私にもそう度々では無いのですが、無性に心に
不確かな“渇き”を覚える時があります。
モチベーションは下がりっぱなしで、仕事上の些細なミスや諍いが増え、ソレが上手く制御できない。
上司に意地を張ってしまった手前、仕事を休むこと自体が困難になってしまい、それが今も継続中。
この現状に対する逼迫感と、先行きの見えない不安が私のささくれ立った心を更に追い詰めるのだ。
自分でも薄々気づいてます…きっと近い将来、私は対人関係で致命的な何かをやらかしそうだ、と。
実際、上司も同僚も既に私のテンションに振り回されている節があって、多分少し困ってる筈(笑)。
各種心理診断結果を信じると、私はストレスを
内に溜め込む方じゃなくて、
外に吐き出す人間だし。
この傾向は実に良くないと知りつつも、当ての無い日々が今日も続いている訳でして…。
てことで、いつも以上に活字で彩られた
フィクション世界に潜り込んで現実逃避しております(笑)。
しかも、この
ウスカバルドのような美味しい水が湧き出る物語でなければ、浮上できない重症の身。
だから、先日の萩野さんはタイミングがすこぶる悪くて…常態ならば、もう少し楽しめたと思うのです。
が、今はチャランポランなコメディBLでは、十分に心を潤すコトが出来ないor余裕が無いのですよ。
本当に、困ったモンだ!
結果、本日は私が大好きな
再読本のご紹介になります。
今回はホワイトハートの
グリーンレーベルなので、棗さんの教示に従い
非BL小説カテゴリーで。
たけうちりうとさんは一時期追いかけていたのですが、今はこのシリーズしか手元に残ってません!
このシリーズだけは
墓まで持っていきたい物語の一つです♪それにしても、よくよく考えてみたら、
既に特大サイズの棺桶でも全く収まりきらないくらい、私の墓まで作品は無限に増殖してる気が…。
1ミリの隙間も無い二竿の本棚と、押入れの中に埋め込まれている数箱のダンボールと、加えて、
寝床やテーブル付近に天高く積み上がっている雑誌や本やゲームやらが、もう何というかね…。
呆れるよね、本当。
この物語を読むと、取るに足るささやかな一日を過ごせたことを天に感謝しなきゃなと思うのです。
ウスカバルドの手によってこさえられた美味しい水は、活字を通して私の胸にも染み入ってきます。
カノンとバルの宿命的な出会いが“新しい風”を呼ぶ一方で、そこが発端となって“波瀾”も生じる。
取るに足るを喜びを知る者には“幸”と、道を踏み外した者には相応の“哀しみ”を引き受ける展開。
最初に吹いた風は甘く爽やかで今後の予兆を示す一旦なのだが、それが吉兆とは言い切れない。
主人公のカノンは、自身の“才”を知ると同時に、“喪失”や“矛盾”という負の局面も引き受けていく。
全てが良くなるご都合主義的なファンタジーとは一線を画した、運命の少年の成長譚となっている。
一介の植木職人の倅に過ぎなかったカノンが、世界を揺るがす“神器”を引き継ぐ宿命を担う物語。
が、一方で“神器”に認められず、異母兄のランキア王への複雑な思いで惑っていた王弟アリルは、
カノンの存在がきっかけとなって“謀反”を試み、失敗する展開がセットになっているのが物語前編。
後編は、“流浪”の刑に処された王弟アリルと共に、楽師のバルとカノンが3人で諸国を放浪する。
放浪の過程でアリルは自身の人生の糧を見出し、バルはウスカバルドの術の力を取り戻しますが、
カノンもバルもランキア王も、心身を引き裂くような“喪失”を味わう悲しい結末も待っています…。
続編の“銀の手のバルドス”では、今まで謎に包まれていたバルの出自が明らかになる一方で、
ウスカバルドの血の名残が、北方民族のきな臭い“暴力”によって維持されてきた真実も明るみに。
その“才”は母系が引き継ぎ、何世代目かの男子に“顕現”するという巧妙な仕掛けがありました。
しかも、“顕現”者からは、その後継にその“能力”を引き継ぎえない一世一代の特異能力なのだ。
このシステムは、なかなか面白い“設定”だったと思います。
先日ご紹介した同レーベルの高岡ミズミさんのファンタジーは、不明瞭で“難解”だと思いましたが、
たけうちりうとさんの手がけたこの作品は、物語の縦糸(歴史)と横糸(関係)が絶妙な按配なので、
私のような若輩者でもすんなり物語世界に入り込める、しっかりした構成の作品に仕上がってます。
カノンの“愛する人”を守りたいという思いは、“故郷”からランキア王が統べる“国”へと拡張していく。
その素朴な“パトリシズム”は、カノンの小さな手によって丹念に培われた“花”のようなモノだと思う。
故、彼に対する周囲の眼差しは皆暖かく、彼の困難を助ける者はいつもどこでも後を立ちません!
身分も年齢も越えて、カインの“朋友”となったランキア王は、無論その筆頭です。
この物語が好きな人は、私の大好きな“幻想水滸伝”にもハマれるでしょうし、逆もまた然りです。
ファンタジー上の“歴史”に確かな動脈があり、登場人物の“日常”に現実味があって魅了されます。
こういう地に足のついた豊かな土壌で生成されたファンタジーなら、私も本当に大好きなんですよ!
とっても、オススメの逸品です♪
<作品データ>
・たけうちりうと『ウスカバルドの末裔』前・後編(雪舟薫・画、講談社X文庫ホワイトハート)2004.10、2004.11
・たけうちりうと『銀の手のバルドス』(雪舟薫・画、講談社X文庫ホワイトハート)2005.6
このシリーズも再開されないものでしょうかね?
まだまだ語られていない、魅力的なエピソードが沢山ありそうで、続きを待っているんですけどね。
挿絵が…まあ…うん、一番の“難関”なのかもですね…。
今更ですが、雪舟薫さんが挿絵を手がけていた“シリーズ”作品って、本当に多かったんですね。