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フラッター 

このシリーズは、本当に見事に一目惚れだったのだ。
第一話感想(コピペしようかと思ったけど、赤面モノの感想だったのでリンクのみw)

あくまで 僕の場合ですけど なんていうか
僕らみたいなのを 気持ち悪いって 人がいるのは 仕方ないことだと 思うんですよ
そういうハンデ というか負い目 みたいなものを いつも感じてて
それならせめて 外見はちゃんと しとけ! みたいなね
劣等感(コンプレックス)の 裏返しです
「カッコいいのに 勿体ない」って 言わせたら こっちの勝ちです
ま、ちゃちな プライドですよ

(P20-21)

この観月さんの淀みないモノローグが、当時の私にはすごく“新鮮”に映ったらしい。
とはいえ、今でもやはりこういう視点で自身を眼差すキャラクタは殊にBL界では非常に稀だと思う。
あらかじめ性指向をカミングアウトすることで周囲に誠意を尽くし、相手の出方を待つ喰えない男。
左手薬指に光る指輪はそんな彼の誠実さの証であり、朗らかで美しい人柄を益々惹き立てている。
まさにゲイの理想を生きる人で、彼の順風満帆な人生に波風が立つ余地があるようには見えない。
が、そんな彼が不意打ちのを流し、浅田はまさにその瞬間を目撃するのである。

観月さんのメガネは、武器としてあまりに優秀かつ出来すぎなのだ(笑)。
彼が大事にしていたプロミスリングという名の脆いも、切なさ倍増のアイテム効果を発揮している。
だが、何より私が惹かれてやまないのは、引用箇所を含む二人の真摯な言葉のやり取りに尽きる。
浅田の愛の告白が、過去のリフレインのように耳に響いてうろたえ絶望する観月さんの可愛いこと!
破綻してしまった過去の恋を悔いる観月を相手に、浅田は我を貫くことで持続する関係を証明する。
畢竟、指輪に封じられていた観月さんの“負い目”あるいは“呪縛”も徐々に昇華されていく訳で。

終わってみれば、何の変哲もない甘めのBL作品の一つだったと思う。
でも、その過程で紡がれる会話の、モノローグの、言葉の一つ一つの美しさが際立つ作品なのだ。
誠実な二人の愛の顛末を、だから拍手喝采で祝福したくなるんだな。

<作品データ>
・天禅桃子『フラッター』(大洋図書ミリオンコミックス)2011.10
フラッター (ミリオンコミックス  CRAFT SERIES 47)フラッター (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 47)
(2011/10/15)
天禅 桃子

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[ 2011/10/20 04:03 ] comic BL | TB(1) | CM(0)

暴れん坊専務 

表題作は、BLを期待すると完全に当てが外れるゆるいギャグ漫画である。
既存のゲーム業界を皮肉りつつ、玩具(モノ)に対する真摯な愛情が空回る専務と部下の話。
これに引き続くのは、器物にフェティッシュな愛情と愛撫を重ねる不思議少年の青春コメディ。
そして、寿命が尽きかけたアンドロイドに延命措置を施すSF系ハートフルストーリーが続くのだ。
ここで私の涙腺が決壊…彼らが夫々の大切な相手を“見取る”という使命を果たす姿が胸を打つ。
限りある動力源を省エネモードで短時間だけ起動させ、決して諦めない青年の背中がたくましい。
そして、締めは先のアンドロイドのモデルとなった少年の甘酸っぱい初恋未満の青春物語。
実はどれも恋未満のエピソードである…一陣の風が吹いて、何かが始まりそうな予感で終わる。
余韻だけが私の中で何度も何度も鳴り響く、そんな傑作短編集だった。

ずっと長らく紹介しそびれている、市川春子さんの『虫と歌』を少し思い出した。
市川春子さんの作品は、生命の根源のミクロコスモスに対する深い洞察と愛情を根底に感じる。
一方で宇野ジニアさんは、少なくともこの短編に関する限り無機物に対する深い愛着を感じる次第。
この二人に共通するのは、植物や昆虫やモノをヒトと同等に愛しむ奇妙な領域侵犯性にあるかと。
この多様にも異様にも見える愛の形は、所謂擬似化ではなくむしろ異種混交に近いように思う。
私は、この二人のラディカルな物語の紡ぎ方が果てしなく好きだ。

結論。
また一人、一生追いかけたい作家さんが増えた。

<作品データ>
・宇野ジニア『暴れん坊専務』(リブレ出版シトロンコミックス)2011.10
暴れん坊専務 (CITRON COMICS)暴れん坊専務 (CITRON COMICS)
(2011/10/03)
宇野 ジニア

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虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)
(2009/11/20)
市川 春子

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↑ついでに、こちらも。
これも傑作&オススメ。
[ 2011/10/05 02:57 ] comic BL | TB(1) | CM(0)

運がいいとか悪いとか 

物理的に精神的な3Pと現実的に心理的な三角関係と、覆水が盆に返らないラストのオチ。全てがパーフェクトでした。館野さんは、やっぱり一番大好きなBL漫画家さんです。


↑初読時の読了コメント。

世界で一番好きなBL漫画家さんを一人だけ選べと云われたら、やっぱり館野とお子さんなんだな。
草間さかえさんと並べてうーん…うーんと唸るけれど、どちらかしか選べないとなると館野さん。
勝敗のポイントは館野さんが“寡作”なのと、草間さんの登場人物の半分は萌えないから(笑)。
草間さんが大型ワンコ攻めをお好きなのは重々承知してるので、もうこれは好みの問題としか。

館野さんのキャラは外面と中身が正反対とまではいかないまでも、腹に一物抱えた人が多い。
ワンコはワンコに非ず、当て馬は当て馬に非ず、巻き込まれ型ヒロインは実は何気に計算高い。
自己保身のために身体を担保にしつつも、そんな彼にとって都合の良い時間は永遠に続かない。
しっぺ返しを経て、“雨降って地固まる”的な今までどおりのようで違う二人の関係が始まる。
今回の三角関係の顛末もそんな話。

実は、第一話の時点でこの物語のルートは確定しているのだ。
どんなに読者がハラハラドキドキしつつページを捲ったにしても、結果はもう序章で確定済み。
以後の岡田の行動で生じる“確変”は、二兎を追って両方失うかモブAの手を取るしかない訳で。
“聖域”過ぎて踏み込めなかった国富と、後腐れ無さそうだからと繋いでしまった加賀谷の手。
竹内まりやの有名ソングのように、二人の男の間で優柔不断に迷い戸惑う明らかに狡猾な岡田。
ええ、岡田の片恋がいかに純粋であろうが、好奇心に負けた彼にそのツケは回ってくるのだ。
この低温の恋の行方の顛末が、実に私好みで堪らなかった(笑)。

しかし、考えさせられるのである。
自分の手に届きそうにもない相手に迂闊に恋しちゃった場合…。
身体だけの相手で妥協して一時の充足を得るのか、生真面目に自家発電で一生耐えるのか。
限りなく接点のないどうでも良い相手っちゅーのは、あくまで岡田の視点で加賀谷の方は違う。
当て馬の如く近づき、面倒くさい二号さんのように振る舞い、最後に愛しの相手を射止めてしまう。
美味しいところを攫っていけたようで、でもやっぱり肝心な部分を味わえていないように見える彼。
まあ、それもこれも今後の二人の運次第っちゅーことで。

<作品データ>
・館野とお子『運がいいとか悪いとか』(フロンティアワークスダリアコミックス)2011.6
運がいいとか悪いとか (Dariaコミックス)運がいいとか悪いとか (Dariaコミックス)
(2011/06/22)
館野とお子

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[ 2011/10/02 01:23 ] comic BL | TB(1) | CM(0)

カラダめあてで悪いか 

近年の「CRAFT」で、私が目下一番続きを楽しみにしているのが湖水きよさんの作品である。
が、これは松田美優さんとのコラボ作品であり、どちらかというと原作者のカラーの強いシリーズ。
よって湖水さんとは初顔合わせではないものの、著者個人の作品に関していえば今回が初めて。
寓話風味で観念的なお堅いモノローグにぎこちなさを感じたものの、これも個性といえなくもない。
怜悧さとエキセントリックな側面を併せ持つアンバランスな主人公の描写としては、むしろ正しい。
初読ではこの馴染みにくいモノローグに癖を感じたものの、再読したら不思議な愛着が沸いてきた。
先日(月)ご紹介した柳沢ゆきおさん同様、噛めば噛むほど味が濃くなってくるタイプの作品である。
どうも、今年遭遇するBL作品にはこの手合いが多い模様。

□カラダめあてで悪いか
武道派ややオレサマ×生真面目天然ツンデレ美人。
男子高校生同士が“恋愛”を遂行する困難さ以前の問題として、この二人はそもそも“相性”が悪い。
二人の齟齬は齟齬のまま永遠の平行線を辿りそうだが、だからこそ長続きしそうな関係にも見える。
つっぱっていようが頭でっかちであろうが、結局二人は若いので柔軟に関係を強化していくのだろう。
傍から見れば、これも一つの醒めたバカップルの在り方なのかもしれない。

□夜は降る
ロクデナシ“土下座”攻め×成長した幼君受け。
おしべもめしべも分からないような可憐な少年を誑かしたロクデナシ野郎に、萌え滾った!
すくすく成長した彼がせめて意趣返しにと女装→足コキプレイを行う姿が、また堪らなかった!!
純真な年下の“嫁”を手に入れて、このまるでダメ男もようやっと真っ当な道を歩き始めた模様。
彼が磨く世渡りスキルが“土下座”なのが、また…最後の最後まで私のツボを外さない攻めである。
ああ、楽しい♪

<作品データ>
・湖水きよ『カラダめあてで悪いか』(大洋図書ミリオンコミックス)2011.7
カラダめあてで悪いか (ミリオンコミックス/Hertzシリーズ100)カラダめあてで悪いか (ミリオンコミックス/Hertzシリーズ100)
(2011/06/30)
湖水 きよ

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[ 2011/07/12 04:25 ] comic BL | TB(0) | CM(0)

神とペン 

アンソロジー「OnBLUE」の掲載作品に惹かれ、注目していた柳沢ゆきおさんの新刊が出ていた。
ブライト出版も初出一覧の「Q」なるアンソロジーも殆ど耳にしたことがない、初購入のレーベル。
「OnBLUE」ではシリーズ連載だったけれど、今回の単行本は完全に一話一話が独立した短編集。
大満足だった!!

“萌え”というのとは違うのだが、独特の疼痛のような痛みとほの暗さが作風の底にあると思う。
今から一昔以上前に大人気だった、「NIGHT HEAD」というTVドラマの雰囲気を彷彿させる。
柳沢さんの作品はBL漫画だし、勿論あのドラマのようなサイキックファンタジー仕立てでもない。
が、強烈な(義)兄弟“愛”…もっと言うなら強烈な“受け”を創出している点が似てるんだと思う。
兄弟エピソードは一本だけだが、ほぼ全話で受けが攻めを引き摺り込む設定という共通点がある。
小悪魔を越えた“天使/悪魔”的な“受け”が攻めを翻弄し、彼の身と心を取り込んでいくのだな。
この手の“受け”を相手にするのは、山岸涼子作品の登場人物同様つき詰めると心底“怖い”。
だが、このドロっとした血(鉄)のような匂いを感じる作品は嫌いじゃない。

<作品データ>
・柳沢ゆきお『神とペン』(ブライト出版f-bookコミックス)2011.5
神とペン (F-BOOK comics)神とペン (F-BOOK comics)
(2011/05/17)
柳沢 ゆきお

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[ 2011/05/28 14:32 ] comic BL | TB(1) | CM(2)
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Author:tatsuki
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