先日、勢い込んで3冊も購入してしまった
シャレード文庫新刊のウチの1冊です。
前作の『ドロシーの指輪』からほぼ1年、続きが待ち遠しくて仕方なかった作品でした。
贋作ミステリーの仕掛けが巧妙で、大変満足指数の高い面白い作品でした♪
ご馳走様です!
この作品は、私的にはかなりお気に入りのオススメなシリーズ作品なのですが、
重大な注意事項が1つだけあります。
必ず前作の『ドロシーの指輪』から読むように!BLジャンルのシリーズモノは、大抵途中から読んでもそれなりに楽しめる仕様になっておりますが、
この作品は基本がミステリー仕立てでして、導入部は一作目の後半から始まるお話なのです。
『
イゾルデの壺』自体はそれゆえ、かなり中途半端な箇所から物語が始まっておりますので、
読むなら絶対に一作目から読んで下さい、よろしくお願いします。
さてこのシリーズ、メインストーリーがミステリー仕立てに展開しておりますので、
BLジャンルから見れば、かなり異色なタイプのコメディ作品になりますね。
サービスシーンもあるにはあるのですが、あまりというか全く本編とは関係が無かったりします。
今回の作品は悲恋も作中のテーマの一つはありましたが、それはあくまで脇の男女のソレでして、
そういう意味では、BL的に期待できる展開は殆ど見られません。
つまり私は、単純にライトミステリーとして楽しませて頂きました。
ホンモノの壺と贋作の壺を巡って、守銭奴達が一喜一憂するコメディとも言えます。
漫画作品で言えば『パタリロ』とか『ギャラリーフェイク』と同質の面白さを体感できる作品です。
ある時は『
イゾルデの壺』と呼ばれたり、また別の人には『媚薬の壺』と呼ばれたり、
あるいは『玉手箱』とも名付けられたり…そんな曰くつきの壺を巡って、
結構熾烈な小ズルイ頭脳合戦と、コミカルな人間喜劇が作中展開されております。
はてさて、最終的にホンモノの壺は一体誰の手に渡るのでしょうか?
巧妙に捻られた物語の仕掛けに、
谷崎泉さんのベテラン作家としての手腕と貫禄を感じました。
こういう作風が上手く映えるのは、
谷崎泉さんらしいと言えばらしいです。
『しあわせにできる』シリーズにしろ『君が好きなのさ』シリーズにしろ、
本当に様々なタイプの脇役が出演してくるのですが、どの方もそれぞれ個性的で魅力的なんですよ。
今回感想を書くのは意外にも初めてだたりするのですが、実は私の贔屓作家さんの一人です。
また
谷崎泉さんは、長編シリーズでも脇役にカップルが移行しないのも個人的には好印象です。
ミステリー仕立てなので、あんまり本編には触れられない感想になってしまいましたが、
本当に楽しい作品でした。
最後に一言。
今回初登場の雨森さんは、場を引っ掻き回すだけ引っかき回したにも関わらず、
本編とは全く関係の無いキャラクターでした…次回は彼絡みのお話なんでしょうね。
続きが待ち遠しいです♪
(『しあわせにできる』が雑誌連載終了したので、今度はこのシリーズに本腰入れて欲しいなあ)
<作品データ>
・
谷崎泉『
イゾルデの壺』(
陸裕千景子・画、二見書房
シャレード文庫)2006.12
ISBN4-576-06196-8
このシリーズのサービスシーンは、今のところ娯楽性しか無いんじゃないかしら?(笑)
まあ、楽しめた人が勝ちなんじゃないかと。
私は大好きなシリーズなんで、珍しく勝ち組です。
『君好き~』シリーズ読み始めたそうですねー。
このシリーズは、レビュー評価が両極に分かれている印象です。
私のようにハマって一気に読んでしまう方と、
第1話の強引な展開に挫折してしまう方と。
後者の方の気持ちも分からなくは無いのですがね…。
私にとっては、BL小説で5本指に入るくらい大好きなシリーズです。
TBの方もありがとうございました~。
ではまた。