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太陽と月のカタチ 

とりあえず、関係者各位の皆々様に土下座して謝ります!(笑)
初めて読んだ作品があまりにアレだった為、五百香さんは二度と読むまいと心に誓っていました。
私、人生どんだけ損してきたんだろう?五百香さんの作品には、私がBLに求めていた何かがある。
萌え♪とは少し違うのですが、この著者のキャラクタに対するその冷徹な眼差しが堪らないです。
殆ど全てのモノが手に入る環境にある俗物達が、見事に徹底的に殆どを失って崩壊していく物語。
毒を喰らわば皿まで的な、あるいは死なば諸共的な、そのAll or Nothingの姿勢が潔いです。
生半可な救済を与えないトコロが実に私好みで、最初から最後まで夢中になって読み込みました。

てことで、叫びますヨ!双子萌えも兄弟萌えも薄い人間なのに、この作品は大好きだー!!
ゴチになりました♪

最近、立て続けに(母)親の愛情を与えられなかった子供の後日譚めいたBL作品を読んでいます。
決して狙っている訳では無いのですが、こういうのって続くときは続くモンなんですね、不思議です。
ちなみに、一人(受)はパートナーや友人達の愛情を一身に受けてすくすくと心身共に成長していき、
最終的に母親は彼の人生にとって百害あって一利無しの真理に辿り着き、彼女の存在を受け流す。
(注>この物語では、彼の成長に反比例して攻めが心身ズタボロに傷ついていくのが痛いデス…)
もう一人(攻)は、自身の心を凍結させて、受けのフォローで辛うじて社会を生き延びているタイプ。
(注>この攻めは最後まで受けの存在や愛情じゃ心が溶けないので、読後感がイマイチでした…)
いずれにせよ、その痛みを引き受けて一生を生きていく、切ない物語に仕上がっておりました。

が、この作品はモンスター・ペアレンツが生み出したモンスター・ツインズによる復讐劇です。
モンスター・ペアレンツと表現すると、今流行のソッチのニュアンスが強くなってよろしくないかな?
この双子ちゃんの両親も、まあソッチ系の意味でもあながち間違ってはいる訳ではないのですが、
この親にしてこの子有り(蛙の子は蛙)の視点で、責任の所在を無効化している作品なので、
マスコミが喧伝している意図とは、少し距離を置いたもっと原義的ニュアンスで捉えて下さいませ。
この家族は、(美しい)人間の面を被せた文字通りのモンスター・ファミリーなんだと思うのです。
歪みの元を正そうにも、家族全員、一族全員、否、登場人物の関係者が皆平等に歪んでいるから、
どうしようもない…生まれながらに歪な環境で育った双子は、当然のように歪みを抱えて成長する。

双子の兄は母親の過剰な(自己中心的な)愛情を受けて、獰猛で狡猾な最上級の猛禽類に育ち、
弟は母親のネグレクトには早々に見切りをつけ、猛禽の兄に囚われたフリして彼を母から略奪する。
双子はお互い利害一致して近親相姦の禁を犯し、むしろそのタブー行為を顕示したがります(笑)。
愛情の確認以上に両親と一族に対する“復讐”の意図が強いから、“隠蔽”では意味が無いのだ。
という訳で、徹底的に確信犯的にイモラルな関係を貫きます。

一方でまた、両親の夫々の特徴を引き受けてしまった双子は、その執着関係にある刻印を帯びる。
二人の関係が、神聖なモノからは程遠い汚辱にまみれた何かであることを双子は自覚してますが、
それは近親相姦がタブーだからではなく、両親の関係が腐敗したモノという認識があるからです。
が、両親の性質を引き継いだ双子の愛情関係は、どうしても両親の関係の相似になってしまうのだ。
ダブルに“皮肉”が効いています。

それにしても、この結末は何といえば良いんでしょうか?
ハッピーエンドじゃないし、デッドエンドでもない、開放型でも閉鎖型でもない…ように見えます。
扉は開けっ放しで、互いの浮気も常で、でも双子の執着愛と性的関係は多分一生そのままかと。
読後感は、暗くも明るくも無く、この突き放された感が妙に快感なのは私がMだからなのかも…。

<作品データ>
・五百香ノエル『太陽と月のカタチ』(雪舟薫・画、心交社ショコラノベルス)2002.4
太陽と月のカタチ (ショコラノベルス・ハイパー)太陽と月のカタチ (ショコラノベルス・ハイパー)
(2002/04)
五百香 ノエル

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[ 2008/04/30 21:46 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

天涯の佳人 

夜光花さんのキャラ文庫には実はあまり期待していなくて、購入予定にも入れてなかったのです。
でも、やはり水原とほるさんの新刊だけだと、万が一の衝撃に耐えられない可能性があったので、
結局一緒に購入したのですが、今回の夜光さんのキャラ文庫はとても楽しかった!オススメです♪
コメディでは無いのですがいつものダーク系ではなく、ほっこりほのぼの系の心温まる物語でした。
萌えもエロもたっぷりで、余は大満足じゃ~♪ご馳走様でした!

津軽三味線のあの力強くて何処か寂しい音色が、文章から伝わってくるのがスバラシイですね。
私も大昔(実は中学校の修学旅行)に一度だけ、本場青森で津軽三味線の生演奏を聴きました。
当時は、勿論津軽三味線には興味は無く、研修の一部と思って生半可な態度で挑んだのですが、
いざ演奏が始まると、いつの間にか私も含めて当時のクソ生意気な学生達が耳を済ませているの。
笑っちゃうくらい、あの壮大な演奏に聞き惚れてしまって、心奪われてしまっていたのですよねー。
この時利用した宿は寝床も食事もサイテー満足したとは言い難いのですが、津軽三味線は別格。
十ウン年経った今でも心に残る、素敵なライブ<生演奏>でした。

てことで、今回のCPはパトロン(後見人)×天性の資質を有する津軽三味線のプレイヤー
性格属性的には、駄メガネ一歩手前のへたれメガネ攻め×天然培養の良い子ちゃん受け
元々は、自身の寂しい心を埋める為だけに、一心不乱に津軽三味線を奏でていた達央でしたが、
彼のその天才的な情感溢れる音色は、聴衆の心を深く捉え、自然とファンが続々と増えてきます。
彼の演奏の虜の一人であった浅井は、プロ志向の薄い達央を何とか説き伏せようと試みますが、
これがなかなか上手くいかない…無垢で健気な達央は、自身の才能には全く無頓着なんですね。

換言すると、三味線版でBL版の『のだめカンタービレ』であり、『ピアノの森』であると言って良い筈。
音楽に拘らなければ、『ガラスの仮面』でも同じなんですけど、“才能”を“糧”にするロマンスです。
彼らの才能を本人とごく一部の知人だけで共有するのは勿体無い!と言う訳で、攻めが奔走する。
彼は“プレイヤー”のウラに廻って資金や場所といったチャンスを提供し、相手はソレを生かします。
聴衆の心温かい反応を目の当たりにして、自身の演奏が人々の心を満たし得ることを段々自覚し、
厳しい(悲しい)境遇にもめげずに、浅井の“愛情”を受けてすくすくと心身が成長してきた達央は、
いつしか“恋”を知り、ソレがきっかけで“演奏家”としてもまた一つ高い場所に辿り着くのでした。

師匠である祖父の言葉を守り、無我の境地で一心に津軽三味線を奏で続けてきた達央の初恋は、
当然の如く、甘々で幸せな結末を迎えるのです♪

<作品データ>
・夜光花『天涯の佳人』(DUOBRAND・画、徳間書店キャラ文庫)2008.4
天涯の佳人 (キャラ文庫 や 1-4)天涯の佳人 (キャラ文庫 や 1-4)
(2008/04/24)
夜光 花

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[ 2008/04/28 21:20 ] novel BL | TB(0) | CM(0)

入江亜季さん大人買い♪ 

“受け”がみんな女の子だったことに、心底驚きました!
女性キャラが、ボーヴォワールの定義する“女になる”女の概念を逸脱していて“自由”なのです。
“攻め”である男達とは、ある意味で対等であり、親友であり、恋人であり、ライバルですらあるのだ。
そこに矛盾は無く、男達or“攻め”達も脇の登場人物たちも、この価値観を自然に受け入れている。
現実社会の不純物を一切取り除いた爽快なライフストーリーであり、ラブストーリーの珠玉短編集。
まあ、つまりはBLとほぼ同義であり得ない、否、あり得難いユートピアな設定だとは思うのです。

『コダマの谷』以外は短編集なので、バラエティに富んだ様々なタイプのキャラクタに出会えます。
誘い受け、ツンデレ受け、美人受け、天然受け、ヘタレ、オレサマ、オヤジにワンコ攻めをほぼ網羅。
久しぶりにコミックスの“大人買い”をしちゃいましたが、大、大、大満足で目下幸せ気分を満喫中♪
BLジャンルが大好きな方にも、そうじゃない方にも胸を張ってオススメできる美味しい作品でした!
ご馳走様です♪

<作品データ>
・入江亜季『コダマの谷』(エンターブレインビームコミック)2006.9
・入江亜季『群青学舎』①~③巻(エンターブレインビームコミック)2006.9、2007.7、2008.5
コダマの谷 王立大学騒乱劇 (ビームコミックス)コダマの谷 王立大学騒乱劇 (ビームコミックス)
(2006/08/31)
入江 亜季

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群青学舎 一巻 (ビームコミックス)群青学舎 一巻 (ビームコミックス)
(2006/08/31)
入江 亜季

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群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)群青学舎 二巻 (BEAM COMIX)
(2007/06/25)
入江 亜季

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群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)群青学舎 三巻 (BEAM COMIX)
(2008/04/25)
入江 亜季

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[ 2008/04/25 20:58 ] comic 非BL | TB(0) | CM(0)

太陽と月の背徳 

私には、先天的にファンタジーに対する萌えが欠けているのかもしれせん…。
マイブーム中の高岡ミズミさん作品の私的第2弾は、予告通りにホワイトハートのファンタジーです。
が、感想は正直微妙…BLとしてはあまり面白味が無いというか、薄味作品なのは分かるのですが、
ファンタジーとして読み込むとどうなんでしょう?世間一般的には、面白い部類に入るのでしょうか?
私はと言えば、内容&設定がさっぱり頭に入らなくて、結果的にメモをとりまくって読み込みました。
しかも、感想を書くために、再度斜めに読み直して設定&世界観の再確認までしちゃいました(笑)。

改めてメモを読み直してノートに整理してみたら、非常に良く出来た世界観のファンタジーでした。
最初に読んだ限りでは納得のいかなかった箇所も、ちゃんと要所要所でフォローされておりました。
故に、問題は全て私の到らない読解力or集中力or記憶力にあると言っても過言では無いと思う。
恐らく、高岡ミズミさんは私のような愚鈍/不得手な読み手を想定していないんだと思うのです…。
著者自身も分かり易くを心がけたと仰ってますから、それなのにメモ無しでは辛かったと思う私は、
ファンタジーの読者としては脱落者なんですよね、きっと…。

さて、メモを手がかりに解説しますが、実はこの物語には重大な“皮肉”が内に隠されていた模様。
まず、神官である主人公の月花が信じる伝統が世界平和をもたらす礎であるという観念が危うい。
とても、危うい…その厳格な血統主義と保守主義が、むしろ中央を疲弊/堕落させているのですが、
純粋培養の月下視点ではソレが見えてこないからこの物語は厄介だし、感情移入しづらいのです。
本来貧富という概念が無いと公言する中央官僚国家のラドルグを、私はまるで信用できません…。
ラドルグがパパラギ的な原始的コミュニズム社会を維持しているのなら兎も角、同国は官僚国家。
国家財政のすべては他国からの上納金によって賄われているという記述もあるし、矛盾している。
遅かれ早かれ、この陽の国は伝統と血統と天帝の人徳だけでは立ち行かなくなる筈です…。

が、この“現実”を天帝の後継者である莉央少年は、直感的or理性的に感知しております。
彼は中央の純血主義の弊害で帝王に祭り上げられているように見えるのですが、実体は違います。
彼には血統+αの王者の資質が天性で備わっており、むしろ+αの部分が彼を帝王たらしめます。
血統という権威は彼にとって手段に過ぎず、大事な人間を守る為に権力者になることを厭いません。
軍事大国ガルトの独裁者の叡帝すらも、寝所でBLらしい“契約”を行使して懐柔させる強かな少年。
好色でやはり彼同様冷徹な現実主義者である叡帝も、積極的に彼のパワーゲームに加担する。
あどけない少年の振りをした、この次期帝王こそが正統で明瞭な視点の持ち主なのだ。

この政権交代劇は伝統に則りながらも、実は革新的な新しい風が入る構造になっているのです。
が、この薫風は私のようにボンクラな読者では大変読み取りづらく、巧妙に隠されているのです。
ヒントは莉央の言動、あるいは叡帝の心中(回想)描写にあり、そこから真の答えが見えてきます。
むしろ、月下の視点(真理)描写は不当とまでは言いませんが、世界を理解するにはかなり邪魔…。
つまり、メインの月下と悠仁の逸話を脇に据えた方が、世界観に入り込みやすいと思うのだ(笑)。

ちなみに、莉央とは全く別の視点になるのですが、三葉という脇役も世界の理解に役立ちます。
彼に注目して読み進めるのが吉!むしろ、彼視点で物語が進行したら一番分かりやすかったかも。
まあ、私好みのキャラクタなんです(笑)。

それにしても、今回は私が大苦戦したので、ファンタジーの読み方講座みたいになっちゃいました。
もっと効率の良いファンタジーの読書法がありましたら、教えてください!よろしくお願いします。
ちなみに、この作品の結論を言うとファンタジーとBLの両立はなかなか難しいものなのだな、と。
BLは兎も角、ファンタジー小説に慣れていない人間には少し不親切な仕様だった気がしました。

<作品データ>
・高岡ミズミ『太陽と月の背徳』上・下巻(水名瀬雅良・画、講談社X文庫ホワイトハート)2006.5、2006.6
太陽と月の背徳(上) (講談社X文庫ホワイトハ-ト)太陽と月の背徳(上) (講談社X文庫ホワイトハ-ト)
(2006/04/28)
高岡 ミズミ

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太陽と月の背徳(下) (講談社X文庫ホワイトハ-ト)太陽と月の背徳(下) (講談社X文庫ホワイトハ-ト)
(2006/06/02)
高岡 ミズミ

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[ 2008/04/24 22:19 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

レヴィ=ストロース 構造 

私にとってBL/やおい的(腐系)思考とは、世界を理解する為の補助線なんだと思うのです。
即ち、レヴィ=ストロースにとっての野生の思考神話)や、幼児にとっての童話などと全く同じ。
“下”にまつわるバリエーションの物語が目立つから、余計に誤解され易い傾向にあるのでしょうが、
“受け”と“攻め”の統合神話(BL/やおい)は、より開かれた世界可能性に目的にしていると思う。
一見不可解/不条理なこのジャンルが、(私にとって)非常に快感なのはこの構造にある筈です。
BL/やおいだって、結局はビルドゥングスロマンの変形バージョンの一つなんだと思う。

とはいえ、これはあくまで私の視線であって、他の腐系思考者が同じスタンスだとは思ってません。
昨年、私はのだださんのブログで文化人類学者の視線はかなり不快であると心中を語りましたが、
それは所謂同属嫌悪というモノでして、実は私自身の視線のヤらしさを弁明していたのですよね。
賢明なのだださんにはバレバレだったでしょうし、コメント欄でやんわり窘められた記憶もあります。
それ以前にも、彼には(BLから)距離のある者としてうっかり私は引用されていますしね(笑)。

私は、自分をBL/やおいに加担する腐女子的生き物と位置づけた上でブログで発言する一方で、
数多のBL/やおい作品群を採取して、自説の強化に引用・援用しようと躍起になっている時もあり、
後者の私は、間違いなく“腐女子”の異端児であり、裏切り者であり、略奪者なんだと思うのです。
成人してからこの世界を知った遅まきの人間なので、無意識に無邪気に関わるコトが出来ません!
言い訳が思いつかないと、(腐女子的)行動/振る舞いができないヘタレなのです。

まま、ソレは兎も角、5年近くも寝かせて(忘れて)いたこの書物を読んでみたら、とても楽しかった!
レヴィ=ストロースが採取した神話のバリエーションには、意外とやおいっぽいのもあるしね(笑)。
正直なハナシ、交叉イトコが~とかフロイト的無意識~とかは殆ど意味が分からなかったけど…。
故に、今回の↓のメモはいつも以上に煩雑で、取りあえずのキーワードのピックアップが多いです。
まあ、今後の課題ということで。

<作品データ>
・渡辺公三『レヴィ=ストロース 構造』(講談社)2003.6
レヴィ=ストロース―構造 (現代思想の冒険者たちSelect)レヴィ=ストロース―構造 (現代思想の冒険者たちSelect)
(2003/06)
渡辺 公三

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[ 2008/04/22 22:22 ] non-fiction | TB(0) | CM(2)

不滅の花 

私にとっては、不滅の(BL)漫画の一つです。

――水が必要だ
枯れてしまう前に
僕は 地面を 掘り続けている
いつか 水脈にあたる かもしれない
淡い 期待を抱いて
――しかし どれほど掘っても
乾いた砂が あるだけなのだと
心のどこかで わかっていた


この物語は、ピーターパン(工藤紀子)の手を取らなかったウェンディ(守木尚哉)のその後の顛末。
チャンスは2度もあったのに、いずれの機会も選ぶことが出来なかった(選ばなかった)主人公は、
その為に、何も手に入れることができなかったどころか、かけがえの無い友人すら喪失してしまう。
…と、あらすじを語ってしまうと、何とも身も蓋も無い作品なんですが、ココが全ての基点なのです。

守木と工藤と高橋の3人のささやかな青春秘話が、後のHOME,SWEET,HOMEに繋がっていく。
工藤という奔放な光のヒロイン(ヒーロー)に対して、守木と高橋は心に疵を持つ陰気なキャラクタ。
この男子二人は、夫々写真と小説という手段を通じて、辛うじて世界に関わって生き抜いています。
二人は工藤のに触発されて、徐々お互いに惹かれあっていく…だと、いかにもって雰囲気ですが、
実態はちょっと(BLとは)違っており、守木は結局選べないから二人の関係は全く進展致しません!
アマゾンの画像が出てないので説明し難いのですが、表紙にはやや偽りがあると…思われる…。

同好の士との対話を通じて最近気づいたのですが、私は何かを喪失した主人公が好きみたい。
亀井高秀さんや高遠琉加さん、館野とお子さんや藤たまきさん、月村奎さんの作品が好きなのは、
この点に尽きるし、ソレに加えて恋が成就しようがしまいが、覆水は盆に返らない点も肝要です。
全ては手に入らないどころか、多くが手に入らない…否、殆どが手に入らない物語に惹かれます。
BLなので辛うじて“恋”だけは掌握できていそうに見えますが、実は亀井さんや高遠さんの場合は、
それすら予断を許さないトコロがあって、この緊張感と結果の甘さ/ほろ苦さが堪らないのです。

を知らなかった守木が夢想していた水脈は、最初から己の内側から滾々と湧き出ていました。
気づくのが遅かったのですが、彼のペンから溢れ出すソレが自身の活力となり、周囲の糧になる。
この作品だけ読むとひたすらに切ない物語に見えてしまうのですが、続きが彼の不遇を救います。
彼も過去のテツを踏まえて積極的に行動し、その結果念願のホンモノの家族を手に入れるのだ。
重要なのは、差し延べられた手と“花”と、零れた“水”の甘さを忘れずに前を向いて生き続けるコト。
“不滅の花”は、だから彼の記憶(心)の中で永遠に咲き続けるのだ。

<作品データ>
・亀井高秀『不滅の花』(ソニー・マガジンズ)2001.6
不滅の花
不滅の花
[ 2008/04/21 21:38 ] comic BL | TB(1) | CM(0)

社会学の名著30 

この本は、正直かなり期待はずれ…でした…。
これから社会学を勉強しようという学生のやる気を、見事に削ぐ内容になっている気がします。
ジョージ・オーウェルの『動物農場』同様、読後にどんよりと暗い気分に浸ってしまうのは何故?
かくも、現代社会は出口の見えないディストピアらしい…世知辛い世の中ですね…。

それにしても、学生時代にちょっと齧った“社会学”はもう少し楽しかった気がするんですけどね。
この概論は、全体的にツッコミが足りなくて、個々の内容が薄いから余計に面白くなかったのかも。
その分、メモは楽だったんですけどね(笑)。

どちらかと言うと、中公新書版の類似タイトル作品の方が、骨のある内容だったと思います。

<作品データ>
・竹内洋『社会学の名著30』(ちくま新書718)2008.4
社会学の名著30 (ちくま新書 718)社会学の名著30 (ちくま新書 718)
(2008/04)
竹内 洋

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[ 2008/04/20 22:05 ] non-fiction | TB(73) | CM(0)

CRAFT vol.36 

いつにもまして、クォリティの高い号でした~♪大満足!

□ヨネダコウ『どうしても触れたくない』
このシリーズは、CRAFTでは珍しく(or唯一)初っ端から毎回サービスシーンがあったのですが、
この最終回だけそのシーンがナイ!ナニをしてはいる筈なんですが、シーンが飛ばされている…!
まま、決着着いたので、次(←いつ?)に発売されるクラフトコミックスはこの作品だと予想します。
人気絵師さんによるクラフトの掲載シリーズは未完が多すぎるのですが、ヨネダさんは無事満了。
お疲れ様でした~♪

□木下けい子『幾千の夜』
ダメだ…私、本気で木下さんの漫画が読めなくなってきた…Hertzの文士モノはまだ読めるけど…。

□古街キッカ『ブラザーコンプレックス』

古街さん、絵が微妙に変わった?劣化という言い方は失礼だけど、やや雁須磨子さんテイストに。
えと、話が通じない王子様(義兄)×純朴高校生(義弟)の、まったり系エロティックラブコメディか?
いつものクールテイストなBLとは一線を画してます、電波系BLなのはいつも通りなんですが…。
ヤンデル電波王子って、最近読んだ某小説と被るなあ…まあ、コチラの方が数百倍まともだけど。
アハ、書き手の浮かれた調子から察せられるとおり、私のドツボな激萌え設定だったのです(笑)。
続きが、とっても待ち遠しいな~♪

□山本小鉄子『チュチュンがチュン』
山本小鉄子さんも、久しぶりに破天荒なコメディシリーズなのでこの作品は大好きかもしれない。
今のところ、受け(多分…)のチュン先輩が恋愛(?)の主導権を完全に握っているのが楽しいな♪
シリアス顔でオレサマ攻めのつもりの主人公が、翻弄されまくってヘタレ化しているのが心地良い。

□藤たまき『蛇崩、交差点で』
10年越しのストーカー主人公の初恋譚かな?
藤たまきさんの新シリーズ!主人公の片恋相手には秘密が多そうで、今後の展開が気になります。
多分、藤さんの痛い系の物語になるんじゃないのかなあ?

□井上ナヲ『てのひらふたつ分の恋』
この吸血鬼(年下過ぎた攻め)シリーズも無事完結!
愛情たっぷりのベッドシーンで萌え死にそうになりました♪足が…ブーツを脱がされた足がエロい!
井上さんの繊細な絵柄が堪んないデス!白いシャツから生足を覗かせて攻めに跨ぐ受けがイイ!
足フェチには美味しすぎる一本でした(笑)。

□槇えびし『きみにあげる。』
槇さんは、もう一本の別のシリーズは終わったんだっけ?それとも、交互に連載続けるのかな?
黒髪巻き毛(癖毛)のツンデレ店主と、惚れっぽくて恋人に借金を踏み倒された間抜けな男の話。
多分、木原音瀬さんの蝙蝠シリーズが好きな方は大好物な萌え設定なんじゃないかと思います。
あと、羽海野チカさんぽいテイストも少し感じます、明るいテイストのラブコメディに転じて欲しいな。
まあ、このツンデレは私好みの落としにくいタイプなので、恋愛成就は前途多難そうですが…。

□菊屋きく子『やましいからだ』
クラスメイトの整体師ジュニア(メガネ)に、マッサージという名のセクハラをされてしまった高校生。
キタ、キタ、キター!陰険攻め×ヤンチャ受け、これは続き物よね?続きがとても読みたいです!
それにしても、菊屋きく子さんの絵はかいやたつみさん系ですよね?

□真生るいす『満員御礼』
ヤバイ…本編が半年ぶりだったせいか、私服だと誰が攻めで誰が受けなのかさっぱり分からない。
真生るいすさんの絵って、主役も脇役も同じ濃さで描かれるから誰が誰やら分からなくなるのです。
しかし、このシリーズも職業モノとしては異色で楽しいけれど、恋愛的進展度はほぼ0だ…。

□橘紅緒&宝井理人『セブンデイズ』

豪華二本立て…らしい…。
正直言って、今回のクラフトはいつも以上に全体のレベルが高いので、この作品は印象が薄い。
宝井理人さんも微妙に絵の感じが変わったような気がするのは、私の気のせい…なのかなあ…?
セブンデイズは、クラフト掲載作品の中では取り立てて面白い作品に見えないのがいつも不思議。
いえ、面白くないという訳ではなく、他作品の方がドラマチックで私の心に残りやすいというハナシ。

□月村奎『こんな毎日』(守井章・画)
相変わらずの、ドジっ子月村さんです(笑)。
てか、せっかくの大洋図書なんだから、シャイノベルス×月村さんの組み合わせは無いのかなあ?

<作品データ>
・「CRAFT」vol.36(大洋図書)2008.6
CRAFT vol.36 (36)CRAFT vol.36 (36)
(2008/04/19)
不明

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[ 2008/04/19 00:37 ] magazine&anthorogy 感想 | TB(0) | CM(0)

彼と彼氏の秘密 

私は今、無性にポルノ的な物語を消費したかったのだと思うのです(←は、みっともない言い訳)。
てことで、逃げも隠れもせずに公言しちゃいますが、大、大、大満足ですヨ~♪面白かったです!
猥語の氾濫、愛さえあればの愛すら危ういディスコミュニケーション、容赦ないアレな行為の数々。
随所に見られる著者の余裕綽々な言葉遊びも冴えており、私の萌えエロゲージは振り切れました。

この作品は、是非とも声に出して読みたいBL小説なんじゃないかしら?(笑)
過剰なぁ行の台詞の応酬も、ナニな行為を活写する地の文も、リズミカルラップ調で心地良い。
「ぐりぐら」にしろ、「アブラカタブラ」にしろ、「じゅげむじゅげむ」にしろ、元は語調を楽しむ韻文です。
「エロ、グロ、ロリ、ペド」だって、「あひ、はぁ、あん、ぁん」だって、音韻効果としては実は大差無い。
前者は快感だけど、後者は卑猥だと感じるとしたら、ソレは語意に引きずられているに過ぎません。
ノエルさんは、確信犯的に膨大なエロワードを駆使して、語調を磨い(整え)ているのが素晴らしい!

物理的プレイに関しては、ウンがつくスカ以外の大概の変態行為が網羅されていて圧倒されます。
聖水シャワーに歓喜するクライマックスを鑑みると、ウンのつく方も時間の問題のような気がします。
勿論、私の大好物な視姦プレイも複数姦も、痴漢プレイも漏れなく描写されているのが嬉しい限り。
完膚なきまでに人間性を失した攻めなので、獣姦攻め無機物攻めの雰囲気も味わえるかと。
壊れたラジオのように喋り続ける攻めに情感は欠片も感じられず、その徹底した通じなさが楽しい。
受け(+周囲)も実は同じ穴の狢のクチで、この不条理劇は見事に日常劇に昇華されて行きます。

ということで、この小説は物語の9割がエロで出来ております(笑)。
私は大好きなんですけど、ロマン派嗜好の方には全くオススメできません!
あと、本名が“なるみ”さんor君の方は、読むのがとてもツライと思いますので、ご注意を。

<作品データ>
・五百香ノエル『彼と彼氏の秘密』(タクミユウ・画、プランタン出版プラチナ文庫)2008.4
彼と彼氏の秘密 (プラチナ文庫)彼と彼氏の秘密 (プラチナ文庫)
(2008/04/10)
五百香 ノエル

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[ 2008/04/17 22:26 ] novel BL | TB(1) | CM(2)

CRAFT vol.29 

<作品データ>
・「CRAFT」vol.29(大洋図書)2006.7
CRAFT Vol.29 (SHYコミックアンソロジー)CRAFT Vol.29 (SHYコミックアンソロジー)
(2006/07/13)
宮城 とおこ奈良 千春

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□カバーイラスト●宮城とおこ
□木下けいこ『キスブルー』第7話
□山本小鉄子『ドキドキレンアイ』第4話
□天禅桃子『青色の澄んだ色は』第2話
□古街キッカ『さくらにあいたら』第2話
□橘紅緒&宝井理人『セブンデイズ』第2話
□槇えびし『...a wonderful day.』第2話
□雁須磨子『ちいちいはしゃぐ、とおくとぶ』第8話
□宮城とおこ『G線上の猫』第10話
□井上ナヲ『君に映る青』第4話
□樹要『インターバル』第2話
□奈良千春『105号室の犬』第4話
□河井英杞『青春花心中』第5話
□月村奎『こんな毎日』(守井章・画)第10回

丸山真男『日本の思想』精読 

丸山真男さんの『日本の思想』は何度も挑戦してはいるのですが、いつも途中で挫折してます。
要するに、私のボンクラ脳ではどうにかできるレベルの内容でも文体でも無いんでしょうな…。
まあ、『「である」ことと「する」こと』は、ご多分に漏れず高校の現代国語で読まされましたけどね。
でも、私の現国の成績は常に3~4を右往左往して足を引っ張っていた科目なので、お察し下さい。

為になるコトが書かれてある予感がするので読みたいのですが、突然の睡魔に襲われるのです。
難解というか、とても独特な著者の日本語がどうにも合わないっぽい。

てことで、結局数多の概論から攻めてみることにしました(笑)。
宮村氏によると、この論文を読みこなす秘訣は、どうやら後ろの章から読み始める事にあるらしい。
…し、知らなかったヨ!うし、この方の方法を踏まえて、次こそ絶対ちゃんと読みこなしてみせるぜ!

とまあ、冗談さておき。
例えば、腐女子という言葉とイメージを問い直してみると、ココにも現代日本社会のが生じてる。
間接的な情報を吟味することなく、ステレオタイプなイメージで有徴化するコトで安心する世間と、
そんな勝手な(クソな)イメージの付与に激怒している腐女子と称される(orやすい)人々との対立。
が、腐女子のイメージ刷新の為に、腐女子に対して行動(振る舞い)の自粛を呼びかける品格層も、
フジョシフォビックな大衆の一部も、腐女子礼賛の層も皆、実は結局同じ穴の狢なのだと思われる。

私は、そういう意味で“腐女子”という冠も蔑称も必要としない、多分少数派のBL/801ファンです。
重要なのは名前じゃなくてコンテンツだし、属性ではなくて行動(読む/書く/聴く)にあるハズだ。
私のこういう発言が、何処かの個人や集団に対して暴力的だというのなら、確かにソレは認めます。
ですが、意見の撤回は致しません!何故って、ソレは私が常にジャイアン気質だからですよ(笑)。

<作品データ>
・宮村治雄『丸山真男「日本の思想」精読』(岩波現代文庫)2001.1
丸山真男『日本の思想』精読 (岩波現代文庫)丸山真男『日本の思想』精読 (岩波現代文庫)
(2001/01)
宮村 治雄、丸山 眞男 他

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[ 2008/04/15 21:44 ] non-fiction | TB(0) | CM(0)

いつかじゃない明日のために 

先日ご紹介した『指先から伝わる』を読んで以来、高岡ミズミさんの小説に俄然興味が沸きました。
が、作品数があまりに多く、何から手をつけてよいのか分からなくてブログ友数人にメールで相談。
結果、萌えの嗜好もBLの好みもバラバラな三人が、共通して一番に挙げられたのがこの作品です。
あらすじも私好みだし、挿絵は大好きな円陣さん、三人の腐萌え友のお墨付きなら読むしかナイ♪
が、中野でも池袋でも見つからなくて実は入手に手間取っていたのですが、ようやく読了できました。
面白かったデス!不意打ちのメールなのに快くお返事くださったYさん、Hさん、Aさん、ありがとう!
てことで、また一つ墓場まで持ち込みたいBL小説が一本増えました(笑)。

そして、私信ですが一つだけお三方に質問が…。
もしかして、私がフォトグラファー攻めに弱いコトを見越した上でのオススメ作品だったのかな?

偶然にも、この作品も山岳小説の端に位置するボーイズラブ小説でした。
山のあなたのなお遠くに住まうという“幸(さいはひ)”を探していた青年が、“少年”と再会する物語。
山に帰って逝った父親の痕跡を辿り続けるように、険しく美しい山岳写真を撮り続けてきた基継は、
直哉という名の“天使”に出会い、自分の帰り行く場所は直哉の待つ“家”であることに気づきます。

私には、直哉は魔性の子で、志津子はその守護者で、彼らの“家”は所謂マヨイガのように見える。
小説は一貫して直哉視点なので、巧妙にはぐらかされているのですが、コレはお伽噺だと思います。
でなければ、ノスタルジックな雰囲気が濃厚な、印象深い日常風景の描写の悲喜こもごもに反して、
ストーリー上どうみても重要と思われる箇所が、わざとぼかされていたり、曖昧にされている理由が、
全く想起できない…というか、(Aさんのお得意の言葉をお借りするなら)納得できないのです(笑)。

この物語のベースラインにはエディット・ピアフの「愛の讃歌」があり、だから“愛”が全てを超越する。
男同士であることは元々問題にすらなっておりませんが、まる10歳というこの年の差カップルには、
恋人同士になる前に、<親-子>のような、<兄-弟>のような“家族”関係が既に成立している。
空白の10年間があったとはいえ、その関係を覆して肉体の絡んだ“愛情”を“幸”とする過程には、
もう少し互いに葛藤があっても良さそうなモノですが、そのボーダーラインをそうとは気づかぬうちに、
淡々と越えてしまいます、サラサラと流れるような直哉視点のフレーズが、甘いから厄介なのだ。

高岡ミズミさんの文体は、いつもこういう感じなんでしょうか?
だとしたら、私はこういう読者と主人公の距離が上手く取れなくなるヤラシイ文体は少し苦手かも…。
だって、いったん物語の中に入り込んだら、出てこられなくなるタイプの上手い文なんですもんっ!
イイ年して、現実を忘れて、小説の世界から帰ってこれませんでしたって、自虐ネタも過ぎるでしょ?
(萌えの)山のあなたの空高くに“幸”は確かにあるのでしょうけど、それだけじゃ生きられないし…。
つまり、私はこの小説にすっかりハマって、うっかりフィクション世界で遭難しかけたんですヨ(笑)。

心に沁み込んで来るタイプのBL小説という意味では、大変オススメです♪
でも、この入り込みやすい直哉の視点には十分に気をつけて!気づかないうちに憑依してくるから。

<作品データ>
・高岡ミズミ『いつかじゃない明日のために』(円陣闇丸・画、ハイランドラキアノベルス)2004.2
いつかじゃない 明日のために (ラキアノベルズ)いつかじゃない 明日のために (ラキアノベルズ)
(2004/02/14)
高岡 ミズミ

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[ 2008/04/12 13:39 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

白の彼方へ 

秋月さんがお気に入りの山岳BL小説とのこと。
「でも、年下攻めですよ!」と散々忠告して下さったにも関わらず、いそいそと購入し読了しました。
シャレードなので雑誌掲載時に多分読んでいる筈なのですが、実は殆ど印象に残っていません…。
典型的な年下わんこ攻めモノだったから、2年前の私はきっとサラっと読み流したのだと思います。
最近ようやく私も年下攻め萌えのツボが分かるようになってきたので、無我夢中で読み込みました。

基本的には、とても楽しかったです♪
…が、なまじ設定が好みだった分、展開が早過ぎて勿体無い作品だな、とも思ってしまいました。

私も、“山岳”小説なるものに言い知れぬ憧れを感じるタイプなので、期待しすぎたのでしょうねー。
本作品は山岳小説である前にBL小説ですから、方向的には至極真っ当でバランス良いのですが、
全てが予定調和というか、山岳×BL×未亡人の設定から自ずと導かれる物語となっています。
予想外の展開が皆無なのは“手堅い”と言える一方で、やはりどこか物足りなく感じてしまう訳で。

加えて、全体的に筆致が軽いので、男達が一歩一歩踏み込んで登攀する描写に重さが足りない。
故に、主人公の朝陽の山に対する複雑な思いが、彼に恋焦がれる塩見の山に魅せられた理由が、
魅力的なバイプレイヤーの浅田と山岳警備隊員の面々のプロフェッショナルな任務遂行シーンが、
急ぎ足気味の展開も災いして、全体的にどこか軽い感じがして、このセカイに没頭づらいのです。
換言しますと、登場人物達の山に対する憧憬と畏怖感がイマイチ伝わってこないのです…。

もっと紙幅を増やして、否、むしろ本編一本分がまるまる山岳描写で埋め尽くす勢いであったなら、
私もこの小説で萌え尽くすことができたでしょうし、登場人物に感情移入して物語を堪能できたかも。
もしかしたら、にゃんこさんや秋月さんが小説よりも泣けたと仰るオススメのドラマCDバージョンは、
私が期待していた山岳物語の濃くて深い密度が体感できるのでしょうかね?

まま、それは兎も角として、バイプレイヤーである浅田の魅力が主人公CPを圧倒しておりましたね。
引きの頃合が絶妙で、心中は多くを語らず、朗らかな二枚目半オヤジを飄々と演じてくれるキャラ。
正直言って、朝陽もツンデレドクター間宮も、この魅力的な攻めキャラの相手としては役不足です。
まあ、本人がツンデレドクターが愛しくてしょうがないって言っているのだから、良いんですけどね。

結論。
山岳BLもっと読みたいっ!これだけじゃ全然足りないっ!オススメあったら是非教えて下さいっ!

<作品データ>
・真崎ひかる『白の彼方へ』(高峰顕・画、二見書房シャレード文庫)2007.5
白の彼方へ (二見シャレード文庫)白の彼方へ (二見シャレード文庫)
(2007/04)
真崎 ひかる

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[ 2008/04/09 21:22 ] novel BL | TB(2) | CM(2)

きもち満月|くじら日和 

私にも、かつて少女漫画を読んでいた時期だってあったのデス。
確かに、当時の私はどちらかというと「なかよし」派だったのですが、「りぼん」だって読んでました。
で、この作品はリアルタイムに雑誌で読んでいましたし、コミックスも実家の本棚にまだある筈…。
君は、私が実は谷川史子さんの少女漫画が大好きだったという意外の真実を信じるかい?(笑)

いやあ、本当に懐かしい物語ですね~。
12~13歳の時に大好きだった作品が、三十路の今になって読み返しても面白いのは稀ですよね。
当時の友人には不評だった記憶があるのですが、今思うと少し大人向けの内容だったのかも…。
快活で健全な女子高生がヒロインというのは、確かに少女漫画の定番で正しい方向性なのですが、
相手の男が、優しいけれど狡猾だったり迂闊だったり、変で不器用な大人のキャラなのが珍しい。
彼らはどう見ても“少女”の理想を仮託できるタイプではなく、カッコイイの逆ベクトルを貫いてます。
が、彼らの情けなさor弱さというのは、大人になって久しくなると愛しく思えてくるのだから不思議。
私も、当時は谷川さんの“大人の男性”が少し苦手だった筈なのですが、今は魅力的に思えます。
ティーンエイジャー相手に“大人”の振りをして必死な姿が、痛々しくもどこか切ないんですよねー。

この「きもち満月」と「くじら日和」は、短編ばかりだった当時の谷川さんには珍しい中編シリーズ。
前者はラブ未満のSFチックなコメディで、後者はセンチメンタルでやや変則的な下宿モノですね。
今読んでも、大人になってから読んでも、十分に鑑賞に堪え得る谷川史子節が全開な少女漫画。
オススメです~♪

<作品データ>
・谷川史子『きもち満月|くじら日和』(集英社文庫)2008.3
きもち満月,くじら日和―谷川史子長編集 (集英社文庫 た 68-3)きもち満月,くじら日和―谷川史子長編集 (集英社文庫 た 68-3)
(2008/03/18)
谷川 史子

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↓は個別感想、やや腐視点。

[ 2008/04/07 20:58 ] comic 非BL | TB(1) | CM(4)

新天地へ 

本日から、とうとう三十路の階段を登り始めることになりました(笑)。
あまりに薄ら寒い現実を前にスルーするつもりだったのですが、ブログペットのユキがお喋りで…。
某Hさんから暖かいお祝いのメッセージも頂いてしまったので、逃げ隠れせずに報告に参りました。
てことで、本日は私にとって30回目のバースデイ


それにしても、記念に何か語ろうにも人様に語ってしかるべき日常雑記なんて何も無い訳でして…。

あ!そういえば、私は今もオタクご用達ショップの買い物袋を恥ずかしがらずに持ち歩けますよー。
ってか、抵抗があるのはお店に入ることであって、中で買い物することには全く頓着いたしません!
まあ、私の場合はメイトもだらけも年に1~2回も行けば良い方で、何も買わないコトが多いです。
去年は珍しく比較的何度も足を運びましたが、殆どが同行者のお付き合いorご案内でしたしねー。
BLやラノベも充実しているけれど、他ジャンルも充実している本屋さんの方が好きなんですよね。
そういう本屋さんに入っちゃうと、調子こいてイロイロと買い込み過ぎちゃうんですけどねー。

あー、せっかくなので私が利用する本屋さんをいくつかご紹介しましょうか?

1)J堂池袋店
何度も予約をお願い&お問い合わせをしているので、フロアのスタッフに顔覚えられているかも…。
ビーボーイノベルス、シャイノベルス、そしてドラマCDを買う確率が高いです。

2)H堂池袋店
コチラは数年前までなら一番利用率の高い書店でしたが、最近はJ堂がメインになっちゃったな~。
昔は某レーベルのテスト販売で、発売予定日の半月前に新刊が入手できたりしていたのですが、
最近はどうなのかな?私が利用する書店の中では、もしかしたら新刊入荷が最速かもしれない。
とはいえ、以前に比べると既刊の揃いがよろしくないので、私の足は遠のいてしまいました…。
何故か、コチラでは東京漫画社のコミックスを買う確率が高いなあ。

3)L池袋店
一昨日に、ずっと探していたWH新刊をコチラで買い求めました。
新刊の品揃えはそれほど悪くないのですが、↑ニ店舗に比べると入荷が遅い…気がします…。
BLやラノベよりも、専門書や新書を買い過ぎることが多いので、極力見ないようにしてます(笑)。

4)K屋新宿本店/南口店
コチラは月1~2度程、お邪魔しては商品を物色&偵察しております(笑)。
重版待ちでどこの本屋でも見当たらない超ヒット本が、山のように積まれていて驚くことが多い。
コレが王者の風格なんでしょうが、ショタレも途方も無い量なんだろうなあと、想像してみたり…。

5)F屋新宿店
コチラは、穴場の本屋さんになるのかな?
1フロアの書店にしては品揃いが良くて、新刊のBLやラノベも意外と充実しております。
既刊はひと頃に比べると大幅に棚自体を縮小しちゃったので、既刊探索には向かない本屋ですが。

以上大型書店のイニシャルトークです。
他にも遠くて滅多に行けないけれど、YブックセンターとかS堂本店とかは大好きな書店です。
もちろん、地元の小さな書店にも愛着があって、意外な一冊が見つかると喜び勇んで購入します。
とりあえず、散歩途中で見つけたノーマルな本屋さんは絶対に冷やかしがてら入っちゃいますね♪

ちなみに、近所の某書店は何故経営が破綻しないのか不思議なくらいにいつも人がいない…。
2フロアで敷地面積がバカ広いのに(駐車場もある!)、お客が私しかいないとかしょっちゅうデス。
1年前の新刊を「新刊入荷!」の元気なポップ付きで、平台で展開していた時期もありました(笑)。
流石に、最近はそこまで酷くは無いのですが…競合書店には負けっ放しだと思うんだけどなー。


[ 2008/04/04 22:00 ] 未分類 | TB(0) | CM(7)

お手をどうぞ 

「Shall we ダンス?」や、竹内まりあの名曲「恋の嵐」を髣髴させる小洒落た雰囲気のダンスBL。
私が初めて読んだ火崎勇さんの小説で、今読み返しても全く色褪せない魅力を有する素敵な物語。
以前もチラっとだけご紹介致しましたが、今回はちゃんと読み直したのでまたまた旧作の感想デス。
えーと、やっぱりとっても面白いオススメBL!特にこのジャンルの初心者に打ってつけの一本かと。

この作品は、冒頭からストンと物語世界に誘われる、つまり小説のスイッチが入る作品です。
緊張と集中は同じであるとは某野球漫画でも語られておりましたが、コレは読書にも言えますよね。
私も初めて読む人の作品に対しては、期待と不安が入り混じった状態で身構えてしまうコトが多い。
つまり、緊張しているので、ある程度の集中力を高めないと読み始める事ソレ自体が困難です。

この作品を読み始めた時も、そんな[作者]-[作品]-[読者]の緊張関係から始まったのですが、
それは見事に杞憂に過ぎず、実際には冒頭から主人公と一緒に物語世界に誘われる内容でした。
まあ、正直言って後日この著者と感覚的に全く合わない作品も知ってしまいますが、ソレは兎も角、
初めて読んだ火崎さんの作品がこの小説だったのは、とても幸運な巡りあわせだったと思います。
だから、今でも割と好きな作家に入るのです(追いかけきれない量を書かれているのがネック…)。

CP設定は、女々しいツンサマダンサー×理屈っぽいけれどごく普通の真っ直ぐな男前の大学生。
主人公の青葉は、母親のパートナーを務める為に、親子でソシアルダンススクールに通い始める。
そこで出会ったのが、何故か踊れない(or踊らない)プロ選手のみ御用達の講師である九鬼でした。
クールなツンサマでオレサマなのに、たまに会話の端々でバランスの悪い対応を見せる彼の姿が、
青葉の好奇心に火を点し、一方で理不尽で不躾な“敵”のダンサー群にも遭遇してしまった所為で、
趣味と割り切って楽しむつもりだったソシアルダンスを、彼は一時的に本格的に取り組み始めます。
そんな経緯を物珍しそうに眺めた九鬼は、何故かボランティアで青葉の専属講師役を買って出る。

九鬼には踊らない(or踊れない)“疵”があって、青葉はそれが何なのかが気になって仕方がない。
九鬼は誰よりも上手に踊れる筈なのに踊らない…物語が半分を過ぎるまで、徹底的に踊りません。
が、そんな彼がようやく見せるダンスが、青葉の練習相手なので女性役というのが面白いのデス!
先生だから当たり前なんだけど、小柄な青葉相手に上背のある九鬼が女性役を勤めるその姿は、
何処かリバっぽいというか、倒錯的なエロティシズムを味わえる瞬間…九鬼が出し惜しんでいた分、
そのダンスシーンは圧巻で、映像イメージも読者に十分に伝わってくるのですよね。

相手を知りたいと思っていたら(or思ううちに)恋に落ちていたというのは、火崎さんの作品の定番。
その後は禅問答のような理屈っぽい会話の応酬が積み重なって、割と唐突にロマンスが始まる。
この辺りのプロットの捌き方には確かに難を感じなくも無いのですが、ソレは些細な問題だと思う。
案外探すと少ない、本格的なスポーツもののBLを読みたい方には、何よりもオススメしたい作品。
ご馳走様でした!

<作品データ>
・火崎勇『お手をどうぞ』(松本テマリ・画、徳間書店キャラ文庫)2002.5
お手をどうぞ (キャラ文庫)

[ 2008/04/02 19:03 ] novel BL | TB(0) | CM(0)
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Author:tatsuki
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