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小夜時雨の宿 

本作品は、あの独特の水原とほる節が殆ど見受けられません。
故、凄惨で暴力的なその種の描写が苦手な方にも読める内容だとは思うのです…ですが…。
BLというよりはJUNEっぽいテイストで、そういう雰囲気の年下攻めがお好きな方にはオススメ♪
あるいは、未亡人受け萌えの方も楽しめる内容だと思うのですが、私はと言えば正直微妙デス。
とても雰囲気のある(or陰影の濃い)作品だとは思うのですが、ちょっとトーンが暗いんですよね。
こういう雰囲気も嫌いではないけど、攻めが居たたまれなくて可哀想に感じてしまう作品でした。

「でも、俺は自分を止められなかった。あなたに会いたかった。会いたくて、会いたくてどうしようもなかったんだ……」(P215)



↑の修司の告白の台詞が心にグッと来ます、コレで落ちなきゃアンタ鬼だよって主人公に言いたい。
でも、コレ言われても飯島は完璧には落ちなかったのです…しかも、攻めを裏切っちゃいますし…。

兄の身代わりでもいいから愛されたいという心情と、兄以上に愛されたいという本音で惑う男・修司。
亡き兄の恋人だった飯島が好きで好きでしょうがなかったけれど、ずっと我慢してきた攻めでした。
が、飯島は彼のそんな恋情にまるで気づかないので、彼は劣情の抑制の箍が外れてしまうのです。
修司のアンバランスな心の在り様は読者に切ないくらいに伝わるのに、受けの心は難攻不落の砦。
梔子(クチナシ)の花を相手に戦わなければならない攻めの辛さが、私の心まで浸食してきます。

主人公の飯島はゲイで、しかも自身のアイデンティティには後ろめたさを感じているタイプのゲイで、
結局どの人間を相手にしても、物分りの良い顔して身を引いちゃう男で、残酷なキャラなんだと思う。
自分の存在を抹消することが、周囲を丸く収めて事なきを得る最良の道と信じて疑わない頑なな人。
が、コレは触らぬ神に祟りなし的な後手の守りなので、そんな生き方はいつか必ず破綻するモノ。
案の定、職場で親しかった筈のアンファンテリブルな生徒から手痛いしっぺ返しを喰らう展開に。
(と言っても、従来の水原作品とはまるで異なった手ぬるい、否、優しい仕打ちなのでご安心下さい)

彼らの心に触れようとしなかった飯島の“正当”さが、逆に二人の男の心を深く傷つけてしまうのだ。
真っ当を装い、真っ当を装おうとするコトで、それが身近な親しい相手に暴力的になっている事実に、
彼はどれほど自覚的だったでしょうか?最後の最後まで、無頓着だった気がするのは私だけか?
そんな訳で、飯島の選択肢は私の選ぶソレとは常に真逆で、彼に全く感情移入出来ませんでした。
ゲイであろうが無かろうが、こういうタイプの人間は少なくはないと思うので腹は立ちませんがね…。
むしろ、こんなに報われない相手を思い続けて、追いかけざるを得ない修司が不憫でなりません。

世間では、飯島の、兄の雄司の、彼の母親の一歩引いたまともな行動が“美徳”なのでしょうけど、
私は修司同様ソレが正しいとは思えないし、多くの“例外”が世間を作り上げているとも思うのです。
私は最近、運良く男女で結ばれても子孫を残せない夫婦というのも身近で目の当たりにしましたし、
五体満足でも性格その他に難があって、パートナーのご縁を逸し続けている人間も知っています…。

あっれー?何だかルサンチマンチックな誰かさんの、見っとも無い恨み節が出てきたゾ(笑)。

まま、飯島は幸運にも二度目のご縁にも恵まれた訳ですから、その良縁を大事にして欲しいな、と。
四の五の言わずに、(茨かもしれない)その恋愛関係を突っ走れ!と、私は叱咤激励したいのだ。

<作品データ>
・水原とほる『小夜時雨の宿』(夏珂・画、海王社ガッシュ文庫)2008.4
小夜時雨の宿 (ガッシュ文庫)小夜時雨の宿 (ガッシュ文庫)
(2008/03/28)
水原 とほる

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[ 2008/03/30 21:31 ] novel BL | TB(0) | CM(0)

楽天主義者とボディガード 

火崎勇さんの作品も、久々に読みました。
新藤まゆりさんの表紙絵が私好みな感じで、萌えCPセンサーが反応したのが購入動機デス。
うん、面白かった!火崎勇さん独特のこざっぱりした頭で“考える”恋愛譚が、私は大好きです♪
まあ、某Aさんが指摘されたとおり、逆に言えば理屈っぽい(or屁理屈っぽい)時もありますが…。
兎も角も、ご馳走様でした~♪

火崎さんの小説は大概一人称ですけれども、今回は地の文が“私”だったのでちょっとビックリ。
BLじゃ珍しいですよね?私は他に高遠琉加さんの短編「キス」でしかお目にかかったコトが無い筈。
この一人称(私)の所為で、読者と主人公の間に深い溝が出来る構造の作品になっておりまして、
高遠さんにしろ、今回の火崎さんにしろ、その“効果”が物語の肝(オチ)に関わってくる小説です。
即ち、これらの主人公(受け)は攻めは勿論のこと、読者にすら何か重要な秘密を隠しているのだ。

今回の組み合わせは、ボディガード×大企業後継者候補(オレサマ仕事人×クールビューティ)。
平泉は後継者争いの煽りで親戚筋からボディガードを宛がわれるのですが、その対応に猛反対。
彼にはとある秘密があるため、24時間絶え間なく自分のプライベートを監視されるのは困るのだ。
が、知人とボディガードとして派遣されてきた西岡には逆らえず、渋々周辺警護を任せることに…。
とはいえ、頭脳派の平泉はあの手この手で西岡達ボディガードの面々を出し抜き、逃走を試みる。
彼の作戦は一時的に成功するが、致命的な虚言を犯してしまった為に、大変な目にあってしまう。

まあ、大変な目というか、良い目にあってしまったと言い換えても良いんですけどね~♪
口は災いの元ですが、災い転じて福ともなる訳で、西岡と親密になれるチャンスがここから始まる。
謹厳実直で優秀なボディガードと思いきや、彼の実態は割とオレサマでそのギャップが楽しいデス。
その後も二人の仲良く追いかけっこ式の、頭脳戦の攻防の数々が拝めて面白い展開なのですが、
二人とも肝心の手の内を見せないので、最後の最後にならなければ“ラブ”自体は発生しません!

自分の手持ちのカードを極力切らずに、相手からどのようにして“本音カード”を引きずり出すのか?
実は、平泉よりも西岡の方が先に落ちているっぽいのですが、西岡も大概の負けず嫌いだから、
恋愛主導権争いでは、平泉が彼の元に落ちるまで“待ち”の一手の長期戦に持ち込むんですよね。
このゲーム感覚の理性的な“恋愛”の駆け引きが実に火崎さんらしくて、私には心地良いのです♪
クールVS.クールの恋愛攻防戦を楽しみたい方には、うってつけのBL作品じゃないでしょうか?
とっても、オススメですヨ♪

<作品データ>
・火崎勇『楽天主義者とボディガード』(新藤まゆり・画、徳間書店キャラ文庫)2008.3
楽天主義者とボディガード (キャラ文庫 ひ 1-21)楽天主義者とボディガード (キャラ文庫 ひ 1-21)
(2008/03/25)
火崎 勇

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[ 2008/03/28 19:24 ] novel BL | TB(0) | CM(2)

フダンシズム 

雑誌連載の時から思っていたのですが、一体誰に向けて発信している漫画なんでしょうかね?
見ようによっては腐女子向けであったり、フツーに変なラブコメ風味だったり、萌え漫画だったり…。
“萌え”と一口に言っても、腐女子萌え、やおい萌え、女装萌え、百合萌え等がミックスされている。
いずれにせよ、明白なのは腐男子向け作品では無いし、腐男子をそもそも誤解している気がする。
いえ、ヒロインとの運命的な出会いを通して、主人公が腐男子として成長していく物語であるのなら、
このタイトルも間違ってはないのでしょうが、現時点では女装コスプレ趣味としか言いようがない。
ここまで、読者ターゲットが想定できない作品というのも珍しいデス!皆さんは、どう思いますか?

まま、兎も角も私は例によって例の如くの腐読みデス。
実は、作中でヒロインご一行様に大人気な仮想カップリングであるテン×ミコにテラ萌えました♪
(元ネタは、恐らく某プリキュアの某カップリングを下敷きにしたような幼児向けアニメジャンル派生)
残念ながら表紙には主人公しか描かれていないのですが、裏にはテン(白)×ミコ(黒)もいるので、
最寄の書店で出来れば裏表紙だけで良いから見て欲しい~♪チャンスがあれば本編も、是非!
お調子者の(多分…)てんてる(白)と、クールなみこと(黒)はプニキャラですが、擬人化もアリ。
うん、ミコ×テンはありえん!私もテン×ミコ派だわ…って、読んでない人には伝わり難いよね。

ちなみに、私もマツ×キヨよりキヨ×マツ派です~、部長は典型的なへたれ受けだと思います!
このネタも、読んでない人には何のこっちゃっていうハナシですな…。

本編は片恋相手が腐女子で、彼女とお近づきになるために女装して腐女子を騙る少年のハナシ。
こういう風に解説しちゃうと、いかにもな腐女子萌え/女装萌えネタ作品に思われがちなんですが、
この作品は男性向けのそういうヨコシマな視線が抑制されているので、女性にも読みやすいです。
主人公はド天然なので行動がアサッテだし、基本的にやおいをまるで理解していないキャラだし…。
「キモい!」とか「あり得ん!」とか「自重しろ!」じゃなくて、本当に根本的に分かっていないのだ。
色眼鏡で見ているタイプの作品ではないから、そういう意味では腐女子にも楽しめる内容ですヨ。

ヒロインの小西さんも、実はメガネっ娘腐女子といういかにもな記号を与えられているのですが、
彼女の性格面は不明瞭なままで、主人公に対しては無関心(アウト・オブ・眼中)を貫いている。
1巻においては恋愛フラグが一本も立っていないし、今後もソレが変わっていくのか甚だ微妙…。
今後の展開を予測するなら、彼はヒロインを喜ばせる為に同人誌を作り始めるのだと思われます。
で、まっ逆さまに腐道コースをひた走るのではないのかな、と。

基本的には楽しいコメディ作品なんですが、コスプレ耐性が無いとちと厳しいかもしれません…。
私は、テン×ミコ萌えが全てを凌駕したので、大して気にはなりませんでしたがね(笑)。

<作品データ>
・もりしげ『フダンシズム』1巻(スクウェア・エニックスヤングガンガンコミックス)2008.4
フダンシズム-腐男子主義- 1 (ヤングガンガンコミックス)フダンシズム-腐男子主義- 1 (ヤングガンガンコミックス)
(2008/03/25)
もりしげ

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[ 2008/03/27 22:02 ] comic 非BL | TB(0) | CM(0)

指先から伝わる 

前回、亀井高秀さんのコミックスを買ったのは、一体何年前になるんだろう?
少なくとも1年や2年どころのハナシじゃない…って、当時の私はまだフリーターだった気がするゾ。
一時はこの著者の漫画作品はもう二度と読めないんじゃないかと、本当に諦めかけておりました。
たまに挿絵のお仕事で見かけてはいたので、完全に業界撤退という訳では無かったのでしょうが、
コミックス媒体では、全くの音沙汰無し!元々寡作な方ではありましたが、それにしても…ねえ…。

ですが、本日(別名義とはいえ)亀井さんの作品が久しぶりに発売されました~!感無量デス♪
しかも、私がかつてこよなく愛していたあのルチルテイストがそのままの形で!嬉し過ぎです♪
このシリーズが掲載されるようになってから、逆に私は雑誌のルチルと距離ができてたのですが、
だから、余計に新鮮な気持ちで作品を読むことが出来ましたし、コレがまた功を奏したのでしょう。
大満足です!実は高岡ミズミさんが原作なので不安もあったのですが、全くの杞憂でしたよー。

確かに、亀井さんの作品なら更にシャープでクールでハイクオリティだったのかもしれませんが、
その代わりにずーーっと新作が読めないリスクを考えたら、こういう分業体制もありがたいです。
高岡さんが生み出したキャラクタ達も味わい深くて魅力的で、プロットも捻りがあって面白かった!
ただ、主人公を含む4人の主要キャラクタ達が皆それぞれ深い心情とエピソードを有していたので、
駆け足展開で、サラッとした雰囲気で終わらせてしまったのは、少しだけ勿体無かった気がします。
なまじ魅力的過ぎるものですから、もっと底を掘り下げた長編プロットを期待したくなるんですよね。
贅沢な欲求だとは、自分でも分かってはいるんですけど…(笑)。

えーと、作品テーマは“私”探しです。
後藤章弘は、自分が従兄弟の祐ちゃんに対して普通じゃない視線を持っているコトを知っている。
近所に引っ越してきたミステリアスで傲慢不遜な彫塑家の能代は、章弘の内面を言葉巧みに唆し、
章弘は好奇心(≒自分&能代に対する探究心)に抗えず、21歳にしてようやく第一歩を踏み出す。
そして、章弘は多くを知るのだ…自分の視線の先にあるもの、能代の冷たい指先の先にあるもの、
祐ちゃんの優しい言葉の先にあるもの、周到で狡猾な都筑の行動の先にあるもの、心の在り処を。
章弘は思考し、悩み、行動し、最終的に能代を選ぶ…能代を見続けて自分を知ることを選ぶのです。

“BL”というよりは、“哲学”ですね。

カエルが解き放つ瞬間を見定める視線力を有する章弘が、能代の芸術への情熱に火を点します。
純朴な青年は案外粘り強く、オレサマな芸術家は打たれ弱く、二人は互いに必然性を感じるのだ。
“知りたい”が“恋”に変わるのは、そう遠くない未来のハズです。

<作品データ>
・古田アキラ『指先から伝わる』(高岡ミズミ・原作、幻冬舎ルチルコミックス)2008.3
指先から伝わる (バーズコミックス ルチルコレクション)指先から伝わる (バーズコミックス ルチルコレクション)
(2008/03/24)
高岡 ミズミ

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[ 2008/03/24 00:00 ] comic BL | TB(0) | CM(0)

セブンバトン 

またまた、ゆちゅ♪さんからバトンが廻ってきました♪
てっきり、人間の七つの大罪について懺悔でもさせられる質問なのかと思いきや!(笑)
履歴書とかお見合いサークルのアンケートフォームみたいな普通の質問群でしたね。

回答は↓からどうぞ。

<拍手お礼>
entry756、775、778に拍手ありがとうございました。

Aさん>
確かに、長いですね!榎本さん。
でも、私が惹かれるのは身体じゃなくて、エロい表情というか視線なんだと思います。
あとは、基本的に荒い描線のイラストが好きなんだと思う、上手く説明できないのですが。
そういえば、剛さんは他にもが出てくる話を読んだ気がする、警察犬?フリスビー?
あれ?私、松岡なつきさんと混同してるかな?いずれにせよ、久しく読んで無かったです。
お薦め本は、上京の際にでもまた詳しく聞かせて下さい。


見えない月 

ブログ歴は足かけ二年ちょっとですが、本日初めて剛しいらさんの本の感想を書きます。
私がまともに読んだこの著者の作品と言えば、「~の顔」シリーズと「~の記憶」シリーズのみ。
前者は大好きな作品の一つなんですが、妹から借りた後者のシリーズは私的には微妙な印象。
いずれにせよ、私の中で剛さんの作風は淡白なテイストのBLを手がけてるイメージが強いです。
尤も、作品数が膨大な方なのに私は殆ど読んでいないので、根本的な誤解をしている可能性大。
てことで、本日はそんな剛しいらさん初心者の感想ということで、一つご了解下さい!

と言いつつ、今回の作品も楽しかったのですが、実はとても感想が書き難い…。
ミステリー風味の展開が無きにしもあらずなので、極力ネタバレ回避の方向に努めるつもりです。
人気のミステリアスなミステリー作家・津積黄道と新米編集者・高橋昌人のビルディングロマンス。
原稿を盾にあっさり編集が喰われちゃう的な、BL的にはお馴染みの展開かと思っていたのですが、
蓋を開けてみたら、そういう王道展開を少し斜めにズラした物語になっていて、面白かったです。
むしろ、「~の顔」と同じパターンで、純真な受けが攻めの渇いた心を満たして円満解決する展開。
大雑把に換言すると、『王様と私』とか『サウンド・オブ・ミュージック』等の映画と同じテーマですね。
ヒロインの方が孤独な男にの手を差し延べて、かけがえの無いパートナーとして彼に歩み寄る。
二人の穏やかな愛情物語はまだ始まったばかりで、幸福の余韻に浸りながら静かに幕は下りる。

一方で、メインの片方がミステリ作家なので、この小説も一種のメタフィクション構成になっている。
新米編集者のアキトは、憧れの人気ミステリー作家である津積黄道に原稿を依頼に伺うのですが、
私生活が謎に包まれた彼にはなかなか会えず、運良く出会えてものらりくらりとかわされてしまう。
が、彼の唯我独尊な素振りにも動じず、彼が提示する難題を身体を張って難なくクリアするアキト。
結局、アキトの聡明さと健全さを前に先に音を上げたのは津積の方で、秘密を抱えたまま大遁走。
彼はジュブナイルorヤングアダルト小説のような親切仕様で、随所にヒントを残してくれたので、
新米探偵のアキトも推理で彼の居場所を突き止め、秘密のカラクリまで見破ることができました。
お見事です!あとには、犯人…いえ、この小説の仕掛け人によるシリアスな自白供述が続きます。

アキトは行儀の良い真摯なキャラなので、ファン心理恋愛感情を混同せずにコトに対処します。
そんなアキトの思慮深い反応が、津積の心の糧となり、新たな物語を生み出す豊かな土壌になる。
不意の事故でストック(≒アイデア)の多くを喪失してしまいましたが、彼が復活する日は近い筈。
今後は心の澄んだパートナーと二人三脚で、新生・津積黄道は物語を創出し続けていくのでしょう。

ご馳走様でした♪

<作品データ>
・剛しいら『見えない月』(榎本・画、フロンティアワークスダリア文庫)2008.3
見えない月 (DARIA BUNKO)見えない月 (DARIA BUNKO)
(2008/03/13)
剛 しいら

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[ 2008/03/19 21:57 ] novel BL | TB(1) | CM(2)

シンプル・イメージ 

完敗です!
仕事のお昼休みに喫茶店で読み始めたのですが、初っ端から涙を堪えるのが大変でした…。
きっと美味であっただろう新作のレアチーズケーキの味が分からなくなるほど、心痺れる物語。
(ちなみに、前日は同喫茶店でスレイヴァーズ最終巻読んで、噴き出しそうになるのを堪えてたw)
典型的な年下攻めだったのに…作風が軽めな印象の砂原さんだったのに…正直侮ってました。
高校生×三十路という年齢差13歳ののっぴきならない二人の関係が、とても切なくて愛しかった。

年下攻めに萌えないと、今までこのブログで再三に渡ってしつこく文句言い続けてきた私でしたが、
そんなこと無かった!世界中に土下座して謝りたくなるくらいこの作品に共感し、のめり込んでます。
攻めの永倉は、若くて、美しくて、優しくて、たまに到らなくて、そんなところも魅力的で眩しい青年。
失恋の苦しさから逃れるように海辺の町に越してきた浅名が、心ときめいたのも仕方のないハナシ。
二人の関係は引いては返す小波のような自然な親交から始まり、徐々にその波は高まっていく。

そんな永倉に身も心も囚われて引き返せなくなるほど溺れたなと、気づいた時は既に遅し。
実は、永倉は花火を見てキャラキャラと屈託無く笑う女の子と同じ高校生で、浅名には遠い存在。
浅名は三十路を過ぎた自分の重さと彼への恋心に苦しみます…この年の差は流石に残酷だ、と。
ラブ・アフェアとかアバンチュールといった、軽い関係でやり過ごせない自分の不器用さが疎ましい。
永倉にはもっと相応しい日の当たる場所がある筈なのに、自分の側にいて欲しいと思ってしまう。

次に大きな波が来たら、彼は自分の元を去って、普通の高校生に戻ってしまうのかもしれない…。
そんな不安に苛まれる一方で、今日も自分の隣に在ってくれた永倉をつい愛しく思ってしまう朝倉。
また、己の存在が彼の前途(可能性)を収奪しているのではないかと、年上の悩みは底尽きません。
朝名にとっては2番目の恋で最後のこの恋は、手放したくないけど手放すべき恋なのかも知れない。
ストーリーは一貫して年上(三十路)受けの朝名視点で突き進むので、余計に共感しちゃうのです。

私も頭では分かっているんですよ!永倉にとっても、浅名が人生の転機で救いだったってコトは。
でもね、永倉は高校生で17歳の好青年で、彼の未来はもっと輝かしい道があるように見えるのだ。
いや、年齢も性別も“真実の愛”の前では乗り越えて然るべき他愛ない条件の筈なんだけどね…。
私が今浅名と同じ年齢にいるためか、彼の悩みが一笑にできなくて妙にシンクロ率高いのかな?
多分、浅名は永倉と付き合い続けることで、幸福と後ろめたさを常に感じて生きていくんだろうなあ。
物理的には埋められない年齢差を克服はできないから、一生悩んで付き合っていくしかないのだ。
年若い恋人に“最後の恋”を誓われるのはそりゃ嬉しいけれど、やはり何処か後ろめたい訳で…。

それにしても、砂原さんのデビュー作は意外にも瑞々しくて、青くて、切ないラブロマンスでした。
情景描写に力を入れた流れるような文章も、やや私小説風味で今の作風とは少し違う印象です。
こういう若書きならではの気合の入り方も、私は好きですし、ものの見事にドツボにハマリました。
タイトルどおりのシンプルなプロットで、捻りの効いたオチこそ無いけれど、それがまた良いですね。
一心不乱に書いて、直して、書いて、書いて、直して、書き上げた無二の作品という感じがします。

大好きデス!ご馳走様でした~♪

<作品データ>
・砂原糖子『シンプル・イメージ』(円陣闇丸・画、幻冬舎ルチル文庫)2008.3
シンプル・イメージ (幻冬舎ルチル文庫 す 1-6)シンプル・イメージ (幻冬舎ルチル文庫 す 1-6)
(2008/03/17)
砂原 糖子

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[ 2008/03/17 19:05 ] novel BL | TB(3) | CM(4)

埃まみれの甘いキス甘いからだ 

いわゆるゴーカン罪は成立しない、と私は思う。
たとえ、矢倉がどんなにその精度の良い視点でもって、その状況の詳細を訴えたとしても、だ!!
男同士だったから現行の日本の法律では裁けないのは勿論のこと、これを男女に准えたとして、
裁判官も陪審員も「いや、でも君達どう見たって…」ってお茶を濁したくなると思うのですけどねー。

てことで、ようやっと大好きな萩野さんの新刊の感想をば。
酔った勢いで意気投合して、うっかり身体まで重ねちゃったロミオとロミオのガテン系ラブでした♪
鳥城あきらさんの認可証シリーズとか、泥臭いブルーカラーなBL設定が萌える方に大変オススメ。
建築業界の構造上の問題に焦点もあてつつ、下請け業者の二代目社長の奮闘記といった印象。

私ごとですが、この作品を読んで父の職場と職人さんの雇用システムが少し分かってきたかも?
会社は会社なんだけど、半分親族家業というか何というか、今までも不思議に思っていたのだけど、
実家にあるランクルが実は社用車の扱いで、ガソリン代も殆ど払ったことが無かった実態とかさ…。
(某所で某さんにも話しましたが、いつも利用するGSに会社が年間契約で前払いしてたみたいで)
いや、他にも父方の祖母が亡くなる十数年前まで、生家も実は社宅(?)扱いだったみたいで…。

それは兎も角、この作品は親しい相手に借金するコトの後ろめたさを書いているのが良かった!
大抵のBLは借金の形(担保)に身体寄越せみたいな、到底ありえない展開が多すぎるんだけど、
この作品の攻めはお金の重さを忘れることなく、愛しい相手の“信用”を担保に50万を融通する。
あるいは、300万融通するから落ちてくれ、とツンデレ受けにへたれのポーズをとることも出来る。
まあ、村川は一途なプチストーカー的側面もありますが、基本的に男気溢れる精悍な攻めキャラ。
受けの矢倉も、そんな相手だから一層惚れ直して、矜持を全て彼に預けてしまえるんですよね。

気風の良い男同士の、素晴らしき哉!職業BLに仕上がっていると思いますよ。
導入部からして、萩野さんらしいハードボイルドな文章で、男達の行動様式に独自の美学があるし。
一見意味の無さそうな小さな行動(所作)描写に、後になって意味が加わってくる我流のスタイル。
慣れてくると、この硬質でストイックなトラッド・スタイルの小説も、とても美味しく感じられるのです♪
ゴチになりました!

ちなみに、休日に缶ビール+競馬新聞+ごろ寝の攻めに激萌えしたのはココだけの秘密で(笑)。

<作品データ>
・萩野シロ『埃まみれの甘いキス甘いからだ』(蓮川愛・画、フランス書院プラチナ文庫)2008.3
埃まみれの甘いキス甘いからだ (プラチナ文庫)埃まみれの甘いキス甘いからだ (プラチナ文庫)
(2008/03/10)
萩野 シロ

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[ 2008/03/15 18:58 ] novel BL | TB(2) | CM(6)

メメントモリ  

本日、さほど遠くは無い身内の不幸の報せを受けました。
心より謹んで哀悼の意を表します。

故、本来ならいつも通りに小説の感想を仕上げるつもりでしたが、本日はお休み致します。
明日からは通常モードのブログに戻りますので、何卒ご了承ください。

以下は、極私的な内容になっております。


[ 2008/03/14 23:08 ] 未分類 | トラックバック(-) | CM(2)

スレイヴァーズ ディア 

ちょっとばかり間が空きましたが、ようやくこの異色の下克上ラブの続きに取り掛かり始めました。
…お察しの通り、正直このおかしな二人“変‐HEN‐”なラブストーリーに少し飽きが…きて…。
いえいえ、大好きな華藤さんだから次第に物語も面白くなるはずだと信じたいのは山々なんですが、
あまりの膠着ぶりに、実は物語は永遠にループしているのではないかという錯覚に思い悩まされ、
暫し寝かせました…てか、書き手が華藤えれなさんでなければ、正直途中で挫折したと思います。
今更ながら、明言します!このシリーズは、せっかちな性格の読者には体質的に合わないと思う。

さて、第4弾はアンニュイおフランス編とのこと。
今回の目標は、念願(?)の初デート♪さしずめ、ラヴェンダー畑でつかまえて!といった感じ?
胡蝶の夢の如く、夢と現が曖昧模糊としてめくるめく幻視描写が冴えているのは著者ならでは。
ですが、正直このテーマの昇華だけで一本のストーリーというのは、冗長が過ぎると思うのですよ。
私は既に累計で4500円弱を投資した訳ですが、流石にコストパフォーマンスが悪い気がするの…。

某ゲームのようなループ構造という訳ではなく、あくまで同じシーンがリプレイされ続ける展開。
つまり、柊一様の心の成長に伴い回想シーンに新たなが加わる⇒記憶の明度上昇⇒物語進展、
更に、また別の回想シーンに新たな意味が加わりが増す⇒心の依り処を思い出す⇒関係発展、
物語こそループしてはおりませんが、このようにシリーズの構成方法は一貫して同じ手法を再採用。
故に、二人の関係の基幹に纏わる回想の断片を、読者は繰り返し読み返すコトになるのですよね。

確かに、人間というよりは“天使”的な尊い存在により近い柊一様がメインの視点キャラなので、
読者は視点キャラの描写に全く人間的な信頼を置けないので、この手法は勿論アリなのですが、
このシリーズでは、番外編で信仰心厚きドMな“人間”の冴木という攻めの視点描写も加わるから、
二人の間にあった過去のアレコレは、読者には十分に何が起こったのかは伝わっているのですよ。
故、過去の回想シーンの意図するところは、柊一様が成長しているという証拠の明示に他ならない。
まさに、その為だけに延々と同じシーンがリプレイされるコトが少々耐え難いのは私だけですか?

あ~れ~?何でこんなに、苦言ばかりの感想になってしまったんだろう?

おさらいしますと、この物語はある日突然自分の目の前に舞い降りた天使様に一目ぼれした男が、
身分不相応と知りつつも、己の(下卑た)恋情を育ませてしまった人間の悲劇がそもそもの発端。
今回ようやく思いの丈を告白したのですが、天使様はそれを贖罪として篤く受け止められますが、
この一世一代の告白シーンも、無垢で無慈悲な天使様にはやはり根本的に意味が通じていない!
相も変わらずドMの彼にとって、この天使様は常に絶望幸福がセットになった大変厄介な相手。
それでも尚、冴木にとっての柊一様は唯一無二の至福の悦びだったりする訳で…。

尤も、今回になってようやく柊一様も“使用人”の冴木に対する特別な思いを自覚してはいる模様。
が、やっぱり…というか何というか、天然が過ぎて行動様式が斜めに突っ走っていてそら怖ろしい。
この波乱万丈の究極の身分差BLも、次回でようやく本当に袋小路を抜け出せる…筈…ですよね?
いや、二人が納得ずくなら永遠の奴隷プレイで幕を閉じても、それはそれで良いんですけど(笑)。

<作品データ>
・華藤えれな『スレイヴァーズ ディア』(雪舟薫・画、幻冬舎リンクスノベルス)2006.7
スレイヴァーズ ディア (リンクスロマンス)スレイヴァーズ ディア (リンクスロマンス)
(2006/07/31)
華藤 えれな

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[ 2008/03/12 20:51 ] novel BL | TB(1) | CM(0)

THE BEST DAY OF MY LIFE 

本日は、心待ちにしていたJ庭に行ってきました。
9時に池袋駅ではーこさんと待ち合わせをし、まずは喫茶店で軽食をば。
強行軍のはーこさんにJ庭の入場の流れを軽く説明しつつ、初っ端から大振りトークを大展開(笑)。
いやあ、雑誌上では一応試合の決着が着きましたし、雑誌読んでるのははーこさんくらいだし…。
どうしても、熱くなっちゃうんですよね♪

10時頃になってからユルユルと会場へ向かい、いつもどおり小ホール側の列に加わりました。
今回は私もはーこさんもいつものサークルさんが欠席だったり、新刊落としていたりだったので、
「何よりもまず、ここ!」的なサークルも無く、ゆっくり壁沿い廻っていこうという大雑把な計画に。
(今回は今まで利用したことが無かった委託が最大の目標で、コレが一番読めなかった!)
とまれ、商業BLのお話をしつつカタログチェックしつつで、あっという間に入場時間になりました。

今回はいつもより人は少なかったように思うのですが、列の捌き方が微妙な場所がちらほら。
サークル看板が無くて、長蛇になっていても何処のサークルの列なのかが分かり辛かったデス。
そして、やっぱりと言うか何と言うか、目当てのサークルは新刊が無くてペーパーのみを頂く。
その後は委託サークルの購入に初挑戦しましたが、勝手が分からずにオロオロしてしまう私。
私の目標No.は完売みたいだよ、とはーこさんに指摘されて、思わず嘆声をあげてしまいました。
すると、隣にいらっしゃった参加者が親切にも、1冊は完売してるけどもう1冊ならあります、と。
三十路直前の女とは思えない幼稚な態度をとってしまった自分が、心底恥ずかしかったデス…。
まま、兎に角も委託サークル周辺は想像以上の大混雑だったので、目当てのNo,のみを記入し、
そのままお会計列へ並ぶ…って、私は今回もまた同行者に対する配慮を一切忘れかけてるし!
案内人としての、自分の向いていなさぶりに本日も猛省。

その後は大ホールに移動し、また壁沿いを廻りましたが、コチラはとても落ち着いていました。
今回、大行列だったサークルってあったんでしょうかね?私は階段も廊下にも並びませんでした。
まあ、目当ての委託を無事に購入できて気を取り直し、あとははーこさん優先でお買い物です♪
そんなこんなで12時をまわり、午後のスケジュールもみっちりなはーこさんとはココでお別れ。
後は一人で、ゆっくり目当ての島中サークルさんの本をのんびり購入♪

そして、実は本日は某さん方にメールで“約束”していたコトが1つだけあったのでした。
もう本当にね、私みたいな人間失格なファンがいて、先方も大迷惑だろうと知りつつもですね、
どうしてもその方の某作品に対して、一つ大きな疑問があって、良いチャンスだと思いまして…。
その作品を持参してサインをお願いしつつ、思い切ってご本人に質問をしてみたのですよー。
本当に緊張で舞い上がっていて、何度も読み返しているのに作品のキャラクタ名も出てこないし、
お前は本当にファンなのかよっ!って思われてしまった気もするのですが…テンパってました…。
でも、お返事が私の予想通りだった上に、実はサインにイラストまで添えてくださったんですよっ!
I先生を前にした時の秋月さんや、K先生を前にした時のmikuさんの気持ちが今日分かりました。
家宝にして末代(って子孫残せなさそうだけど…)まで、守らせる所存であります!

とまあ、以上が私の“人生最良の日”のコトの顛末でございました。
以下は、いつもの戦利品リスト(無料頒布は割愛)。

[ 2008/03/10 00:16 ] 同人関連 | TB(0) | CM(0)

○年前バトン 

毎度お馴染みゆちゅ♪さんから、バトン指名受けました。
でも、2年前って今と全然変わっていないから、特に面白いことは何一つないかも…。
魔の山じゃなくて、腐の山に足を踏み込んで以来、私も時の流れが止まっている感じだしね。
ってか、やっぱりいずれは下山するべきなのかもしれない。

とまあ、2年前の自分は殆ど変わっていないので12年前と22年前について思い出してみます。

■12年前(1996年
豊平トンネル崩落事故の連日の報道は、地元だったこともあって記憶に残っている。
 誰がどうみても、いつか崩落するであろう的なスゴイ場所だったしね、ウチの車も一度通ってる。
・映画狂の日々
 兎に角、大量に見ました…挙げ出すとキリが無いので、思い出深いモノをいくつか…。
 ・「ブロードキャストニュース」…ホリー・ハンター演じるジェーンは私的殿堂のヒロインの一人。
  実はこの手のBLが読みたい♪キレ者の受けが、攻めも当て馬も結局選ばない話というのをね。
 ・「フィッシャー・キング」…やおい的にも美味しいけど、私はリディア(アマンダ・プラマー)派♪
 ・「フライド・グリーン・トマト」…お転婆で真っ直ぐなイージーがスバラシイ♪百合テイストも◎
 …って、当時は女性キャラに注目して映画を見ることが多かったみたいですね(笑)
・Puffyの「アジアの純真」とか、今井美紀の「Pride」とか、JUDY AND MARYの「そばかす」とか、
 実は私も大好きな曲だったんだけど…微妙に信じてはもらえないのかもしれない…。
 (ちなみに「そばかす」のタイトルを覚えられなくて、「カエルちゃんの歌」って言ってた私…アホだ)

■22年前(1986年
・ファミコン/おニャンこ全盛期っすね~。
チェルノブイリ原発事故は、やはり北国故か幼心にも大きな事故だったなあと記憶してます。
 「雨に放射能が混じっているかもしれないから、必ず傘をさせ」と大人たちから忠告された。
「ドラゴンボール」はオンタイムで、開始から1年間までは必ずテレビで見ておりましたね。
 (その後は、エレクトーンの受講日&時間と重なって、見れなくなってしまった記憶がある)
・この頃、シルバニアファミリーも流行って無かったかな?少なくとも、仲間うちでは流行ってた。
 (私は、小さい頃から人形が怖いへたれだったので、ジェニーちゃんすら持っていなかった)
・その代わり、「スーパーマリオブラザーズ」を筆頭にファミコン漬けの日々でしたけどね…。
 って、今と変わってないなあ(笑)

以上、余談はお終い!

~拍手お礼~
entry310、425、432、492、549、553、607、761、763(2件)、765に拍手ありがとうございました♪
日曜日にいっぱい拍手頂けたみたいなんですけど、反応が遅くてスイマセン…。
ノンフィクションの記事は、一部を除いて殆ど誰にも読まれていないだろう思っているので、拍手頂けると嬉しい以上に恐縮してしまいます。
精進します。

バトン回答は↓からどうぞ♪

悲劇のロシア 

昨日(水曜)書き上げた某小説の感想文は、電子の海の藻屑となりました…。
我ながらあまり良い記事が書けなかった自覚があるので、再投稿はサクッと諦めましたが(笑)。

メモ未完成。
あまりにも更新の間が空いてしまって心苦しいので、暫定的ながら記事公開。
って、興味ある人は殆どいないでしょうが…。
金曜日には加筆&完成させます。
土曜日になっちゃった…。

えーと、テレビ番組はまだ放映途中なのかな?面白かったです!
芸術家が厳しい制約の中で、己の率直な心性を作品の中にどう滑り込ますのかというのがテーマ。
彼らは夫々、私の想像もつかないくらいの壮絶な葛藤があっただろうけど、作品だけは残った訳で。
“名作”を残す前に消えていった人も多かったと思います、それは無論スターリン時代に限らずね…。
このような社会では、最善の注意を払ってメタファーや引用でテーマを隠蔽するのが唯一の道、
…だったかどうかは検討の余地がありますが、その“技巧”がマニア受けしたのは間違いない。
たとえ、制約の多い不自由な時代だとしても、自己を表現する術は完全に失われた訳ではない。
抜け道は、あるいは、蛇の道はいずれも何処かより広範なフィールドに通じているんでしょうね。

<作品データ>
・亀山郁夫『悲劇のロシア』(日本放送出版協会「NHK知るを楽しむ この人この世界」月)2008年2‐3月号
この人この世界 2008年2-3月 (2008) (NHK知るを楽しむ/月)この人この世界 2008年2-3月 (2008) (NHK知るを楽しむ/月)
(2008/01)
亀山 郁夫

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[ 2008/03/06 19:35 ] non-fiction | TB(0) | CM(0)

それは食べてはいけません。 

またまた、テーマは“幸福な食卓”の探求です、食物連鎖のハナシですが、弱肉強食では無い。
小石川あおさんのコミックスは本当に待ち遠しかったのです!久々のルチルらしい新人さんかと。
BL局面的には一歩手前ないし二歩手前…あるいは麗しい絵に反して微妙にアサッテな作品集。
大好きですし、大満足です♪日常系⇔不思議系の間を右往左往する見事にルチルテイストなBL。
ご馳走様でした!

□やさしい食卓
ドへたれ吸血鬼×ごくごくフツーの大学生。
寂しがり屋の二人が偶然出会って、小さなテーブルを買って、二人で幸せな食事をするお話。
加えて、三日に一度だけ直幸さんは恒君の血をご馳走として頂くことができ、満腹になれます。
この二人が直接的に接触できる時間は、とてもエロティックで見ている方も幸せな心地になれる。
相手を想いやる幸せ、想われる幸せ、喰う幸せ、喰われる幸せ、これは結局皆同じなんですよね。
この二人は一線こそ越えてはいないけれど、紛れも無くホンモノのカップルなんだと思うのです。

□それは食べてはいけません。
当て馬というか邪魔者というか、オレサマツンサマな幸人お兄様が華麗に登場(笑)。
直行さんがハーフ吸血鬼だったので、“家族”と短時間しか過ごせずに寂しかった事情が明らかに。
が、恒君と出会って、共に同じ時間を生きれる幸福を自覚できている直行さんの姿が眩しいデス。
幸人お兄様の“世界はオレの為に廻ってる”的なライフスタイルも、勿論ステキでしたけどね♪

□狼男は満月の夜に苦悩する
狼男×幸人お兄様。
幸人お兄様は、この作品集の中で唯一のお色気担当で、唯我独尊の誘い受け女王様でした!
が、本編に登場時の狼男の初期のキャラ設定とは、今回微妙にズレていたような気がします…。
でも、再読してみたらコレはコレで良いですね♪私の大好きな典型的な「美女と野獣」ネタですし。

□フレンドシーズン
高校生同士(受け攻め判定微妙…他作品のパターンから察すると、くり×くらかな?)。
友人から恋人へという典型的な青春BLなんですが、導入部がちょっと変わっています。
片方が彼女持ちなんですが、友人に告白されて逆に彼を意識し始めて、彼女と別れてしまう。
展開も曖昧で、くりちゃんを上手く動かせてないトコロもあって、ちょっと勿体無い印象でした。


□むすんでほどいて
先生×生徒(物理的なシーンが無いので逆かもしれないが、それは表題作にも言えるよね)。
この作品集の中では、一番BLっぽいかな?ってか、むしろジュネっぽいのかも知れないです…。
あまり親の愛情を授からなかったと思われる少年が、優しい先生を好きになってしまうハナシ。
ネクタイを結ぶというだけの行為が、ある意味キス以上にエロティックなのが心揺さぶられました。
甘えたがりの吉野に翻弄されてる三木先生も魅力的ですが、吉野が正統派美少年で可愛い♪

□ほんとうはやさしい
へたれ×天然(…という属性枠に適応できているかどうか自信が無い…特に受けの陽君が…)。
近いのに遠くて寂しくて別れを決意するものの、攻めの密かな愛情の在り処を知って出戻る話。
実はイロイロと良識から程遠かったのは、受けの陽の方だったというオチもついております(笑)。
陽君はとても綺麗な受けなんですけど、ちょっと…電波的な何かを受信しているタイプに見える。
今後も何かと苦労するのは、攻めの弓緒なのは間違いない。

□きれいなひと
大雑把ワンコ×潔癖症。
事後の汚さに受けが幻滅するショートギャグ♪

□その後の食卓
表題作のおまけ♪続きは雑誌で読めるのかな?

<作品データ>
・小石川あお『それは食べてはいけません。』(幻冬舎ルチルコミックス)2008.2
それは食べてはいけません。 (バーズコミックス ルチルコレクション)それは食べてはいけません。 (バーズコミックス ルチルコレクション)
(2008/02)
小石川 あお

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↓はBBSがエラー続きなので、拍手お礼を。
[ 2008/03/02 20:20 ] comic BL | TB(1) | CM(2)

愛と混乱のレストラン 

一昨日に購入してそのまま読み繰り返すこと3度、雑誌掲載時にも読んでいるので通産だと4回。
もうどんだけ好きなんじゃってハナシですが、大好きデス!高遠さんはマイ・ベスト・オブ・萌え作家。
この方の小説を読むたびに、BLを長い間読み続けていて本当に良かったなあ、とつくづく思います。
確かに作品によっては当たり外れの振り幅が大きいんですが、近年の作品には私的ハズレ無し!
そして、今回の作品は『 犬と小説家と妄想癖 』を超えたマイ・ベスト・オブ高遠作品に化けるかも。
少なく見積もっても、今年の私的BLAWARDの小説ラインナップに加わることは間違い無いかと。

てことで、本日はこの『愛と混乱のレストラン』をご紹介します。
作品のテーマはずばり“幸福な食卓”、物語は“お城”に拒絶された過去を持つ哀しきツンデレラ
鼻持ちならない、取り付く島も無いツンデレラこと鷺沼理人の孤独な攻城戦が、痛々しくて切ない。
目標とする城も、本陣の築き方も、一国の城主(代理人)としての在り方も根本的に間違っている彼。
が、彼の幼年時代のエピソードを知る(知っちゃう)と、その必死で頑なな姿勢を無下に出来ません。
人は見かけが9割という言葉は、一昨年の新潮社のベストセラー新書の受け売りなんでしょうが、
そんな発言を平然と言い切ってしまう傲慢な人間社会に、真っ向からアンチテーゼを突きつけてる。
見た目も、見かけも、見せかけも“茶番”に過ぎず、フレンチレストランはそんな世界の代表だ、と。

無批判に、いや無神経にセレブリティ溢れるプリンセス・ストーリーを志向する作品は、BLにも多い。
否、BLだけではなく、ハーレークインだって童話だってファッション・カルチャー誌だってソコを狙う。
我々の多くは、見せかけの本質無き“幻想”を追い求めて止まないみっともない動物なんだと思う。
ファッションにもブランドにも疎い私ですら、せめて人並みの見た目を志向する愚かな矜持がある。
この作品は、そんな見た目の煌びやかさに囚われた(酔いしれた)人間達を、痛烈に糾弾します。
本来の理想のレストランとは、美味しいモノと幸福な時間を愛(親)しい人と共有できる場所の筈。

本作品の攻めであるシェフの久我修司は、オレサマな独裁者という“王者の資質”を持っている。
彼がソレを有しているのは幸福(幸運)な過去だけではなく、それを持続させるパワーがあったから。
今のところ、高遠さんの作品にしては珍しいのですが、この攻めはプラスエネルギーの持ち主だ。
彼と出会い、彼と関わり、彼に心中を吐露することで、理人の凍結された心臓はようやく動き始める。
食事の本当の美味しさを噛み締められるのも、あともうちょっと…ソコは、彼岸ではない“夢の庭”。

今回の作品は、タイトルの“混乱”にあやかったのか、狙いなのかはイマイチ判断出来ないのだが、
3人称の文章なのに、受けの理人、攻めの久我、更に狂言廻しの桃瀬のトリニティ・サイトでした。
と言っても、久我の視線はストーリー後半に少々増えるだけで、あくまで理人と桃瀬が物語の定点。
高遠さんの作品を文字通りコンプリートしている私ですら、ちょっと混乱を感じる複雑な文体でした。
この著者の基本的な文章の特徴と言えば、センシティブな独特の直喩法に尽きると思うのですが、
今回の主人公(理人)は、五感が一部トラウマで欠損しているので、そこがネックだったのかも…。
ぶっちゃけると、“味覚”を感覚的に伝えられない主人公で食べ物の話でをするのには限界がある。
そこで、BLでは例外的に久我の作品を誠実に表現できる桃瀬の視点が混ざるのでは無いかなと。
あるいは、他にも伏線上の意図があるのかもしれませんが…。

最後になってしまいましたが、本作品はあくまで前菜で、プロローグで、序幕の1幕なのですよね。
甘い展開はついぞ訪れず、これからようやく…というトコロで幕を閉じていて、気もそぞろになります。
続きが気になって気になってしょうがない方は、続刊が出揃ったあとに読み始めた方が良いのかも。
私は例によって例の如く待てないから読んじゃったけど…続きを再三己の脳内で想像しております。
書き下ろしの海ちゃんとか、理人の父親とか、彼らの運命は“マキビシ”が一杯な気がしてちと怖い。
続きは数ヵ月後なのか、1年後なのか、はたまた…ああ、結末を読むまでは生きながらえたいな。

<作品データ>
・高遠琉加『愛と混乱のレストラン』(麻生海・画、二見書房シャレード文庫)2008.3
愛と混乱のレストラン (二見シャレード文庫 た 2-11)愛と混乱のレストラン (二見シャレード文庫 た 2-11)
(2008/02/28)
高遠 琉加

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[ 2008/03/01 01:46 ] novel BL | TB(7) | CM(10)
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tatsuki

Author:tatsuki
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