の“身体”を見ている智鶴。
(腐った)読者が一番見たい部分についても配慮していて、読者を引き込む“アツい”描写も圧巻。
コレが本当に現役男子高校生によって書かれた小説なら、本気で“美味しすぎる”と思えます(笑)。

今回は、この著者お得意の小説技術(錯覚描写など)が今までで一番BL的に上手く機能している。
従来の作品は一般的にはオススメし難かったのですが、今回はちゃんと胸を張ってオススメできる。
2年近いブランクがありましたが、良い意味で期待を裏切る作品に仕上がってました。

ご馳走様です~♪

<作品データ>
・松田美優『夜空に煌めく星の下』(奈良千春・画、大洋図書シャイノベルス)2009.3
夜空に煌めく星の下 (SHYノベルス)夜空に煌めく星の下 (SHYノベルス)
(2009/02/27)
松田 美優

商品詳細を見る

[ 2009/03/04 08:33 ] novel BL | TB(2) | CM(0)

夜に舞う薄紅の花 

お友達のYさん風のサブタイトルを付けるなら、“三度目の初夜♪”でしょうか?
今は無き版元の作品で、挿絵に惹かれて古書店で仕入れたのでデカイ口は叩きたくないのですが、
本日は久しぶりに(激)辛口感想かと…。

という訳で、私のカウントミスでなければ“初夜”だけで三回あるんですよ、この作品。
三度目の正直であるクライマックスの“初夜”は、読者@私にとっては心底どうでも良い流れでした。
大体、受けの一葉の言葉を信じるなら、各々の初夜の間にも二桁では済まない“夜”がある訳で、
その夜毎の秘め事を克明に追っているのでは無いのですが、クライマックスまでに致すこと数回。
コレがギャグかコメディなら私もアリだと思うけれど、狙っている方向がシリアス風味なんだよね…。
「三度もヴァージンロードを歩けて幸せ~♪」と涙に咽ぶ、花嫁の結婚式に出席してしまった感じ?
真崎さんの小説は文章もプロットも破綻が無くて、薄口ながら手軽に読めるのが魅力なんですが、
昨日読んだ小説が、濃縮コーヒーか度数の高いお酒のような作風が魅力の華藤さんだったから、
余計に真崎さんの甘いアメリカンコーヒーが、疲労感を増幅させるのかもしれませんが、疲れた。
普段の私は、アメリカンコーヒーでも美味しく感じる人間なんですけどね。

この作品の主人公である一葉は、健気受けに分類される筈なんですがイマイチ感情移入し難い。
彼のようなタイプが、お友達のYさんが“苦手”と仰るセンシティブ系の受けなのかもしれないな…。
私には、どちらかと言うと鈍感で、大切な身近な相手に配慮できない困った受けちゃんに見えた。
確かに、一葉選んだ…否、一葉選んだ攻めの宏晃は三十路オーバーの癖に大人気が無くて、
自制心も効かないし、大事なことを言葉で伝えることもロクに出来ないヘタレたアホだとは思うよー。
一葉の置かれたシチュエーションも可哀想だと思うし、気の良い養父を失った悲しみにも同情する。
言葉で心を伝えられないからといって、身体でコミュニケーションを取ろうとする攻めはサイテーだ。
怒って良いし、抵抗して良いし、詰って良いし、先日の華藤さんのように陰嚢潰したろうかくらいの、
そんなトンチキ気丈な態度を示したって決して罰は当たらないと思う(笑)。

でも、“健気”受けはあっさり受け入れちゃうんだよね…身体を。
私がイラっとするのは、身体は受け入れるのに相手の本意を考えない彼の怠慢さにあると思う。
若い(未熟だ)から仕方ないのかもしれないが、自分の境遇で精一杯で宏晃の劣情については、
アサッテな可能性しか思いつかないのが、もどかしい…てか、実は宏晃にあまり興味が無さそう。
攻めの必死のボディランゲージも途中で意識飛ばしちゃって、何がなんだか分からない一葉君。
こんなに鈍感なのに、“純真なヒロイン”アピールだけは忘れないから感情移入の余地が無い。

梅の情景描写とか、華藤さんとは傾向の違うサラリとしたノスタルジックなシーンは心地良い。
真崎さんの作品は、この作品に限らずいつも“萌え”ツボを掠めるのに、肝心な部分で避けられる。
ソコで登場人物を奈落に落としてくれれば、私のような安直な読者は絶対に釣り上げられるのに、
そういう地点をするりとアッサリ回避しちゃうのは、小説としてとても勿体無いことだと思うのです。
要するに、一番絶頂ポイントで網を張らないから作品からカタルシスが感じられないのだ。

この作品も、クライマックスが文字通りの“初夜”だったらさぞかし美味しいBLだったことでしょう。
が、残念ながら“初夜”だけで三回、それ以外にも数回…何度も出されたらそりゃ飽きるだろう…。
美味しいものは最後まで取っておかないと、ロマンチックなムードも台無しだなあ、と思いました。

<作品データ>
・真崎ひかる『夜に舞う薄紅の花』(高久尚子・画、リーフ出版リーフノベルス)2005.6
夜に舞う薄紅の花 (リーフノベルズ)夜に舞う薄紅の花 (リーフノベルズ)
(2006/05/30)
真崎 ひかる

商品詳細を見る

[ 2009/03/02 19:55 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

虜囚 プリズナー 

久々に、正統派の華藤えれなさんを楽しめました~♪
濃厚で芳醇な香りと味を楽しめるコクのあるコーヒーのようなテイストを、作品の随所に感じました。
サウダージ』程では無いにせよ、密着度の高い二人のノスタルジックなダンスシーンも見どころ。

大人しそうな顔をしていても、ラテン系の官能的で煽情的な側面を内に秘めている主人公の琉加。
普段はその本性を隠して気丈なツンデレを気取っているので、そのギャップに大変萌えましたヨ!
対する攻めの航太は、華藤さんの作品にしては珍しく比較的真っ当な男振りの良い二枚目キャラ。
と言っても、琉加に再会した途端に「己の原液をぶちまけたい衝動にも駆れらたりしているので、
世間一般的にはアッチ系の住人なんでしょうけど…あくまで、華藤さん家の中では割とまともな方。
多感な少年期に天然ドS天使に魅せられ、己の人格を完全に歪められてしまった冴木に比べると、
後に残酷な別れが訪れるにしても、航太には琉加との甘い記憶が残っているから遥かにマシ(笑)。
その微かだけど確かな“幸福”な過去があるから、二人は絶望せずにいつかを夢見て現在に至る。

バイオレンスでデッド・オア・アライブな展開だけど、ベースはロマンチックな再会譚なんですよね。
濃密な“ダンス”と甘いラテン系ムード音楽に乗せて、二人の過去と現在と夢と現実が交錯してゆく。
華藤えれなさんの独壇場です(笑)。

とはいえ、今回はこのメインの二人よりも敵役の染井さんのキャラが立ちすぎだったような?
感想を書きそびれてしまった『イノセント・ブラッド』の時も感じたのですけど、脇役が魅力的過ぎる!
彼はドSでドMでツンデレで、精神的な受け指数の高さが明らかに琉加を凌いで頂点極めています。
確かに琉加も航太も運命に翻弄された不幸な設定なんだけど、彼の存在の前では霞むんだよね。
ほぼ最初と最後にしか登場しないキャラなのに、明らかに一番美味しいところをかっ攫ってる(笑)。
いや、お気に入りなんだけど…藤原伊織さんの某テロリスト並に病んでて大好きなタイプだけどさ。

それにしても、子供の一生を左右する母親の行動は考えさせられました…。
母親が子供を“選ぶ”辛いエピソードは、エィミ・タンの『ジョイ・ラック・クラブ』にも確かあった筈。
極限状況下で自分が何を選べるかと問われても、結局はその時になってみないと分からない。
むしろ、そんな極限状況が起こらない“平和”な社会を築くことに腐心すべきなんでしょうけどね。

<作品データ>
・華藤えれな『虜囚 プリズナー』(あじみね朔生・画、大洋図書シャイノベルス)2009.3
虜囚 プリズナー (SHYノベルス)虜囚 プリズナー (SHYノベルス)
(2009/02/27)
華藤 えれな

商品詳細を見る

[ 2009/03/01 21:33 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

2009年2月の読書メーター 

2月は久しぶりにブログを猛烈に更新したいモードが発動したので、感想アップ率は高め。
ゲームに現を抜かさなかったので、私にしてはジャンルは兎も角割と本を読んだ方だと思う。
そして、昨日は予約していた某ドラマCDを取りに行くついでに本屋に立ち寄ったのが運の尽き…。
明らかに買いすぎだ…今日は一日中左腕に重石が乗っかったようなダルさを感じていたのですが、
昨日の重量級の買い物袋の所為だということに、先ほどようやっと気付いたわ(笑)。

とりあえず、3月のディアプラス文庫の発売までは本の購入を差し控えます!
俄か増量中の積読本を、せっせと消化しないとだしね。

<拍手お礼>
・entry1070(3件)に拍手ありがとうございます。
もっと気の利いた上手い紹介文を書けると良いんだけどな~。
己の駄文に絶望を感じます(笑)。

↓は、今月の読書メーター。
コメントは付けたり付けなかったりで、いずれにせよ短文なので冷たい態度の時もちらほら…。
自分用の備忘メモみたいなものなので、何様な態度だったとしてもスルーしてやって下さい。

[ 2009/03/01 18:50 ] 読書メーター | TB(0) | CM(0)
*profile

tatsuki

Author:tatsuki
気になる方は、こちらをどうぞ。
アサッテなBLが好きです♪
アンケート回答募集中!!

*calendar
02 | 2009/03 | 04
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
*category
*counter
現在の閲覧者数:
*blog-people

読書メーター
*page ranking*


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。